当社は、環境負荷の少ない事業活動を環境基本方針として掲げ、これまで建設事業における環境汚染の防止を重要な管理項目とし、4R活動(リフューズ、リデュース、リユース、リサイクル)を推進することで、省資源化や副産物の減量化・再資源化に取り組んできました。
2025年度に公表した資源循環のロードマップでは、2050年までに建設副産物の最終処分率0%を目指す「出口側」の目標に加え、新たな管理目標として「入口側の循環利用率」を掲げ、2030年に25%以上、2050年に50%以上という到達目標を設定しました。
この達成に向けた具体的な取り組みとして、再生材率を考慮した建材の調達や、将来のリユース・リサイクルを見据えた設計・施工を推進します。さらに、長期的には、天然資源投入量を最大限抑制した建設事例の創出など、少ない資源でより多くの価値を創出する「資源生産性」に着目した事業展開を通じて、持続可能な社会の実現と新たな事業価値の創出を目指していきます。

資源循環と廃棄物削減
「入口側の循環利用率」の定量化
資源循環(サーキュラーエコノミー)の推進は、建設会社に求められる重要な使命です。当社は、建設事業で搬入する資材に占める循環利用量の割合である「入口側の循環利用率」を、政府による『循環型社会形成推進基本計画』に基づき算出するとともに、中長期的な目標として2030年に25%以上、2050年に50%以上を設定しました。
今後も、建設事業における入口側循環利用率を定期的に測定し、設計・調達・施工といった各プロセスでその向上を図ることで、資源の循環利用促進に積極的に貢献していきます。
入口側の循環利用率の目標値
2030年 | 2050年 | |
---|---|---|
建設工事(建築・土木) | 25%以上 | 50%以上 |
入口側の循環利用率の定義

入口側の循環利用率の算出
- 2024年度 入口側の循環利用率
21%

工場練りコンクリートに用いるセメントは「生コンクリート類」として計上。
地盤改良材および現場練りコンクリートに用いるセメントは「セメント」として計上。
総排出量と最終処分率
作業所から排出される建設廃棄物の年度実績を、建設副産物データ管理システム「新Kanたす」を活用して集計しています。最終処分率の低減をKPIに設定し、目標管理しています。また、排出する廃棄物の適正処理の徹底と国の電子化推進方針に則り、電子マニフェストの使用を推進しています。普及率は、2024年度97%です。
2024年度実績は以下の通りです。
- 総排出量
136万t(前年度比26%増)

- 排出量(汚泥を除く)
93万t(前年度比24%減) - 最終処分率
2.5%[目標/3.5%以下]

具体的な取組み・施策
作業所における4R活動
「4R活動」を計画・推進し、省資源化、副産物の減量化・再資源化に取り組んでいます。建設副産物発生量を予測し、効果的な削減計画を立案・実行するシステムも活用しています。
また、建設副産物適正処理eラーニングの実施や、工事長・工事主任を対象とした環境リスク管理教育の実施など、作業所における法令順守と建設副産物のより一層の発生抑制と再資源化に取り組んでいます。
これらの取り組みにより、環境への影響の軽減に寄与します。
- Refuseリフューズ 入れない 梱包レス、工場プレカット、ユニット化
- Reduceリデュース 減らす 代替型枠、作業所での工業化
- Reuseリユース 再使用する 繰返型枠(エコ型枠)、改良土
- Recycleリサイクル 再利用されるようにする 再資源化施設への搬入、メーカーリサイクル(広域認定等)



広域認定制度を活用したメーカーリサイクルの推進
当社は「広域認定制度(メーカーリサイクル)」の活用を推進しています。作業所から発生する石膏ボード、ウレタン材などの建材の廃棄物(製品端材など)を回収し、環境大臣の認定を受けたメーカーでリサイクルまで適正に処理しています。制度の利用率の高かった石膏ボードに加え、2024年度から岩綿吸音板、グラスウールなどについても、日本通運株式会社の専用回収容器「NRBOX」を用いて積替拠点に収集し、メーカーへ直送しています。今後はこの取り組みを他の作業所へも展開するとともに、他社とも連携して巡回回収することで、建設業界の資源循環の推進に貢献していきます。



