風に対する構造物の安全性や周辺地域への影響を把握します
超高層や大規模構造物の構造設計では、地震荷重より風荷重の検討が重要となります。風洞実験棟は、風に関連する自然現象を再現し、構造物の耐風安全性を確認、建物が建つことによる周辺地域への風の影響を把握します。特に最近は、大規模都市開発の環境アセスメントやヒートアイランド現象の分野で、より高い精度の検討が求められています。
なお、風洞実験棟では、水の浮力を利用した免震システム「パーシャルフロート免震構造システム」を初めて実適用し、通常の免震構造より3割程高い免震性能を持たせています。
実験内容
- 大規模構造物に作用する風荷重の計測(多点同時風圧計測)
- 建物周辺の風速計測(多点風速計測)
- 建物周辺の降雪による吹きだまり、積雪深の計測(積雪深計測)
- 外装材などからの風切り音の計測(音圧計測)
- 建物周辺の面的な風速の可視化(時系列PIV計測)
施設の特徴
大型風洞実験装置
- 市街地に計画される大規模構造物の風荷重や風環境の評価
写真は、直径1.8kmの範囲を再現した風洞実験模型。この模型を用いて計画建物に作用する風荷重や建物周辺の風速の変化を計測します。
低騒音風洞装置
- 強風に曝される手摺や外装材から発生する風騒音の評価
低騒音の風洞装置を使用し、強風時に発生する部材からの騒音(風切り音)を計測します。風切り音では、笛を吹いた様な高音が発生する場合があり、設置後での対策が非常に困難になるため、事前の試験が必要です。
小型風洞装置
- 風による振動を考慮した構造物の挙動や風荷重評価
降雪風洞装置
- 模擬雪を用いた建物まわりの吹きだまりや積雪深の評価
実験例・成果例
- 建物周辺の風環境評価と防風対策の提案
- 強風時の構造物の挙動と作用する風荷重評価
- 風に対する構造物の最適形状の提案