環境汚染防止と水資源

方針・基本的な考え方

①環境汚染防止

清水建設は、建設工事における環境汚染防止に関して、以下を含めて着工前の検討・評価、施工時の手順の遵守、適切な記録と保管を徹底して行っています。

  • 工事排水の処理
  • アスベストやPCBなどの有害物質の適正処理
  • 土壌汚染対策

②水資源

清水建設は、水を持続可能な社会に不可欠な資源と捉えており、水資源の有効利用、水使用の影響の軽減および回避に全社的に取り組みます。事業活動においては、オフィス、建設現場、研究開発の3つの側面から水資源保全に取り組んでいきます。各側面の具体的な方針は下表のとおりです。

オフィス活動 無駄の削減、再利用水の採用
建設現場 保有技術の活用による効率化・再利用・排水管理
研究開発 水の利活用や処理技術の研究

戦略・体制

戦略

ISO14001に基づく環境マネジメントシステムの運用

清水建設は、ISO14001の認証を取得しています。事業活動における環境のリスクと機会を特定し、PDCA(計画・実践・監査・改善)のサイクルを継続的に取り組む仕組みを構築し、運用しています。

建設現場における全社的な帳票や手引き書の整備と情報の共有

建設現場での環境リスクを把握するとともに、適切に建設工事を進めるため、着工前の段階、施工中の段階などで活用できる全社的帳票・手引き類を整備しています。また、施工計画や施工記録を適切に保存して関係者で共有可能な仕組みを構築し、作業所だけでなく全社的な連携体制を整備し事業を実施します。

事業に関連する区分ごとの水資源の取水・排水状況と管理計画は次表のとおりです。管理計画に基づき、当社のすべての建設現場で水資源の有効利用に取り組みます。

区分 水資源の主な使用状況 水資源の管理計画
工事現場(国内) 取水(公共用水、一部地下水・河川水
  • 杭工事、掘削工事における孔壁安定のための注水
  • 高温下でのコンクリート打設後の湿潤養生
  • 粉じん対策の散水
以下のように、すべての現場で現場及び周辺環境の特性に合わせた管理を行っています。
  • 着工前検討会にて、現場特性・周辺環境特性を考慮し、水資源関連リスク(水質汚濁・法令違反等)の有無を確認。
  • 現場ごとに取水・排水方法、管理項目等の管理計画を立案。
  • 取水・排水管理方法・排水基準値を現地の土地管理者・地方自治体等と確認。
  • 地方自治体(地元住民)の合意後に工事を開始し、現場ごとにpH等の管理項目の計測管理。
  • 社内参考書:「作業所における水質汚濁防止の手引き」を活用。
排水(ほぼすべてで、公共排水)
  • 洗浄排水・雨水排水
  • 掘削工事で地下水位低下が必要な場合地下水をくみ上げて排水
工事現場(海外) 国内と同様 国内とほぼ同様
オフィス(国内・海外) 取水(公共用水) 生活用水 水リサイクルの取り組み
  • 本社では厨房排水・洗浄排水(雑排水)・雨水排水を建物内プラントにて処理し、中水としてリサイクル。(約1.4万t/年)
  • 四国支店では、取水量の71%を再生水(現地インフラ)で使用。
  • 北陸支店では、建屋屋根で集水した雨水を雑用水系統の主水源としてWC洗浄水や散水栓等に利用。雨水利用実績量:約300m3/年
  • 東北支店では、地中20mと100mの熱交換用配管を設置し、仙台平野下の豊富な地下水の熱を夏期・冬期両方の空調に利用。
排水(公共排水) 厨房排水・洗浄排水・雨水排水
サプライチェーン
  • 主要材料である鉄、コンクリート、木材などの製造に使用される用水
  • 現場でのコンクリート製造に使用する用水(関連会社の作業のため、サプライチェーンに分類)
  • 主要材料(セメント、鉄鋼など):「環境負荷の少ない事業活動」の環境方針に則り、調達先を選定。

    大部分の国内現場は国内から資材調達しており、水ストレスのリスクは小さいと判断しています。

  • 現場の関連会社の作業:清水建設の環境管理マネジメントに則った作業指導を実施。

公共用水の利用ができない地域での地下水・河川水等の利用は適宜許可を得て実施しています。

体制

全社委員会における報告・審議

清水建設では、副社長を委員長とした「安全・環境委員会」を設置し、安全・環境活動の報告・審議をしています。また、社長を委員長とした「サステナビリティ委員会」では、環境経営の諸課題の検討、SHIMZ Beyond Zero 2050等の進捗状況をはじめとする報告・審議を行っています。

