生物多様性

自然保護・生物多様性に関する方針

シミズ生物多様性ガイドライン

これまでに行ってきた生物多様性に配慮した設計、施工、研究開発、環境教育、社会貢献などの活動をさらに継続・発展させ、社会的責任を果たすため、2009年4月に「シミズ生物多様性ガイドライン」を制定しました。

シミズ生物多様性アクションプラン

「シミズ生物多様性ガイドライン」に則った活動の「目指すべき姿」と「現状認識」を示すとともに、営業、設計、施工等の担当者毎に推進、実行すべき「アクション」等で構成された「シミズ生物多様性アクションプラン」を2010年6月に制定しました。

ガイドラインをアクションプランへ展開
ガイドラインをアクションプランへ展開

アクションプランに則った代表的な活動は、以下に記載する「生物多様性認証制度の普及推進」、「事業活動における生物多様性に配慮した調査・計画」、「生物多様性に配慮した空間設計」、「地域の動植物の生物多様性に配慮した施工」、「ステークホルダーとの協働・社会貢献活動」等で、関連部門・部署毎にISO14001の仕組みの中で推進するとともに、アクションプランは、定期的に見直しを行います(アクションプラン自体の社外公開は行っておりません)。

生物多様性認証制度の普及推進

一般社団法人いきもの共生事業推進協議会(ABINC)会員企業として、各種のワーキンググループに参画し、「いきもの共生事業所®認証(ABINC認証)制度の普及・啓発に寄与しています。

同制度は、生物多様性保全に取り組む工場、オフィスビル、商業施設、集合住宅等を「いきもの共生事業所®」として認証しており、当社施設としては、東京都江東区に位置する清水建設技術研究所が2015年2月に認証を取得しました。技術研究所に2006年に設置した都市型ビオトープ「再生の杜」は、銀座から3㎞というロケーションにありながら、2,000m2規模のビオトープを中心に300種以上のいきものが訪れる緑地を有していることが評価されたものです。

以下に記載する「生物多様性に配慮した調査・計画」においても、お客様へのご提案を通じて、ABINC認証の普及に努めています。

事業活動における生物多様性配慮の取り組み

事業活動における生物多様性に配慮した調査・計画

地域の生態系ネットワークを評価「UE-Net」

UE-Net

2007年の第3次生物多様性国家戦略制定、2008年の生物多様性基本法成立を受け、また、2010年の愛知県名古屋市での「生物多様性条約第10回締約国会議」(COP10)を控え、生物多様性に関する社会的な関心が高まった2009年に、清水建設では都市域の開発の生物多様性に配慮した開発計画の立案を支援するシミュレーションシステム「UE-Net(Urban Ecological Network)」を開発・実用化しました。UE-Netは、衛星画像データを用いて地域の自然環境を分析し、事業地内の緑化計画が周辺の生態系ネットワークに与える波及効果を生物の生息適性の視点からビジュアルに示し、地域の生物多様性に貢献できる緑化計画をご提案します。

また、2011年には、多くの都市開発が計画されている東京都の「10年後の東京」計画で風の道となっている「海の森~皇居」を軸とするエリアで「UE-Net」の生物多様性データベースの拡充に取り組みました。これにより開発案件の緑化計画のみの入力により、短期間で様々な緑化計画の検討が必要な開発事業の構想段階において、このシステムを適用できるようになりました。さらには、広範囲にわたる生態系ネットワークを表示できることから、開発前の代償的な保全措置(オフセット)の検討にも活用できます。当社は、データベースを拡充した「UE-Net」を、東京臨海地域~副都心地域における都市開発計画の評価・提案に適用し、生態系ネットワークの形成に寄与していく考えです。

【これまでのUE-Netの主な活用実績】
計画地 用途
2009年 東京都江東区 庁舎
2010年 東京都新宿区 商業施設
2010年 東京都中央区 オフィス
2011年 東京都江東区 集合住宅
2011年 埼玉県 教育施設
2011年 東京都中央区 オフィス
2011年 東京都新宿区 オフィス、工場
2011年 東京都新宿区 オフィス
2012年 東京都中野区 複合施設
2012年 東京都渋谷区 オフィス
2012年 東京都港区 オフィス
2015年 神奈川県 複合施設
2016年 神奈川県 庁舎

