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足下に隠されたBCPのカギ

大地震による被害を軽減する上で、施設の免震化は効果の高い対策の一つです。しかし、施設全体の免震化は、コスト負担が大きく、工期も長くなりがちです。そこで次に考えられるのが、施設の重要部分のみを免震化する対策です。例えば、病院では手術室などの免震化が、また生産施設や物流施設では重要機器や装置の免震化がBCP(事業継続計画)の鍵となります。

重要な部屋を床免震でまもる

病院の手術室や、オフィスのサーバールームなど、機能維持の観点から重要となる部屋については、部屋の床全体を免震化する対策が考えられます。

シミズ安震フロア

シミズ安震ロアは、薄い鋼板2枚を重ねただけのシンプルな構造の床免震システムで、地震時には上部の鋼板がスライドすることで高い免震効果を発揮します。装置の厚さはわずか5mm弱(フロアプレート:1.6mm+免震プレート:3.2mm)であり、新築はもちろん、既存の床上にそのまま設置することが可能です。また、非常にシンプルな構造のため、一般的な床免震と比較してローコスト(1/2~2/3)であり、工期も手術室の場合なら1室(75m2)あたり10日間程度です。

シミズ安震フロア
Column
家具・什器の転倒がケガの主原因
1995年の阪神・淡路大震災を教訓とする建築基準法の改正により、建物の構造安全性は飛躍的に高まりました。2011年の東日本大震災でも、地震の揺れによる建物の構造的な被害は少なかったことが報告されています。一方、地震の揺れで家具や什器が転倒してケガをされた方の割合はあまり減っておらず、地震時における室内の安全性確保は対処すべき重要な課題として残されています。
大地震の揺れは凄まじく、震度6以上ともなると、ほとんどの人は立っていることすらできません。例えば家の中では、食器棚の食器や本棚の本がものすごいスピードで飛び出し、室内にいる方に襲いかかってきます。また床は、割れたガラスや食器でいっぱいになり、とても裸足では歩くことができません。倒れた家具が廊下をふさいでしまったり、ドアがゆがんで部屋や家から出られなくなることもあります。
免震装置は、こうした被害を軽減する上で重要な役割を果たしますが、そのほとんどはオフィスや集合住宅などの大規模施設向けであり、戸建住宅などに導入できるものは少ないのが現状です。しかし、家具や什器を固定したり、ガラスに飛散防止フィルムを貼るなど、戸建住宅でも比較的簡単にできる対策は決して少なくありません。以下の冊子は、当社従業員の家族向けに発行したものですが、BCPを策定する上でも重要となる「社員の家庭の安全確保」にお役立てください。
「Oh!地震が来たぞぉ〜」(家庭向け震災対策マニュアル)
「Oh!地震が来たぞぉ〜」
(家庭向け震災対策マニュアル)

重要な設備や装置を個別にまもる

物流施設では立体自動倉庫のラック架台に対する部分免震が、また生産施設では電力を供給するキュービクルなどの重要設備機器に対する機器免震が考えられます。

ラックベーススライダー

ラックベーススライダーは、ラック架台のコンクリート基礎と建物の床の間に設置する免震装置です。この装置は、地震の揺れが伝わらないようにラック架台がレール上をスライドする仕組みになっていて、2本のレール状部材を直交するように組み合わせることで、あらゆる水平方向の揺れに対し免震効果を発揮します。また、部材表面に施した特殊加工と部材につけた傾斜により、揺れを収束させる減衰効果はもちろん、ラック架台を元の位置に戻す復元効果も備えています。

ラックベーススライダー

ラックトップダンパー

ラックトップダンパーは、ラック架台の最上段に設置した錘(おもり)の動きで地震の揺れを打ち消すTMD(チューンド・マス・ダンパー)タイプの制震装置で、X軸、Y軸の2方向に錘が独立して動くことで、360°の揺れに対して高い制震効果を発揮します。本装置の設置は、通常の荷物同様、立体自動倉庫の搬送システムを使ってラック架台の所定の棚まで運び、ボルトで固定するだけであり、営業しながらの設置も可能です。

ラックトップダンパー

安震スライダー

安震スライダーは、対象物の架台とその基礎との間に特殊な免震装置を設置することで、震度6強を超える大地震時においても、対象物への入力加速度を0.3G程度に低減するものです。また、大地震には免震機能を発揮する一方、強風には反応しないなど、屋外に設置する設備などに最適な機器免震システムとなっています。生産施設や病院などのキュービクルへの適用はもちろん、屋内に設置されたサーバーや精密部品のストッカー等に対しても適用可能です。

安震スライダー
Column
地震による装置・機器の被害が事業そのものを止める?
東日本大震災では、継続時間の長い揺れにより、震源から半径300kmにわたる広い地域において立体自動倉庫内の荷崩れ被害が発生しました。中には、自動倉庫内の一部の荷崩れによって搬送機器が使えなくなり、業務再開に数ヶ月を要した物流施設もあります。また、変電設備を収納するキュービクルが被災したために電源が喪失し、製造ラインが停止した生産施設も数多く見受けられました。
ただ、生産施設や物流施設で何よりも恐ろしいのは、こうした一つひとつの施設の被害よりはむしろ、一つの施設が被害を受けることでサプライチェーン全体が機能停止に追い込まれてしまうことです。2007年の新潟県中越沖地震では、自社工場が被災しなかったにもかかわらず、サプライチェーンを構成する取引先の拠点が被災したために、事業そのものが中断してしまったケースが発生しています。
当社では、施設単体にとどまらず、取引先の工場まで含めたサプライチェーン全体が大地震の発生時にどのようなリスクを抱えているのか、また、ウィークポイントはどこにあるかなどを短時間で把握することができるシステムを開発・実用化しています。不安をお持ちのお客様は、ぜひご相談ください。
予測例1
予測例1

東京部品工場の被災により部品供給が途絶えるため、その下流に位置する埼玉事業所、東京事業所、神奈川事業で波及被害(グラフ)が生じることが予想されます。
被害総額:108.3億円

予測例2
予測例2:対策として在庫日数を増やす

地震被害を低減するために、各施設の在庫日数を3日から21日に増やした場合の結果を示しています。
在庫日数を増やすことにより、他施設の被災による波及被害がなくなります。
被害総額:78.0億円

予測例2
予測例3:さらに耐震補強対策

直接被害や間接被害を低減するために、予測2に対してさらに東京事業所と神奈川事業所の耐震補強を行った場合を示しています。
直接被害と間接被害がさらに低減されます。
被害総額:60.3億円