ISO14001を活用したトップマネジメントの関与

ISO14001の仕組みでは、経営層によるリーダーシップとコミットメントが求められています。清水建設では、社内外のステークホルダーのニーズや期待と社会のトレンドの把握、社内の活動と実績との振り返りをトップマネジメントレビューとして、監査を通じて得られた諸情報をトップ宛監査報告として、それぞれ実施し、得られたコメントや指示をトップマネジメント指示として全社展開し環境活動に取り込んでいます。

目標・実績

環境汚染防止

清水建設では、全社環境活動計画の目標として、環境法令違反・重大な環境不具合の撲滅をあげており、法違反・事故件数0件を管理項目として環境汚染防止に努めています。

近年3か年における重大な環境不具合件数や法令違反件数(水に関するものを含む)は0件であり、これに伴う罰金も0円となっています。なお、大気汚染物質排出量およびフロン等処理実績は、環境パフォーマンスデータをご覧ください。

水資源

清水建設では、自社施設における水使用量削減のため、社屋の新設や建替、改修にあたっては、節水型の水栓、トイレの設置、敷地や設備の条件が適合すれば、雨水利用や中水利用も積極的に推進しています。設計施工案件においても同様に、節水設備等の導入提案を行うことを原則としています。

建設業においては、自社施設の建物運用時の水使用量に比べて、建設時の湧水及びその排水量が圧倒的に多いことが特徴です。これらの量は敷地・地盤条件に左右され、設計施工の建築工事においては、地下階の縮小提案等も可能ではありますが、他社設計案件、特に土木工事では定量的な目標設定は困難であることから、法基準に則って適正に取水し、適正に管理した水質で排水することに主眼を置き、水関連を含む環境法令違反・重大な環境不具合ゼロを全社目標としています。

また、建設工事をはじめとする事業活動に取り組む上では、当社が拠点を置く国内外の事業所毎の水リスクを認識した上で、自らの業務において日常的な節水行動を取ることを全社環境活動計画の日常活動目標としています。

水使用実績および排水実績、水関連リスクの軽減のための研究開発投資額等は、こちらをご覧ください。

取り組み

環境汚染防止

建設工事に伴い発生する工事排水の適正処理、有害物質の管理については、教育による人財の育成、帳票や手引書の整備、技術開発により適切に推進していきます。

工事排水の適正処理

建設現場から排出される排水は主に湧水、雨水や河川等からの流入水であり、これらは近隣や下流域で利用されることを念頭に、現場から排出される水の水質は適切に測定され、事前に定めた基準値内となるよう処理した上で排水します。これらの基本的事項は「作業所における水質汚濁防止の手引き」および「工事排水処理計画チェックシート」として建設現場で利用できるよう整備しています。

また、毎年6月は「水質汚濁防止強調月間」として全社的取り組みとして啓発に努めています。

石綿(アスベスト)飛散防止

清水建設では、お客様と社会の安全・安心を最優先に考え、石綿(アスベスト)に関する適切な対応を推進しています。現在、新築建設現場において石綿含有建材は一切使用しておりません。過去に建設された建造物の解体・改修工事に際して含まれる石綿につきましては、関連法令を遵守し、適切な事前調査、除去、封じ込め、または囲い込みといった措置を講じ、安全かつ確実に処理を行っていきます。

個別技術として、リアルタイム計測装置、減容化装置、飛散防止剤などの各種独自技術を開発しています。また、従業員に対して石綿関連の各種資格の取得を推進しています。特に、有資格者による解体・改修工事の石綿事前調査の実施が義務付けられたため、資格取得講習会を社内で集中的に実施しました。資格取得に合わせて、当社従業員の石綿に対する知識の向上及びより一層の管理能力の向上を図り、汚染と健康被害の防止に取り組んでいます。

PCB、ダイオキシン類、フロン類等の化学物質漏洩防止

建設工事では様々な化学物質が発生するため、着工前に想定される全ての環境リスクを洗い出します。当社では、「作業所重点管理表」及び「法令違反防止シート」を作成し、着工前に品質、安全及び環境担当者を交えた検討会を行い、工事計画の妥当性を確認しています。特に、PCBやダイオキシン類は環境や人体に与える影響が極めて大きいため、事前に手続きや作業手順について慎重に検討がなされるとともに、専門部署による監査や巡回等でチェックがなされる仕組みとなっています。

