サステナビリティ経営の本質を探る――清水建設の現在地と展望
221年の歴史を持つ清水建設。その歩みの根底には、創業の精神と「論語と算盤」の教えがあります。時代の変化とともに、社会課題への対応やサステナビリティ経営の重要性が高まる中、清水建設はどのように伝統を守り、持続可能な未来社会づくりに挑戦していくのか。経営トップと社外取締役が、サステナビリティ経営の現在地と今後の展望について語り合いました。

- 取締役
東 佳樹
×
- 取締役
岩本 保
×
- 取締役
田村 真由美
×
- 社長
新村 達也
×
- 取締役
定塚 由美子
×
- 取締役
川田 順一
清水建設の「サステナビリティ経営」とは
東:当社の使命は、建設業として社会資本の整備を担い、人々の豊かな暮らしを支えることですが、そのためには業界全体、そして当社自身がサステナブルであることが不可欠です。創業の精神や社是「論語と算盤」を大切にする姿勢は、まさに当社のサステナビリティ経営の根幹を表していると考えていますが、まずは、これまでの事業姿勢について皆様のご意見をお聞かせください。
社長:当社は221年前の創業以来、「顧客第一」「誠実なものづくり」「出入り大工の精神」「進取の精神」といった基本姿勢を大切にしてきました。
社長としてお客様にお会いするたび、長年にわたる信頼の重みを実感します。その信頼の基盤は、常にお客様に寄り添い課題解決に真摯に向き合ってきたこと、そして提供価値へのこだわりにあると考えています。従業員一人ひとりがそれぞれの職場で誠実に仕事に取り組んできたからこそ、今日の清水建設があるのだと感じています。
岩本:当社がこれほど長く続いてきたのは、創業の精神を大切にしてきたことが根底にあるからでしょう。お客様はもちろん、取引先との関係構築などにも誠実かつ真摯に取り組む、非常に真面目な会社ですよね。
田村:真面目さと同じくらい、誠実であることも大切です。うまく立ち回ることを優先するのではなく、やるべきことを着実に実行する姿勢は、誠実さがあってこそ実現できるものです。こうした姿勢は、長期的に見れば、お客様の安心感や信頼感へとつながるのではないかと思います。
川田:当社は一貫して「顧客第一」の姿勢を貫いていますよね。会社が利益を上げることはもちろん大事なのですが、それよりも重要なのは、社会からの信頼を得て、そしてその信頼を維持していくことであると私も強く感じています。
岩本:創業来の会社の姿勢に加え、明治時代に渋沢栄一翁を相談役に迎え、経済的価値と社会的価値を両立するCSV※経営を実践したことも影響しているのではないでしょうか。
CSV:Creating Shared Value(共有価値の創造)
定塚:今でこそ多くの企業がサステナビリティ経営に取り組んでいますが、当社は昔からその姿勢を大切にしていました。こうした考え方を従業員にしっかりと浸透させようと、様々な工夫を重ねてきたことは非常に貴重です。
建設現場を視察し、従業員の方々とお話しする機会がありますが、若手からベテランまで真面目に真剣に取り組む皆さんの気質は、そういった取り組みから生まれていると思っています。
社長:ありがとうございます。そのように言っていただけて、社長として本当にうれしく思います。
岩本:当社の従業員は、会社に対する愛着と誇りを持っていると強く感じます。こうした従業員一人ひとりの想いが、会社をより良くしよう、発展させていこうという原動力につながっているのだと思います。
川田:同感です。当社の従業員からは、本当に会社や仕事が好きなことが伝わってきます。「仕事を通じて社会に貢献している」という意識が従業員の間でしっかり根付いており、そうした気風が良い循環を生み、会社の活力につながっているのだと思います。
田村:それは、会社も従業員を信頼して、大切に育成しているからではないでしょうか。
今後も社是「論語と算盤」をベースに、「何が正しいのか」「今何をすべきか」をしっかりと見極め、会社と従業員の成長を信じて、未来に果敢にチャレンジする姿勢を持ち続けてほしいと思っています。
