健康経営

WELL認証で建物にも「健康」の視点を

利用する人の「健康(well-being)」や「快適性」に焦点を当てて建物を評価する「WELL認証」が注目を集めています。

健康経営WELL認証で建物にも「健康」の視点を

利用する人の「健康(well-being)」や「快適性」に焦点を当てて建物を評価する「WELL認証」が注目を集めています。2018年7月、シミズの海外子会社である清水中国社は、上海の自社オフィスにおいて同認証を取得しました。

働く人の健康を重視したワークプレイスを

WELL認証は、「人の健康」という観点から建物空間のデザイン、構築、運用を評価する国際認証システムです。2014年に創設されて以来、2018年10月現在までに世界41カ国、1000以上のプロジェクトが認証登録されており、日本においても近年、注目されるようになってきました。

「健康経営の観点から、働く人の健康を重視したワークプレイスが求められています。WELL認証に準拠した建物環境にすることで、従業員の健康増進、生産性の向上、さらには優秀な人材の獲得にもつながると期待されているのです」と国際支店営業部の竹迫由美子は語ります。

WELL認証の担当者。左から投資開発本部の谷口準、国際支店営業部長の竹迫由美子、清水中国社のChen Yanbei、LCV事業本部の坪内優と木藤宏美
WELL認証の担当者。左から投資開発本部の谷口準、国際支店営業部長の竹迫由美子、清水中国社のChen Yanbei、LCV事業本部の坪内優と木藤宏美

評価されるのは「空気、水、栄養、光、フィットネス、快適性、こころ」の7領域・約100項目。医学的なエビデンスに基づいて建物・室内環境を評価するもので、書類審査だけでなく、実地審査も行われます。建物全体で取得する以外にテナント内装のみでも取得でき、いずれもレベルに応じてプラチナ、ゴールド、シルバーの認証が付与されます。

今回、清水中国社の上海オフィスは、移転に伴い新築ビルの1フロアに改修を施し、WELL認証v1の「インテリア」区分でシルバーを取得しました。

浦東地区の「前灘世貿中心1期」の20階に位置する清水中国社の上海オフィス。1フロア1580㎡を改修し、WELL認証を取得した
浦東地区の「前灘世貿中心1期」の20階に位置する清水中国社の上海オフィス。1フロア1580㎡を改修し、WELL認証を取得した

空気も水もきれいなオフィスで従業員満足度が向上

清水中国社の上海オフィスでは、WELL認証の基準を満たすべく、次の改修を実施しました。
まず、室内の空気については、CO2やVOC(揮発性有機化合物)、PM2.5などの濃度を基準内に保つため、自動換気設備やエアフィルターを整備。水に関しては、ろ過・浄化設備を通すことで、水道水の飲用を可能にしました。光については、太陽光のセンサーを設置して日中の光の強度を調整。太陽光と人工光を組み合わせて、睡眠と覚醒のサイクルを整えるサーカディアン照明を導入しています。

一方、運用面では、終業後のスポーツ支援、マラソン大会などへの参加、健康に良い食生活の啓蒙、健康関連のライブラリーコーナーの設置などを通じて、フィットネスや栄養、快適性、こころの4つの評価領域についても対応しました。

工事を担当し、自らもこのオフィスで働く清水中国社のChen Yanbeiは、「ビル内の1フロアという制約の中で認証基準を満たすために知恵を絞り、シミズの技術を駆使しました。移転後のアンケートでは、70%を超える従業員が『オフィス環境への満足度が向上した』と回答しています」と話します。

会議室。CO2濃度が800PPMを超えると自動換気される
会議室。CO2濃度が800PPMを超えると自動換気される
オフィス中央部に位置する防音会議室。外光が入るよう、ガラスパーテーションを採用し、開放感を向上させた
オフィス中央部に位置する防音会議室。外光が入るよう、ガラスパーテーションを採用し、開放感を向上させた
長時間のデスクワーク対策として、スタンディングにも対応した高さ調節可能なデスク
長時間のデスクワーク対策として、スタンディングにも対応した高さ調節可能なデスク
従業員のフィットネスも積極的にサポート。上海マラソンに参加する清水中国社のスタッフたち
従業員のフィットネスも積極的にサポート。上海マラソンに参加する清水中国社のスタッフたち

認証取得の経験をお客様の案件に活かす

シミズは、WELL認証制度を創設したDELOS社のアライアンスプログラムに参加し、認証の認知度を高め、認証プロジェクトを増やす取り組みを進めています。

「清水中国社での経験を、お客様のよりスムーズな認証取得に活かしていきたい。特に、中国はアメリカに次ぐWELL認証の大きな市場。上海の事務所をショールームとして実際にお客様に見ていただき、WELL認証の普及と取得拡大を進めていきます」と語るのは、LCV事業本部の坪内優。

2017年4月、DELOS社とグローバルコーポレートアライアンスを締結(左が当社社長)
2017年4月、DELOS社とグローバルコーポレートアライアンスを締結(左が当社社長)
2020年3月に竣工予定の横浜グランゲート(MM21-54街区プロジェクト)
2020年3月に竣工予定の横浜グランゲート(MM21-54街区プロジェクト)

海外だけでなく日本国内でも、シミズの投資開発物件である「横浜グランゲート」が、2018年4月にテナントオフィスビルとして日本初のプレ認証ゴールドを取得しました。
この物件を担当した投資開発本部の谷口準は、「国内のリーシングにおいてもWELL認証の取得がインセンティブになるよう、パイオニアとして市場を牽引していきたいと思っています」と意気込みを語ります。

「お客様の建物についてもWELL認証の取得に向け、現在複数案件のコンサルティングを行っています」と話すのは、LCV事業本部の木藤宏美。そのための専門知識を備えた「WELL AP」(認定プロフェッショナル)の資格を持つ社員はすでに60名を超えており、日本企業では類まれな層の厚さだと言います。

豊富な技術で建物と健康のあり方を追求

人は生涯の90%を建物内で過ごすと言われています。それだけに建物空間は健康に大きな影響を与えます。健康経営の推進、ESG投資の拡大といった社会的な流れを受け、今後はWELL認証の取得を目的とした建替えや改修工事のニーズがいっそう高まるでしょう。

シミズは、これからも豊富な対応技術により、多様なウェルネスのあり方を追求・提案し、お客様施設の付加価値向上に努めていきます。

当社のコンサルにより、プレ認証を取得した清和ビジネス本社(東京都中央区)
当社のコンサルにより、プレ認証を取得した清和ビジネス本社(東京都中央区)

記載している情報は、2018年12月17日現在のものです。
ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がございますので、あらかじめご了承ください。