照明と空調に隠された省エネのカギ

オフィスビルを例にとると、消費エネルギーの40〜45%は空調設備が、約20%は照明設備が占めています。これら2つの設備に関わるエネルギーの無駄を省くことが、省エネの鍵となります。いずれも施設利用者の快適性に直結する設備のため、無駄を省くにあたっては、施設の状況を十分に把握し、快適性を損なわないよう配慮する必要があります。

設備の最適制御で無駄をなくす

施設利用者の行動や天気予報のデータ、過去の熱負荷・電力負荷実績など、無駄を省くためのヒントは至るところに隠されています。また、施設単体だけではなく、施設群をまとめて管理することでさらなる省エネを実現することもできます。

PAC空調用省エネ制御 i.ems

PAC空調用省エネ制御 i.emsは、省エネ制御ソフトをインストールした汎用パソコンと、メーカー標準のマルチエアコン用コントローラとを直接接続するだけで、マルチエアコンの消費電力や各空調機の運転状態、室内温度を常時監視し、空調効率が最も高くなるよう空調制御を行います。また、汎用的な人感センサを用いて、「在席」「不在」の情報をもとに事務室エリアの照明を減光、消灯することもできます。新築はもちろん、既存ビルにも適用可能であり、改正省エネ法や改正東京都環境確保条例に対応します。

PAC空調用省エネ制御 i.ems

シミズ・スマートBEMS

シミズ・スマートBEMSは、太陽光発電や蓄電池などの分散型電源を最適制御するマイクログリッドと、設備機器の制御により電力を調整するデマンドレスポンス機能を統合したシステムです。熱負荷や電力負荷の予測に基づく設備機器の運転計画や電源設備の制御により、建物内の快適性を損なうことなく、使用電力を自在に制御することが可能です。また、複数の建物の電力の需要と供給双方を最適制御することにで、さらなる省エネと節電を実現することができます。

シミズ・スマートBEMS
Column
エネルギーの「見える化」は意識を変える

中部大学春日井キャンパス(愛知県)において、2012年7月からはじまった「スマートエコキャンパス」構想では、スマートグリッド化に向けた先端技術の開発と導入はもちろん、施設利用者の活動を中心とする省エネシステムの構築と運用が行われています。

キーワードとなったのは「見える化」。携帯電話やデジタルサイネージ、学内イントラネットを駆使し、施設の電力使用状況をリアルタイムで通知することにより、学生や教職員など、施設利用者の自主的節電行動を促すというものです。その効果は決して小さなものではなく、例えば、初年度に目標として掲げたピーク電力の削減においては、削減できた電力の1/4が施設利用者の自主的節電行動によるものでした。

見える化学生

エネルギー制御というと、とかく新技術や最新機器の導入だけに目がいきがちとなりますが、そこに小さな工夫を加えることで、さらなる成果を上げることができます。当社では、施設ごとに異なる利用者の要望に応えるために、どうすればより快適に、また使いやすくできるかをイメージし、新しいエネルギーソリューションを生み出し、提案します。

省エネリニューアルで、さらに省エネ効果を高める

設備機器があまりにも古い場合は、設備の最適制御だけでは十分な省エネ効果を得ることができない場合があります。その場合は、省エネリニューアルをご検討ください。

省エネバリュープラス

省エネバリュープラスは、「省エネシミュレーター」「導入事例」「省エネ基礎知識」「省エネ簡易診断申込み」の4つから構成される無料のWEBサービスです。省エネリニューアルに関する最新の情報はもちろん、メインコンテンツである省エネシミュレーターでは、簡単な操作で省エネリニューアルによる省エネ効果と概略コストをすぐに試算することができます。

省エネバリュープラス

快適性と環境性に優れた空調システム

輻射空調システムは、天井パネルの裏に設置したパイプに冷温水を流すことにより室温をコントロールします。湿度をコントロールするデシカント空調機は、夏場に室内温度を高めに設定しても快適に過ごすことができます。また、机下の床に設けたパーソナル床吹出口を開閉することで、個人の好みに合わせて気流を自由に調節することができる「タスク&アンビエント空調」となっています。これらの技術を組み合わせて、快適性と環境性に優れた空調システムを実現します。

快適性と環境性に優れた空調システム

ゼロエネルギー照明システム

日射を間接光として執務室の奥まで効果的に取り入れる「グラデーションブラインド」、「ライトシェルフ」および人感センサーと連動した「タスク&アンビエント照明」により無駄な照明を減らします。また、同時に、昼間の照明に必要な電力すべてを外装窓面に設置した太陽光発電パネルから賄います。また天井照明には、低消費電力で長寿命のLED(発光ダイオード)照明を全面採用します。

ゼロエネルギー照明システム
Column
省エネはコンプライアンスの一つに?

2013年4月1日から非住宅建築物では省エネ基準※1が見直されました。この見直しにより、従来の建築物に係るPAL/CEC基準と住宅に係る外皮基準※2から、建築物・住宅ともに、外皮を通しての熱損失の防止に関する基準をクリアした上で、建物の設計1次エネルギー消費量が基準1次エネルギー消費量を上回らないようにしなければならなくなりました。

また、東京都で実施している大規模事業所へのCO2等の温室効果ガス排出総量削減義務に関する条例では、2010年〜2014年の第1計画期間に引き続き、2015年〜2019年の第2計画期間のCO2削減義務率が決定し公表されました。地域冷暖房などを利用していない一般的なオフィスビル・商業施設・宿泊施設については、第1計画期間の8%削減義務から第2計画期間は17%削減義務へと大幅に削減義務率が引き上げられることになりました。

今や省エネは、地球温暖化対策やエネルギーコストの点からだけではなく、コンプライアンスの点からも重要な課題となりつつあります。当社はエネルギー分野におけるパイオニアとして、都市型超高層ZEB、地方型低層ZEB、エリアでの一括受電・アグリゲーション、面的エネルギー融通、マイクログリッド、スマートグリッド、スマートBEMS、水素利用、洋上風力、メガソーラーなどの多くを、日本で最初に実現してきました。建物の使われ方を熟知するゼネコンならではの経験と実績で、お客さまにとって最適なエネルギーソリューションを提案します。

  1. 省エネ法に基づく建築主等及び特定建築物の所有者の判断基準
  2. 暖冷房熱負荷基準、熱損失係数Q、日射熱取得係数μ

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