ニューマチックケーソン工法

シミズのニューマチックケーソン工事

シミズのニューマチックケーソン工事

ニューマチックケーソン工法 シミズのニューマチックケーソン工事

東尾久浄化センター工事

ポンプ場、立坑、道路函体といった社会を支える重要なインフラの建設において、その機能と安定性を確保する堅固な地下構造物を構築することは極めて重要です。特に軟弱地盤や水中といった厳しい条件下において、ニューマチックケーソン工法はその安全性と確実性から不可欠な技術として活用されています。清水建設は、長年にわたりこの特殊工法で数多くの大規模プロジェクトに携わり、社会基盤の発展に貢献してきました。ここでは、当社が手がけたニューマチックケーソン工法の施工事例、開発・導入した革新的な技術をご紹介します。

ニューマチックケーソン工法とは?

ニューマチックケーソン(潜函工法)は「空気のはこ 」を意味します。地上で構築した鉄筋コンクリート製の躯体の底に気密な作業室を設け、圧縮空気を送り込むことにより、地下水の浸入を防ぎながら掘削・排土を行い、躯体を地中に沈める工法です。
これは、逆さまにしたコップを水中に押し込むと、空気の圧力によって水の浸入を防ぐことができるという原理を応用しており、ケーソン底部作業室では地上と同じ状態で掘削が可能となります。

ニューマチックケーソン概念図1
ニューマチックケーソン概念図2
ニューマチックケーソン概念図

ニューマチックケーソンによる函体の連続施工
埼京線北与野・大宮間埼玉東西連絡道新設工事

日本の首都圏機能の一翼を担う「さいたま新都心」と東京都心を直結する首都高速道路「高速大宮線」の建設において、JR東日本新幹線および埼京線の高架下をトンネル形式で通過する工事です。本工事では、全長221.5mの道路トンネルを6函体のニューマチックケーソンを連続して沈設し、一体構造として築造しました。

ニューマチックケーソンの連続施工による道路トンネル
ニューマチックケーソンの連続施工による道路トンネル

複数ケーソン連続沈設による長大トンネル構築

本工事では、新幹線や埼京線といった重要構造物が近接する狭隘な空間で、2層ボックスカルバート構造のケーソン6函体を曲線形状に沿って配置し、連続して沈設しました。曲線形状や軟弱地盤、被圧層といった複雑な地質条件、地下水位の維持、近接構造物への影響最小化に配慮しながら、沈設精度(水平・鉛直とも±50mm)を確保しました。各ケーソン函体間は約2.5mの離隔があり、この間を機械掘削で接続し、剛結構造とすることで、全長221.5mの長大な道路トンネルを一体構造として構築することができました。

施工状況
施工状況
平面図
平面図

埼京線北与野・大宮間高速埼玉東西連絡道新設工事

所在地
埼玉県さいたま市吉敷町2丁目~錦町62
発注者
東日本旅客鉄道株式会社 東京工事事務所 ※首都高速道路公団との協定により施工
工期
1999.10~2003.10
構造・規模
平面寸法 23.6×18.5m~46.0×22.2m ケーソン面積 A=424~1,038m2,6基、深さGL-31.5~-37.7m

世界最大の平面積を有するニューマチックケーソンの施工
東尾久浄化センター西日暮里系ポンプ棟工事

東尾久浄化センターは、隅田川の水質浄化と東京湾の富栄養化防止のため、汚水・雨水処理施設として計画され、当社は西日暮里系のポンプ棟を建設しました。

東尾久浄化センター工事の様子
東尾久浄化センター工事の様子

世界最大の平面積となるニューマチックケーソン工法

西日暮里系ポンプ棟工事では、平面積4,838m2(テニスコート約18面分の面積に相当)、深さGL-43.9mの大規模な地下構造物を、世界最大規模のニューマチックケーソン工法で施工しました。

