SDGs達成に向けて

地域密着型の2MW級バイオマス発電で
地域林業と地球温暖化対策に貢献 信州ウッドパワー・信州ウッドチップ

地域密着型の2MW級バイオマス発電で地域林業と地球温暖化対策に貢献 信州ウッドパワー・信州ウッドチップ

SDGs達成に向けて 地域密着型の2MW級バイオマス発電で
地域林業と地球温暖化対策に貢献
信州ウッドパワー・信州ウッドチップ

2020年7月、シミズが推進する地域密着型の木質バイオマス発電施設の第1号が、長野県東御(とうみ)市で稼働を開始しました。地域の森林資源を有効活用した再生可能エネルギー発電を行うことで、持続可能な森林経営の一翼を担い、地球温暖化対策、林業振興、地域創生に貢献します。

地域とウィンウィンの関係を築く総合発電施設

発電事業を行うに当たり、トヨタ ユー・グループとの共同出資により「信州ウッドパワー株式会社」と、同社子会社として木質チップを製造する「信州ウッドチップ株式会社」を設立。千曲川沿いの小高い丘に面する羽毛山(はけやま)工業団地内に発電とチップ製造施設を構築しました。
発電出力は2MWクラス。固定価格買取制度(FIT)を利用して中部電力に20年間売電します。この発電量で、一般住宅約5,400戸分に電力供給が可能となります。
燃料の元となる木材は、間伐材由来やマツクイムシ被害材を含む未利用材で、地域の各森林組合や生産者などから購入します。また、発電所とチップ製造工場運営のために、12名の新規地域雇用を創出しています。
人とお金の循環を生み出し、先端技術を取り入れたチャレンジをこの地で継続することで地域創生に貢献し、地域や林業とウィンウィンの関係を築くことができる総合発電施設です。

信州ウッドパワー・信州ウッドチップ 「episode1 私たちの理念」(2分24秒)※画面クリックで動画再生

全体配置図
全体配置図

未利用材やマツクイムシ被害材を地域資源に

森林を整備・保全するためには、間伐などの手入れを適切に施すとともに、皆伐(一度に全部伐採する)・再造林(伐採した跡地に再び苗木を植えて人工林をつくる)も適時実施する必要があります。その際に発生する曲がり材、こずえや根元の部分の一部は、残置され未利用となっているのが現状です。本プロジェクトでは、その林地残材も含め、製材用原木として利用できない未利用材を燃料資源としています。加えて、地域で問題化しているマツクイムシ被害材の処理・資源化にも貢献し、燃料として有効活用しています。
信州ウッドパワーが燃料に使用する原木量は年間約3万トン。地域からの供給量で十分にまかなうことができ、地域の中だけで事業が成り立つように選択した事業規模です。未利用材を有効に資源化し、森林の保全や育成につながる持続可能な林業経営を前提にした事業を行っていきます。

信州ウッドパワーの木質バイオマス発電のしくみ

木質バイオマス発電は、再生可能エネルギー発電の一つで、未利用材などの森林資源をチップ化して直接燃焼させタービンを回す、あるいは一度ガス化してからガスエンジンを回し、発電機を動かして発電を行うものです。信州ウッドパワーでは木質チップを直接燃焼し、ボイラーで蒸気を発生させてタービンを回す「蒸気タービン方式」を採っています。温室効果ガスを増加させず、さらにCO2を吸収する森林の保全と育成を行うため、地球温暖化対策に貢献する発電で、年間約7,000トンのCO2削減効果が見込まれます。
また、水を大量に使用する水冷方式ではなく空冷方式を採用したことで、使用する上水は最大一般家庭約2.5軒分、プラント排出も上水以下と、水資源や河川の保全にも十分な配慮をしています。
施設の管理棟は木造2階建て。地域が誇る最高の材種・信州カラマツを主要構造材や外壁、内装などにふんだんに使い、その魅力を感じてもらえるようにしました。ボイラーの排熱を利用した床暖房設備も完備しています。また、2階のプレゼンテーションルームは、木育イベントなどの会場としても利用可能です。

木質バイオマス発電のしくみ(蒸気タービン方式)
木質バイオマス発電のしくみ(蒸気タービン方式)
貯留ヤード(自動クレーン、燃料用ホッパー)
貯留ヤード(自動クレーン、燃料用ホッパー)
木造管理棟2階プレゼンテーションルーム
木造管理棟2階プレゼンテーションルーム

最新のICT技術で業務を革新

林業や発電プラントのICT化を促す先進的な取り組みも展開しています。

木質バイオマス認証トレーサビリティシステム

GPS/GISや画像認識の技術を利用して、燃料となる原木の調達ルートを認証できるシステムです(特許出願中)。原木の伐採から保管に至るまでの各段階で、確かな由来の未利用材であることを証明するため、(株)JEMSと共同開発しました。車両の運転手が専用スマートフォンで手間なく簡単にワンタッチ入力でき、GPSによる自動追跡で運搬軌跡を「見える化」します。由来証明画面をタッチするだけで証明書の作成が完了し、運搬軌跡など多くのデータはクラウド上で一元管理でき、いつでも確認、活用できます。
今後はこのシステムをベースに、林業のDX化につながる「認証木材」「需要者木材マッチング」および「施業管理」にも展開する予定です。

トレーサビリティシステム

プラント運用遠方支援システム

バイオマス発電では日本初導入で、プラントメーカー(三菱パワーインダストリー(株))と共同開発しました。信州ウッドパワーと広島県呉市・神奈川県横浜市のプラントメーカーを専用高速回線で結びます。プラントメーカーは運転状況をリアルタイムにモニタリングしながら遠隔サポートを行い、現地のスタッフはいつでも運転アドバイスを受けられるので、安心して操作することができます。さらなるチャレンジとして、技術伝承のデジタル化やAI監視機能も追加する予定です。

クレーン自動化による無人チップ搬入システム

木質バイオマス発電はチップを常時投入し続ける必要があり、多くは人為操作で行われています。信州ウッドパワーは、この操作を無人化しました。チップ貯留棟から発電プラントへの燃料チップ投入が、プログラム化されたクレーン作業により自動で行われます。これにより従来のバイオマス発電で課題となっていた、特に夜間や休日の燃料供給作業にかかる労働負荷を軽減しました。環境だけでなく、人にもやさしい総合発電施設を目指しています。

信州ウッドパワー・信州ウッドチップ 「episode2 私たちの林業用バイオマスプラント」(2分55秒)※画面クリックで動画再生

シミズは、2MWクラスの木質バイオマス発電とチップ製造施設をパッケージ化して、第2、第3の施設立ち上げを目指し、地球温暖化の防止と持続可能な森林経営につながる事業を拡大することによって、SDGsの達成に大きく貢献していきます。

記載している情報は、2020年12月1日現在のものです。
ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がございますので、あらかじめご了承ください。

おすすめ事業トピックス