
健康経営WELL認証で建物にも「健康」の視点を2018.12.17
利用する人の「健康(well-being)」や「快適性」に焦点を当てて建物を評価する「WELL認証」が注目を集めています。2018年7月、シミズの海外子会社である清水中国社は、上海の自社オフィスにおいて同認証を取得しました。
働く人の健康を重視したワークプレイスを
WELL認証は、「人の健康」という観点から建物空間のデザイン、構築、運用を評価する国際認証システムです。2014年に創設されて以来、2018年10月現在までに世界41カ国、1000以上のプロジェクトが認証登録されており、日本においても近年、注目されるようになってきました。
「健康経営の観点から、働く人の健康を重視したワークプレイスが求められています。WELL認証に準拠した建物環境にすることで、従業員の健康増進、生産性の向上、さらには優秀な人材の獲得にもつながると期待されているのです」と国際支店営業部の竹迫由美子は語ります。

評価されるのは「空気、水、栄養、光、フィットネス、快適性、こころ」の7領域・約100項目。医学的なエビデンスに基づいて建物・室内環境を評価するもので、書類審査だけでなく、実地審査も行われます。建物全体で取得する以外にテナント内装のみでも取得でき、いずれもレベルに応じてプラチナ、ゴールド、シルバーの認証が付与されます。
今回、清水中国社の上海オフィスは、移転に伴い新築ビルの1フロアに改修を施し、WELL認証v1の「インテリア」区分でシルバーを取得しました。

空気も水もきれいなオフィスで従業員満足度が向上
清水中国社の上海オフィスでは、WELL認証の基準を満たすべく、次の改修を実施しました。
まず、室内の空気については、CO2やVOC(揮発性有機化合物)、PM2.5などの濃度を基準内に保つため、自動換気設備やエアフィルターを整備。水に関しては、ろ過・浄化設備を通すことで、水道水の飲用を可能にしました。光については、太陽光のセンサーを設置して日中の光の強度を調整。太陽光と人工光を組み合わせて、睡眠と覚醒のサイクルを整えるサーカディアン照明を導入しています。
一方、運用面では、終業後のスポーツ支援、マラソン大会などへの参加、健康に良い食生活の啓蒙、健康関連のライブラリーコーナーの設置などを通じて、フィットネスや栄養、快適性、こころの4つの評価領域についても対応しました。
工事を担当し、自らもこのオフィスで働く清水中国社のChen Yanbeiは、「ビル内の1フロアという制約の中で認証基準を満たすために知恵を絞り、シミズの技術を駆使しました。移転後のアンケートでは、70%を超える従業員が『オフィス環境への満足度が向上した』と回答しています」と話します。




認証取得の経験をお客様の案件に活かす
シミズは、WELL認証制度を創設したDELOS社のアライアンスプログラムに参加し、認証の認知度を高め、認証プロジェクトを増やす取り組みを進めています。
「清水中国社での経験を、お客様のよりスムーズな認証取得に活かしていきたい。特に、中国はアメリカに次ぐWELL認証の大きな市場。上海の事務所をショールームとして実際にお客様に見ていただき、WELL認証の普及と取得拡大を進めていきます」と語るのは、LCV事業本部の坪内優。


海外だけでなく日本国内でも、シミズの投資開発物件である「横浜グランゲート」が、2018年4月にテナントオフィスビルとして日本初のプレ認証ゴールドを取得しました。
この物件を担当した投資開発本部の谷口準は、「国内のリーシングにおいてもWELL認証の取得がインセンティブになるよう、パイオニアとして市場を牽引していきたいと思っています」と意気込みを語ります。
「お客様の建物についてもWELL認証の取得に向け、現在複数案件のコンサルティングを行っています」と話すのは、LCV事業本部の木藤宏美。そのための専門知識を備えた「WELL AP」(認定プロフェッショナル)の資格を持つ社員はすでに60名を超えており、日本企業では類まれな層の厚さだと言います。
豊富な技術で建物と健康のあり方を追求
人は生涯の90%を建物内で過ごすと言われています。それだけに建物空間は健康に大きな影響を与えます。健康経営の推進、ESG投資の拡大といった社会的な流れを受け、今後はWELL認証の取得を目的とした建替えや改修工事のニーズがいっそう高まるでしょう。
シミズは、これからも豊富な対応技術により、多様なウェルネスのあり方を追求・提案し、お客様施設の付加価値向上に努めていきます。

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