廃プラスチックのマテリアルリサイクル
建設現場で発生するプラスチック廃棄物のマテリアルリサイクルを推進しています。現場では、廃棄物管理専門職「グリーンマスター」がプラスチックセンサーを用いて多種多様なプラスチックを高度に分別し、有価物として売却するスキームを構築しました。初弾の現場展開では、約4,000m3の廃プラスチックを有価売却対象としています。
さらに、同現場で発生した廃プラスチックを新築建材の原材料として同一現場で再生利用する「Site to
Site」型マテリアルリサイクルも開始しました。今後、都内のみならず地方での廃プラスチックのマテリアルリサイクルにも取り組んでいきます。



ニュースリリース
高層建物の板ガラス再資源化
超高層ビルの解体現場から排出される廃板ガラスは、再生利用のハードルが高く、そのほとんどが埋め立てられています。当社建設現場にて、解体建物から取り出した外装ガラス約340tのうち約9割を板状のまま回収し、ガラス製品の材料として再資源化するマテリアルリサイクルを実現しました。回収したガラスは、リサイクル工場で不純物を選別・除去し、カレット状に加工。これをAGC株式会社のガラス製造工場に供給し、品質試験を経て新たな板ガラスの原材料として利用しています。今後、超高層ビルの解体工事を中心に、この廃板ガラスのマテリアルリサイクルを推進していきます。

ニュースリリース
省資源取組み事例
- 「容易に撤去が出来るリサイクル100%の展示場の建設」東京ビックサイト東側仮設展示場の建設事業(東京支店)
- 当プロジェクトでは、設計・施工段階から建物解体撤去を見据えた4R活動を徹底しました。施工段階では、鋼管杭回転圧入工法や当社特許構法の杭頭リングソケットを採用、PC化やユニット化を採用し、簡易梱包・廃棄物分別活動を実施し副産物の発生を大幅に削減、また、外装部材ではリサイクル可能な部材を採用、BIMを活用した4D工程を計画・実践し、解体工事でも環境影響の少ないものづくりを実施しました。本プロジェクトは以上の取り組みにより2017年度 リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰 内閣総理大臣賞を受賞しました。


環境汚染防止
環境汚染防止については重要な管理項目として適正管理に努めています。
アスベスト
解体・改修工事から発生する石綿(アスベスト)について、汚染防止の確実な対応を行っています。
2024年度に解体・改修⼯事などから発⽣した⾶散性アスベストは1.548tでした。
個別技術として、リアルタイム計測装置(FS-1)、減容化装置(Shico)、飛散防止剤(アステクター)などの各種独自技術を開発しています。また、従業員に対して石綿関連の各種資格の取得を推進しています。2023年10月に施行された改正「石綿則」・「大防法」では、有資格者による解体・改修工事の石綿建材調査の実施が義務付けられたため、建築物、石綿含む調査者の資格取得講習会を社内で一括・集中的に実施しました。資格取得に合わせて、当社従業員の石綿建材に対する知識の向上及び、より一層の管理能力の向上を図り、汚染と健康被害の防止に取り組んでいます。


ダイオキシン類、PCB、フロン・ハロン、騒音・振動
ダイオキシン類汚染に対する除去工法として「S-DA工法」を開発・展開しています。
保管する高濃度PCB廃棄物について、機器類は2019年度に全ての無害化処理を完了しました。
当社で保有するPCB汚染物は、処理委託先各社と打ち合わせを⾏い、無害化処理を2021年度中に完了しました。
また、機器類のフロン類については、改正フロン法による点検・調査を実施し、適正管理を確認しました。又、解体工事等から排出するフロン類使用特定機器の廃フロン類については、適正な行程管理がなされていることを、内部環境監査で施工者として確認しています。
解体工事の騒音・振動・粉塵対策として、それらの発生を抑制する「クールカット工法」を開発・展開しています。
これらの施策、技術を駆使して今後も汚染の防止に取り組みます。
技術・ソリューション:シミズ・クールカット(低振動・低騒音解体)

土壌環境
土壌環境に関するトラブルを未然に防止するとともに、汚染土壌の浄化に有効な多くの対策技術で、効率的・効果的な取り組みを行い、汚染の防止を図っています。