建設現場で発生した多種多様な廃プラスチックを再資源化

~プラスチックセンサーで材質ごとに高度分別し、再資源化材として有価売却~

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2025.05.08

清水建設(株)<社長 新村達也>はこのほど、建設現場で発生したプラスチックの廃棄物を樹脂種類ごとに現場で高度分別し、再資源化材として有価売却するマテリアルリサイクルスキームを構築しました。本スキームの特長は、現場で回収した多種多様な廃プラスチックを、現場の作業員がプラスチックセンサーを用いてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの材質レベルで分別し、有価物として売却できる再資源化材を選別することです。現場展開の初弾として、「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業」の建設現場で本スキームに基づくマテリアルリサイクルの取り組みを進めています。

建設現場ではこれまで、廃棄物として回収したプラスチックを樹脂素材に応じて細かく分別する取り組みはほとんどなされておらず、廃プラスチックは主に、焼却して熱エネルギーを回収するサーマルリサイクルに供されています。廃プラスチックを新たな製品の原料として再利用するマテリアルリサイクルの取り組みも一部で進められていますが、特定のプラスチック製品の回収・再資源化に留まるのが現状です。大規模現場から発生する産業廃棄物の3~4割を占める廃プラスチックのマテリアルリサイクルが普及すれば、資源循環社会の実現に大きな貢献を果たせます。

日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業の建設現場では、軟質・硬質の非塩化ビニル系プラスチック、塩化ビニル管を主対象に、有価売却・再資源化の取り組みを推進しています。有価売却の対象となる廃プラスチックの物量は、同現場で発生する総廃棄物量の約2割に当たる約4,000m3と想定しています。

実務においては、現場の廃棄物保管場所を「資源回収ヤード」とし、廃棄物全般の管理を行う専任作業員(グリーンマスター)を配置。ヤードに持ち込まれた廃プラスチックの材質を作業員がハンディ型のプラスチックセンサーで確認し、付着物の性状や汚れの程度なども踏まえて有価売却対象物を選別します。特に軟質非塩化ビニル系廃プラスチックについては、圧縮機を用いて減容化し、運搬に伴うCO2排出量の削減を図ります。選別した廃棄物は、関東圏のリサイクラー(再資源化事業者)が再資源化材としての利用可否を判定した後、リサイクルプラントに搬出します。

リサイクルプラントでは、材質ごとに分けられた廃プラスチックを細かく粉砕してフレーク化し、併せて、その一部を溶かして粒状の再生ペレットに加工します。フレークと再生ペレットはプラスチック製品の原料として再生プラスチック製品メーカーに販売しています。

当社は、本スキームによるプラスチックマテリアルリサイクルの取り組みを自社の建設現場に順次展開し、資源循環社会の実現に寄与していく考えです。

以上

≪参 考≫

建設現場由来廃プラスチックのマテリアルリサイクルフロー

建設現場由来廃プラスチックのマテリアルリサイクルフロー

再資源化に向けた廃プラスチックの高度分別

再資源化に向けた廃プラスチックの高度分別
資源回収ヤード
資源回収ヤード
グリーンマスターによる分別作業
グリーンマスターによる分別作業
廃プラスチックの材質確認
廃プラスチックの材質確認

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