注:工事受注に至らなかった案件を含む

また、UE-Netの活用を含む、プロジェクトにおける生物多様性に関わるお客様への提案件数を、ISO14001の目標値として定め、全社で推進しています。

【プロジェクトにおける生物多様性に関わるお客様への提案件数】
実績 (目標)
2015年 23件 (14件以上)
2016年 12件 (14件以上)
2017年 (14件以上)

公益社団法人 土木学会平成24年度環境賞、一般財団法人エンジニアリング協会 平成25年度エンジリアリング功労者賞 受賞。

UE-Net/ユーイーネットは清水建設の登録商標です。

都市域における生物多様性予測マッピング

生物多様性予測マッピング

事業地とその周辺の緑地や生物の分布を定量的に分析し、種多様性の観点から街区・市区域の生物多様性のレベルを評価し、マッピングします。
結果はGISマップとして出力され、事業計画図との重ね合わせ等が可能です。

環境指標生物種の生息適地予測マッピング

生息適地予測マッピング

小流域や街区を単位として、地域の指標生物の分布情報を蓄積し、生物種の広域的な生息適地を統計モデルによって定量的に予測します。
どの地域で生息可能性が高いかを地図上で確認することができます。

生物多様性に配慮した空間を設計

自然の潜在能力を借りて空間を設計する「エコロジカル・ランドスケープ」

エコロジカル・ランドスケープ

エコシステムとエンジニアリングとデザインを同次元で解決することにより、人と自然の要求を同時に満足しようとする設計手法です。これにより、ダムや学校、医療施設、住宅団地が地域のエコシステムに組み込まれ、本来そこにあるべき生物多様性に配慮した空間をつくることができます。

ビオトープ計画支援システム「ビオ・ナビ」

ビオ・ナビ

関係者の合意形成を図りながらビオトープのコンセプトを明確にし、完成後の経年変化などを視覚的にシミュレーションするシステムです。

地域の動植物の生物多様性に配慮した施工

ダム工事やトンネル工事における動植物保全対策

動植物保全対策

トンネル工事やダム工事は、山間地の豊かな自然環境の中で行われ、大規模な地形の改変や樹木の伐採を伴い、生態系への影響も大きいことから、自然環境特性や希少生物の生息状況などに合わせて、さまざまな対策を実施するとともに、適宜、プロジェクト毎に学識者を中心に設置された希少動植物保護のための委員会等の審査・助言を仰ぎながら工事を進めています。

生物多様性保全事例

都市の生物多様性保全

横浜野村ビル

レインガーデン
グリーン・ラジエータ
緑化ベンチ

横浜みなとみらいに2017年に竣工した横浜野村ビルでは、お客様と横浜市が新しい緑化技術を取り入れた環境配慮を開発の目標に掲げました。

清水建設グループの生態系環境関連部門を横断したチーム力を駆使し、次の5つの緑化環境技術をプロジェクトにて具現化することにより、お客様や横浜市へのニーズに応えました。

  1. 生物の生息適性シミュレーション技術(UE-Net)により、地域のエコロジカル・ネットワーク評価を整備前後で比較検証し見える化
  2. 地域性植物材料の導入(遺伝子解析技術)により遺伝的かく乱のない、地域固有の生態系に配慮
  3. 蓄雨機能を有した窪地状の植栽ゾーン「レインガーデン」を設置し、自然な雨水涵養を促すとともに湿地性の生物多様性環境を創出
  4. 希少種を含む多様な日本固有種を用いた縦型緑化ルーバー「グリーンラジエーター」を外壁面へ設置
  5. 緑地面積を阻害しない「緑化ベンチ」を設置し、夏期のクールスポットと、人が生物多様性と向き合える都市環境を創出

このような都市における生物多様性への取り組みにより、(公財)都市緑化機構の環境認定制度である、「SEGESつくる緑」や、LEED、CASBEE等数々の認証を取得しています。

アドバンテスト群馬R&Dセンタ

R&Dセンタ

群馬県明和町のアドバンテスト群馬R&Dセンタ2号館の建設に当たっては、お客様より敷地内に大規模なビオトープ導入の希望がありました。

当社は、設計当初から群馬大学の石川真一助教授(当時、2008年より教授)のアドバイスを受け、ビオトープ本来の目的である生き物の生息場としての視点に立って十分な検討を行いました。生態学に基づいた本格的ビオトープの創出を目指し、設計と施工を進め、2001年4月に完成しました。ビオトープの総面積は約17,000m2で、民間企業としては当時最大級の規模となりました。

