新エネルギーにかける夢

世界最大級の自航式SEP船建造に着手

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新エネルギーにかける夢 世界最大級の自航式SEP船建造に着手

発電能力の規模や安定性から、再生可能エネルギーの中でも期待の高い洋上風力発電。
風車の基礎部分を海底に固定する「着床式」と、海上に浮かべた構造物の上に風車を載せる「浮体式」の2種類があり、大型の着床式風車は、SEP船と呼ばれる作業船を使って建設します。
シミズはこのたび、12MW級の大型風車にも対応できる世界最大級の自航式SEP船の建造に着手しました。

波が高い時でも影響なく工事ができる

SEP船の大きさは、全長142m、全幅50m、総トン数2万8000tに及び、メインクレーンの揚重能力は2500t、最高揚重高さは158mで世界有数の作業能力を備えます。完成は2022年10月の予定です。

自航式SEP船の概要。超大型風車の建設に対応できる 自航式SEP船の概要。超大型風車の建設に対応できる
自航式SEP船の概要。超大型風車の建設に対応できる
自航式SEP船の概要。超大型風車の建設に対応できる 自航式SEP船の概要。超大型風車の建設に対応できる
自航式SEP船の概要。超大型風車の建設に対応できる

SEPはSelf-Elevating Platformの頭文字で、自己昇降式作業台船を意味します。「自己昇降式」というのは、船が目的地に到着後、4本の脚を海底に着床させ、船体をジャッキアップすることによって海面から浮上させ、自立する仕組みです。水深10~65mの海域で作業でき、海が荒れて波が高い時でも影響を受けず、安定した姿勢で工事ができることが特徴です。
また、動力を持つ自航式の作業船であるため、曳航(えいこう)のための船をチャーターする必要がなく、合理的な施工計画立案が可能です。欧州ではこの自航式での施工が一般的となっています。

洋上での風車の施工手順は、まず基礎を施工した後、風車のタワー、ナセル(駆動部)、ブレード(羽)をSEP船に搭載・運搬し、基礎上に据え付けるという流れになります。

(1)基礎 積込
(1)基礎 積込
(2)杭(モノパイル)打設
(2)杭(モノパイル)打設
(3)トランジッションピース 設置
(3)トランジッションピース 設置

基礎杭(モノパイル)打設・トランジッションピース設置

(4)風車 積込
(4)風車 積込
(5)タワー据付
(5)タワー据付
(6)ナセル据付
(6)ナセル据付
(7)ブレード据付
(7)ブレード据付

風車据付

(1)基礎 積込
(1)基礎 積込
(2)杭(モノパイル)打設
(2)杭(モノパイル)打設
(3)トランジッションピース 設置
(3)トランジッションピース 設置
(4)風車 積込
(4)風車 積込
(5)タワー据付
(5)タワー据付
(6)ナセル据付
(6)ナセル据付
(7)ブレード据付
(7)ブレード据付

SEP船による着床式洋上風力発電風車の施工手順

シミズが建造するSEP船は、一度に大量の資材を運搬できることも大きな特徴です。8MW風車なら7基、12MWなら3基分の全部材を一度に搭載でき、予備日をみて8MW風車の場合は7基を10日、12MWの場合は3基を5日で据え付けることができます。通常の作業台船に比べ、稼働率が約5割向上します。

150分の1の模型 150分の1の模型
150分の1の模型

海に囲まれた日本の洋上風力発電のポテンシャル

2018年7月に発表された、わが国の第5次エネルギー基本計画では「エネルギーミックスの確実な実現」を目標に掲げています。それには、再生可能エネルギーの電源構成比率を22~24%に引き上げなければなりません。

2018年の日本国内の総発電量に占める再生可能エネルギーの割合は17.4%で、その内訳は、水力7.8%、太陽光6.5%、風力0.7%、バイオマスと地熱が併せて2.2%となっています。このうち、大規模な発電が可能なのは水力・太陽光・風力ですが、水力と太陽光については適地がほぼ開発し尽くされていて、最も伸び代があるのが風力だと言われています。

参考:電源構成(2030年度予測)(資源エネルギー庁) 参考:電源構成(2030年度予測)(資源エネルギー庁) 参考:電源構成(2030年度予測)(資源エネルギー庁)
参考:電源構成(2030年度予測)(資源エネルギー庁)

風力では陸上風力に続き、洋上風力に期待が集まっています。
欧州では2000年ごろから洋上風力発電が普及し、既に日本の風力発電総量の5倍以上に当たる1850万kWが洋上風力発電によって産み出されています。
四方を海に囲まれた日本も、洋上風力発電のポテンシャルは欧州並みに高いと見られています。シミズもこれまでに、福島県双葉郡楢葉町沖約20kmの海域で浮体式洋上風力発電の実証研究事業を展開する福島洋上風力コンソーシアムに参画し、施工ノウハウを提供してきました。

超大型風車の需要を見越した投資判断

2018年11月に「海洋再生可能エネルギー発電利用促進法」、いわゆる「洋上発電新法」が成立し、2019年4月に施行されました。今後、国による促進区域の指定を受ければ、発電事業者はその海域を最長30年間にわたり洋上風力発電用に占有できるようになります。
これにより、日本でも洋上風力発電の計画が本格化するものと見られています。

2019年7月には既に、洋上風力発電の開発を先行的に進める「有望な区域」として、秋田県の能代市・三種町・男鹿市沖、秋田県の由利本荘市沖、千葉県の銚子市沖、長崎県の五島市沖の4海域をはじめとする11区域が指定されました。

日本での洋上風力発電事業の規模と採算を考えると、8MW以上の大型風車の設置が必要になります。また、風車の大型化に伴い、基礎の施工には2,000t以上のクレーンが確実に必要となります。しかし、これまで国内には、これほど大規模な風車を建設できる作業船がありませんでした。欧州から借りてこようにも、現地での作業船の需要が高いことから、簡単には確保できません。責任を持って風車の建設を請け負うには、自前の作業船を用意する必要があります。

洋上風力のトップシェアを目指す

洋上風力新法に基づく海域の指定は2019年度末、発電事業者の認定は2020年度と想定され、2023年以降には、次々と大型風車の建設が始まることでしょう。
5兆円超と試算される洋上風力発電施設の建設工事市場において、大型風車を確実かつ効率的に施工できるSEP船を有することで、シミズはトップシェアを目指しています。

洋上風力のトップシェアを目指す 洋上風力のトップシェアを目指す

記載している情報は、2020年2月3日現在のものです。
ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がございますので、あらかじめご了承ください。

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