騒音・振動及び悪臭・粉塵による公害防止

工事に伴う騒音・振動及び悪臭・粉塵が周辺環境に与える影響を最小限に抑えるため、手引き書を策定するとともに、法令遵守を徹底しています。具体的には、低騒音型重機の積極的な活用や、建設機械の丁寧な運転操作、防音シートの設置など、様々な対策を通じて公害防止に努めてまいります。特に、解体工事の騒音・振動・粉塵対策として、それらの発生を抑制する「クールカット工法」を開発・展開しています。これら取り組みを通じて地域社会の皆様に配慮し、快適な環境づくりに貢献していきます。

シミズ・クールカット(低振動・低騒音解体)
シミズ・クールカット(低振動・低騒音解体)

水資源

建設現場での水資源保全と水リスクへの対応

建設現場から排出される水については、近隣や下流域での水の循環利用を意識し、排水の水質管理を重要視しています。着工前には、水質汚濁防止法や下水道法などの法令はもとより、地域の条例や近隣要望を念頭に処理計画を策定します。

着工後は、使用量や規模に応じた簡易処理水槽(ノッチタンク)や大規模な濁水処理プラント等を設置し、法定基準以上の自主管理基準で日常管理や重点管理を行っています。

さらに、現場パトロールや監査を行い、引き渡しまで管理を徹底しながら、地域水資源の保全に貢献しています。

オフィスでの水資源保全

2021年3月に完成した東北支店新社屋では、水資源保全の取り組みとして、トイレの洗浄水や屋外の散水は雨水や井水を再利用しています。 本建物はWELL認証の最高位であるプラチナランクを取得しており、人々の健康に配慮したオフィスとなっています。

また、2023年9月より運用を開始している、当社イノベーション拠点である「温故創新の森 NOVARE」では、旧渋沢庭園に計画された水景設備や植物 への潅水に雨水排水を利用しています。天候予測情報を基にして潅水スケジュールを最適化するシステムを導入することにより、十分な降雨が予測された場合には潅水量を制限し、また雨水利用槽の残量予測に応じて給水することで、雨水代替率を高め、水資源の有効活用を図っています。 加えて、旧渋沢家住宅の消火用水としても雨水排水を使用しています。

このように、当社は、オフィスや自社保有施設においても、水資源の保全と使用量の削減に取り組んでいます。

東北支店のトイレ内で掲示されているポスター
東北支店のトイレ内掲示物

環境汚染浄化技術

PFAS類を含む汚染水の浄化技術

有機フッ素化合物(PFAS)は、コーティング剤や泡消火剤など多様な製品に使用されていますが、近年、環境や生体への残留性・蓄積性が問題視されるようになり、国内外で規制強化が進んでいます。

当社では、2021年からPFASを含む汚染水の浄化技術研究開発に取り組んできました。沖縄県内で実施したPFAS汚染水の浄化実証試験では、濃度634ng(ナノグラム)/ℓの汚染水が濃度1ng/ℓ以下まで浄化され、技術の有用性を確認できました。

今後、PFASが散布された可能性のある施設や製造・使用していた事業所等に技術展開を行い、水質保全に寄与していきます。

実証試験サイト
実証試験サイト
泡沫分離処理装置
泡沫分離処理装置

土壌汚染対策技術

土壌汚染対策法を遵守することはもとより、汚染の未然防止と適切な対策に積極的に取り組んでいます。当社は、汚染土壌の浄化に有効な多くの対策技術を保有しており、それぞれの状況に応じた効果的な取り組みを行うことで、土壌汚染の防止と改善を図り、安全な土地利用に貢献してまいります。

海外では今も深刻な健康被害をもたらしている、ベトナム戦争時に米軍が散布した枯葉剤による汚染土壌浄化に取り組んでいます。ベトナム政府が2030年までに全土の土壌浄化事業を完了する目標を掲げている中、当社は、独自の技術でこの問題の解決に取り組み、ベトナム国防省傘下の研究機関と共同で、汚染土壌の洗浄実証試験を行いました。

国内外の水ストレス地域での事業活動

グローバル水循環研究イニシアチブが提供する、淡水資源の持続可能な管理のための水リスクデータおよび可視化情報「Water Security Compass/2025年」を基に、当社が海外拠点を置く事業所毎の水リスクを認識した上で、建設工事をはじめとする事業活動に取り組んでいます。