完成後もビオトープのモニタリングをご下命いただき、「群馬県の絶滅のおそれのある野生生物リスト」に記載されている昆虫ウスイロササキリなどの生息や、オオヨシキリという鳥が繁殖してヒナが無事に巣立った様子なども確認されるなど、多くの小動物が生息し、ビオトープが順調に機能していることを確認しました。また、最先端IT企業に働く従業員の方々が自然と触れ合える憩いの場にもなっています。

清水建設技術研究所 都市型ビオトープ「再生の杜」

ビオトープ

東京都江東区の清水建設技術研究所では、都市における生物多様性向上を目指した自然再生技術の研究開発フィールドであるとともに、失ってはならない人と自然との関係性を都市においても再認識し、再生していくための技術を発想・発信していく場として、2006年に都市型ビオトープ「再生の杜」を設置しました。

自然生態系・資源・生活環境の3つの再生をテーマとして実証実験を行っているほか、環境教育の場としても活用されています。

面積:1,940m2(うち陸域1,060m2、水域650m2

2006年設置当時の導入生物
 植物:樹木106種、草本94種
 動物:魚類7種、貝類3種、甲殻類2種、両生類3種

2016年設置10年後のモニタリング結果:
 植物:設置当時の樹木・草本計200種から296種に増加
 動物:魚類は法流時の約2.5倍に増加
 昆虫類:設置時よりトンボ類やチョウ類など約160種程度の繁殖や生息を維持
 鳥類:サギ類、カルガモ、カワセミなど13~16種類が飛来

Pal Town 城西の杜

城西の杜

2005年に竣工した群馬県太田市の宅地造成事業「Pal Town 城西の杜」では、街づくりの計画にあたり、地域独自の生態系を生かして、その地域でしかなしえない空間を設計する「エコロジカル・ランドスケープ」という手法を採用しました。

ここでの地域独自の生態系の骨格を担う要素として、高い地下水位が挙げられ、調節池を限りなく多自然型にすることで、水田の遊水機能を担えるように設計しました。
防水シートは一切使わず、護岸の水深にも変化をつけました。調整池護岸は緩斜面として親水公園と組み合わせました。

調整池竣工間際に植え付けた水生植物が自らの水深に最も適した生育場所を見つけて生長し、5年後には緑豊かな護岸となり、水辺に映える街並みとなっています。

里地・里山・山間地の生物多様性保全

水戸ニュータウン

水戸ニュータウン

2001年に茨城県水戸市で計画された宅地造成事業「水戸ニュータウン十万原新都市造成工事」では、ゲンジボタルやタコノアシなど貴重な動植物も数多く、調整池機能維持と地域生態系保全の両立という課題に対し、構造物の改善設計により、十分な調整池機能を確保しながら、「人が1/2造り、残り1/2を自然に創ってもらう」という「エコロジカル・ランドスケープ」の理念に則り、多種多様な動植物の棲む多自然型調整池を具現化しました。

ステークホルダーとの協働・社会貢献活動

フェリス女学院大学

フェリス女学院大学

フェリス女学院大学緑園キャンパスでは、学生、大学関係者、当社が連携し、「地域に開かれた環境教育の拠点」を目指して、継続的なエコキャンパス化に取り組みました。計画段階から施設利用者でもある学生も参画し、ビオトープ(地上/屋上)、壁面緑化、風力発電、太陽光発電、太陽熱温水器、雨水貯留設備、ハイブリッド街路灯などの環境技術が一体的に導入されました。

ビオトープづくりでは調査、設計、建設、育成、監理のすべてに学生や地域住民が参加できるプログラムを活用しました。

また、2005年に竣工した体育館などに導入された省エネルギー・新エネルギー設備などは、教育に活用され、学生の研究にも活かされています。

アニマルパスウェイ

アニマルパスウェイ

NPOとの協働により、ヤマネ、ニホンリス、ヒメネズミなどの樹上性小動物のための移動装置を設置し、交通事故から守っています。

ナベヅルねぐら整備

ナベヅルねぐら整備

広島支店では平成9年以来継続的に、ナベヅルの飛来地である周南市八代で、ツルの保護活動に取り込んでいます。現地のボランティア団体「八代のツルを愛する会」のメンバーと協調し、営巣地の草刈や稲刈り、餌場の整備などを行っています。

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