平成23年度の土木学会技術賞を受賞

東尾久浄化センター西日暮里系ポンプ棟

所在地
東京都荒川区東尾久7-2
発注者
東京都下水道局第一基幹施設再構築事務所
工期
2006.9~2011.2
構造・規模
平面寸法 62.1m×77.9m 面積 約4,838m2、深さ GL-43.9m

ニューマチックケーソンで大深度シールド発進立坑を構築
東京外かく環状道路 東名JCT・本線シールドトンネル立坑工事

本工事では、関越道~東名高速区間の外環本線シールドトンネル工事の発進基地となる立坑構築に、ニューマチックケーソン工法が採用されました。

シールドトンネル立坑工事の様子
シールドトンネル立坑工事の様子

国内3位となる大深度のシールド立坑を構築 ※建設当時

ケーソン躯体の沈設深さはGL-70.3mで、建設当時、ニューマチックケーソン工法としては国内3位の深さでした(2025年12月時点で国内4位)。当社の実績として当時最も深く、最も高気圧(最大作業気圧0.462 MPa)となるケーソン工事でした。

かまち梁を省略した3次元設計

シールド工事用立坑ではシールド開口部を補強するために開口の上部に「かまち梁」が通常設置されます。事前に、3次元FEM解析による修正設計を行い、かまち梁を省略しました。これにより、内部空間を広げることができ、シールド工事の施工性を高めることができました。

※かまち梁:シールド機が発進・到達する開口部を補強するための梁のこと。立坑の壁に設けられ、シールド機の推進力や土圧などによる応力を受け止め、立坑全体の安定性を確保します。

3次元FEM解析結果の一例(シールド開口後の水平方向の曲げモーメント図)
3次元FEM解析結果の一例
(シールド開口後の水平方向の曲げモーメント図)

大口径シールド開口部にSEW工法を格子状に採用

シールド機の発進時にスムーズに開口部を切削できるよう、開口部には「SEW工法」※1(他社開発)を採用しました。
特に本立坑では、シールド開口径が16.2mと大きい上、地下60mという大深度のため、大きな力が作用するので通常1方向のみで用いられるFFU材※2を格子状に配置し、コンクリートと一体化させることで強度を高める工夫をしました。この格子状FFU材とコンクリートの合成構造は、業界で初めて採用されたものです。

※1 SEW工法:(株)錢高組、積水化学工業(株)により開発された工法で、土留壁のシールド機通過部分に、FFU材を組み込み、シールド機が直接切崩できるようにするものです。

※2 FFU材(Fiber Reinforced Foamed Urethane):繊維補強された発泡ウレタン樹脂を接着積層して矩形の梁部材として形成したものです。

格子状のFFU材とコンクリートの合成構造
格子状のFFU材とコンクリートの合成構造

東京外かく環状道路路 東名JCT・本線シールドトンネル立坑工事

所在地
東京都世田谷区大蔵
発注者
中日本高速道路株式会社 東京支社
工期
2012.9~2015.9
構造・規模
平面寸法 48.2m×28.1m 面積 1,354m2、深さGL-70.3m

ニューマチックケーソン工法で地下に図書館を建設
東京大学総合図書館 別館 新営工事

東京大学本郷キャンパスでは、総合図書館(書籍120万冊収蔵)の機能強化と収蔵容量拡大のため、新たに300万冊を収蔵できる自動化書庫を備えた地下図書館をニューマチックケーソン工法で建設しました。
キャンパスの景観に配慮し、既存の総合図書館前の噴水広場の地下に構築され、地下2~4階は自動化書庫、地下1階は学習スペースとして活用しています。

東京大学総合図書館 別館 完成した躯体内部(地下2~4階)
東京大学総合図書館 別館 完成した躯体内部(地下2~4階)

四方を大学の校舎に囲まれた狭隘な施工条件

本工事は、工事範囲の四方を既設の校舎に囲まれた難しい条件下での施工でした。近接構造物への影響を抑えるため、土留め兼用の縁切り鋼矢板とケーソン沈設時の周面摩擦低減材を使用しました。工事着手前に2次元FEM解析を実施してこれらの対策の効果を確認しました。