水リスクの考えられる地域での事業活動は下表のとおりです。「高」または「中~高」に該当する、中国、タイ、ベトナム、インドを中心に、水リスク管理の「事前のリスクアセスメント」および「規制対応」の徹底を目指して、事業活動を行っていきます。

水リスクの考えられる地域での事業活動

出典: Water Security Compass、https://water-sc.diasjp.net(2025年)で利用可能なグローバル水循環研究イニシアチブが提供する、淡水資源の持続可能な管理のための水リスクデータおよび可視化情報と当社国内外拠点を照合させてリスクの高低を抽出

イニシアチブ

カテゴリ 団体名 活動理念 ロゴ
特定非営利活動法人 日本水フォーラム(JWF) 国内外の水関係者の交流連携窓口として、国内はもとより、 国連機関・国際機関、開発銀行、諸外国の政府・自治体、民間企業、研究者、NGOなどの多様な関係者と連携しているJWF。
そのネットワークのもと、日本を含めた世界の水問題解決のために行動を起こす機会を創出し、地球上のすべての人々が、水の恩恵と価値を最大限に享受できることを目指して活動をしています。
特定非営利活動法人 日本水フォーラム
水循環企業登録・認証制度 内閣官房水循環政策本部事務局では、企業による水循環に資する取り組みの更なる促進を図るため、水循環に資する取り組みに関心のある企業や取り組みを実施している企業を積極的に登録・認証する「水循環企業登録・認証制度」を実施しています。
清水建設は2025年10月、水循環に資する取り組みを積極的に実施している「水循環ACTIVE企業」として認証されました。
一般社団法人カーボンリサイクルファンド
くまもと雨庭パートナーシップ 自発的に雨庭の整備と普及に貢献することを目的とする団体です。
2030年までに熊本県内に2030か所の雨庭を整備することを目標とし、2023年5月に設立されました。
くまもと雨庭パートナーシップ

産官学民の連携・共創による湿地の再生と活用

八ツ堀のしみず谷津

千葉県富里市において、2021年から産官学民連携で「八ツ堀のしみず谷津」という名称で、荒廃した谷津の湿地を、グリーンインフラで再生する活動を進めています。湿地を再生することで、水質浄化機能や雨水貯留機能が高まり、地域の健全な水循環の維持や水害リスク低減につながる可能性があります。
実際に、谷津の環境を好む水生植物や動物が多く集まる自然共生の場を創出することができました。
今後も谷津という場所が持つ機能を未来に残せるように、人と自然が共生できる湿地グリーンインフラ作りを続け、自然の恵みを地域に還元していきます。

谷津・・・台地や丘陵地が侵食されてできた小さな谷地形

谷津の仕組み
谷津の仕組み
湿地の再生活動の様子
湿地の再生活動の様子

八ツ堀のしみず谷津での活動によって、清水建設は、2025年10月、「水循環ACTIVE企業」に認証されました。この認証は、内閣官房水循環政策本部事務局が、企業による水循環に資する取り組みの更なる促進を図るため、水循環に資する取り組みに関心のある企業や取り組みを実施している企業を登録・認証する「水循環企業登録・認証制度」において、水循環に資する取り組みを積極的に実施している企業として認証されたものです。

くまもと雨庭パートナーシップ

雨庭とは、屋根などに降った雨水を下水道に直接放流することなく一時的に貯留し、ゆっくりと地中に浸透させる構造をもった植栽地(窪地)です。下水道の負荷を低減させることで治水効果があり、生物多様性保全、水循環の健全化などにも貢献します。

現在、気候変動の影響に伴う都市水害の増加、下水道などインフラの老朽化が大きな社会問題となっています。熊本県では半導体関連企業の集積に伴い活気づいている一方で、これらの工場による水使用の急激な増加、将来的な地下水の枯渇が懸念されている他、激甚化する水害対策も喫緊の課題です。

清水建設は、これらの課題の解決に寄与するため、「くまもと雨庭パートナーシップ」※1の一員となり、自社熊本営業所(熊本市中央区)敷地内に「雨庭」を整備しました。今後、雨庭の普及に積極的に努めていく考えです。

1:熊本県内で雨庭の整備と普及を目的とする団体で、産学官民が連携して活動しています。2030年までに熊本県内に2030か所の雨庭を整備することを目標に掲げ、2023年5月に設立されました。
https://www.kumamoto-ameniwa-partnership.com/

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