校舎に囲まれた狭隘なスペースでの施工
校舎に囲まれた狭隘なスペースでの施工

外壁全面に止水鋼板を設置

止水鋼板の仮固定状況
止水鋼板の仮固定状況

湿気を嫌う書庫内部への水の浸入を確実に防ぐため、外壁コンクリート外側の表面に厚さ6mmの止水鋼板を設置し、埋設型枠として利用しました。刃口や底版を含め、構造物全体を鋼板で覆うことで、地下水の浸入を防止しました。

大型土嚢による沈下促進対策

躯体を沈下させるためには、自重による沈下力が必要です。躯体の自重のみで沈下力が足りない場合には、内部に水を溜めて重量を増加させる手法が一般的です。本工事では、沈設後に躯体内部を書庫として利用することを考慮して水の利用を避け、大型土嚢などを設置することで沈下を促進しました。

大型土嚢による沈下促進の様子
大型土嚢による沈下促進の様子

東京大学総合図書館 別館

所在地
東京都文京区本郷
発注者
国立大学法人 東京大学
工期
2014.11~2017.5
構造・規模
平面寸法 44.2m×26.6m 面積 1,176m2、深さGL-46.3m

ポンプ所として国内最大級、最深度のニューマチックケーソンの施工
名古屋市広川ポンプ所建設工事

広川ポンプ所は、名古屋駅周辺の治水安全性向上を目的として、中川運河上流地域等の雨水を中川運河に放流するために建設された雨水排水施設です。

広川ポンプ所工事の様子
広川ポンプ所工事の様子

ポンプ所として国内最深度となる高気圧下での施工

平面寸法52.0m×29.5m(約1,530m2)、深さGL-63.7mのポンプ所躯体をニューマチックケーソン工法で施工しました。この深さは、ニューマチックケーソン工法で施工するポンプ所としては国内最深度であり、名古屋城(約56m)がすべて収まる深さです。ケーソン底部作業室は0.62Mpa(6.2気圧)という高気圧となるため、遠隔操作による無人掘削が行われました。

ポンプ所として国内最大級の深度63.7m
ポンプ所として国内最大級の深度63.7m

躯体構築を後続作業に変更して工程を短縮

大規模なニューマチックケーソン工法では、通常、沈下掘削と躯体(外壁およびスラブ内壁)構築を並行して進めます。本工事では、3次元FEM解析(有限要素法)を用いて施工手順を詳細に検討しました。その結果、外壁や梁を補強することで、内壁やスラブを補強せずに外壁のみで土水圧に抵抗できることを事前に確認できました。この知見に基づき、工程全体に大きな影響を与えるスラブや内壁の構築を掘削完了後に行い、工期の短縮を実現しました。

名古屋市広川ポンプ所建設工事その2

所在地
名古屋市中川区広川町地内
発注者
日本下水道事業団(事業者:名古屋市上下水道局)
工期
2015.11~2022.5
構造・規模
平面寸法 52.0m×29.5m 面積 約1,530m2、深さ GL-63.7m

凸形状かつ長辺の長さが世界最大級のニューマチックケーソンの施工
石巻市石巻中央排水ポンプ場他1施設復興建設工事

東日本大震災による地盤沈下で浸水対策が必要となった石巻市の中心部において、雨水排水施設と幹線函渠を構築しました。

石巻中央排水ポンプ場工事の様子
石巻中央排水ポンプ場工事の様子

平面形状が凸型形状かつ国内1位の長辺の長さ 89.7m

平面寸法89.7m×41.2m、深さ約39m(深さGL-35.3m+地上部土木施工部躯体分)の雨水排水ポンプ場の躯体をニューマチックケーソン工法で施工しました。平面的な躯体形状が凸型形状であり、沈設時の応力集中により長辺報告の隅角部に損傷が発生しないように留意しました。また、長辺の長さ89.7mはニューマチックケーソン工法で施工されていた躯体としては国内最長です。

凸型形状躯体の施工状況
凸型形状躯体の施工状況
雨水排水ポンプ場断面図
雨水排水ポンプ場断面図

ニューマチックケーソン版「SP-MAPS」を採用

ニューマチックケーソンの構築ではケーソンを安定した姿勢で沈下させるため、刃口内側の土砂を部分的に掘り残しながら掘削を進めます。
本工事では、ケーソン刃口周辺の掘り残し部の掘削具合を可視化するシステム(ニューマチックケーソン版「SP-MAPS」)を適用し、システムの有効性を確認しました。

SP-MAPSで掘削状況を可視化
SP-MAPSで掘削状況を可視化

令和5年度土木学会技術賞を受賞

石巻市石巻中央排水ポンプ場他 1 施設復興建設工事その2、その3

所在地
宮城県石巻市
発注者
日本下水道事業団(事業者:石巻市)
工期
2018.2~2023.3 ※外構工事は~2023.7
構造・規模
平面寸法 89.7m×41.2m 面積3,362m2、深さ GL-35.3m

より深く、より大きく、より高精度に。シミズのニューマチックケーソン

ニューマチックケーソン工法による2000年以降の29の当社施工実績です。

ベトナム 東京都 神奈川県 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 17 18 19 1 2 3 16 宮城県 石巻市石巻中央排水ポンプ場 千葉県 江戸川第一終末処理場主ポンプ棟 神奈川県 川崎港臨港道路東扇島水江町線主橋梁下部 大師河原ポンプ棟 五反田川放水路放流部立坑 埼玉県 新大宮上尾道路宮前地区橋梁基礎 埼京線北与野・大宮間高速埼玉東西連絡道 東京都 東京都芝浦センター・森ケ崎水再生センター間連絡管 王子第二ポンプ所 等々力大橋下部 東京外かく環状道路 東名JCT・本線シールドトンネル立坑 八王子中野送水管立坑 東京大学総合図書館 別館 町田市小山町2215番~八王子市南大沢 三丁目地先間送水管用立坑 小松川第二ポンプ所 東尾久浄化センター西日暮里系ポンプ棟 西日暮里幹線立坑 日暮里・舎人線荒川横断橋梁下部 晴豊1号橋下部 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 29 ベトナム バイチャイ橋 20 21 22 23 新潟県 妙高大橋架替下部 富山県 猪谷楡原道路 片掛橋下部 愛知県 名古屋市広川ポンプ所 長野県 村山橋下部 P3橋脚 24 25 26 28 27 兵庫県 東灘芦屋線道路改築事業連絡橋 宮崎県 (国道)天満橋下部 長崎県 長崎港(女神地区)橋梁基礎 女神橋下部 三重県 宮川浄化センタースクリーンポンプ棟 尾鷲海洋深層水取水施設

ニューマチックケーソン工法で社会インフラを安全かつ確実に構築

ニューマチックケーソン工法は、仮設の土留壁を必要とせず、地下水位の高い環境下や海洋・河川などでも地中構造物を安全かつ確実に構築できる工法で、上下水道施設や橋梁基礎などの社会インフラの構築に大きく貢献します。当社は、ここにご紹介したものを含めて約90基もの豊富な施工実績があります。用途は、橋脚基礎・ポンプ場・トンネル立坑・地下図書館など多岐にわたり、国内に限らず、海外でもベトナムやバングラディッシュで実績を重ねてきました。また、SP-MAPSのようなDX技術を取り入れた躯体の施工精度向上、粒子法を活用した周辺地盤の高精度変位予測、構築順序の工夫による短期施工など、新しいことにも積極的に取り組んできました。今後も、社会やお客様の期待を超える価値の提供に努め、社会資本整備に貢献していきます。

お問い合わせ
土木技術問合せ窓口 sc-civiltech-mlist@shimz.co.jp

記載している情報は、2026年6月23日現在のものです。
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