このたび、脱炭素の取り組みを推進することを目指し、サステナビリティ・リンク・ローンフレームワーク(以下「本フレームワーク」)を、以下のとおり、策定いたしました。
サステナビリティ・リンク・ローン(以下「SLL」)とは、借り手の経営戦略に基づくサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(以下「SPT」)を設定し、金利条件などの貸付条件とSPTの達成状況を連動させることで借り手に目標達成に向けた動機付けを促進するとともに、環境・社会面から持続可能な事業活動及び成長支援を目指すものです。SLLによる資金調達は、当社のサステナビリティにかかわる活動の推進につながるとともに、ステークホルダーの皆さまに対して、脱炭素社会の実現に向けた企業姿勢を、強く示すものと考えます。
本フレームワークでは、以下の原則及びガイドライン等において推奨される主要な要素への対応を示しています。
- LMA、APLMA、LSTA「サステナビリティ・リンク・ローン原則2023」
- 環境省「サステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2024年版」
なお、本フレームワークは、独立した第三者である株式会社格付投資情報センターより、上記原則及びガイドライン等との適合性に関するセカンドオピニオンを取得しています。
「サステナビリティ・リンク・ローン原則」を構成する核となる5つの要素への対応は以下の通りです。
<5つの要素>
- KPIの選定
- SPTの設定
- ローンの特性
- レポーティング
- 検証
KPIの選定
本フレームワークを基に実行されるSLLにおいては、以下の2つのKPI(以下、本KPI)を使用します。
KPI① :建設事業におけるCO2総排出量(国内単体)の削減率(2023年度対比)
KPI②:CDP気候変動スコア(国内外連結)
本KPIは、先述した当社マテリアリティのうち「脱炭素」と合致し、また「SHIMZ Beyond Zero 2050」に貢献する指標です。
<実積>
KPI | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|
KPI① 建設事業におけるCO2総排出量 |
201,228t-CO2 | 177,779t-CO2 | 192,754t-CO2 |
KPI② CDP気候変動スコア※ |
CDP2022 A |
CDP2023 A- |
CDP2024 B |
2021年度はCDPスコア
SPTの設定
本フレームワークを基に実行されるSLLにおいては、以下の2つのSPTを使用します。
SPT①:建設事業におけるCO2総排出量(国内単体)を、2023年度対比で下表の通り削減
年度 | 削減率(2023年度対比) |
---|---|
2025年度 | 8.00%以上 |
2026年度 | 12.00%以上 |
2027年度 | 21.38%以上 |
2028年度 | 26.73%以上 |
2029年度 | 32.07%以上 |
2030年度 | 37.42%以上 |
2031年度 | 42.76%以上 |
2032年度 | 48.11%以上 |
SPT②:CDP気候変動スコア(国内外連結)「A-」又は「A」の取得
SPT①について、2025年度及び2026年度の目標は中期経営計画〈2024-2026〉に掲げる目標です。また、2027年度~2032年度の目標水準は、SBT(Science Based Targets)が定める1.5度水準と整合する水準と考えています。(2025年度に認証を取得予定)。
SPT②については、CDP気候変動スコアにおいてリーダーシップレベル(現時点でのベストプラクティスを実践している企業)である「A-」又は「A」のいずれかの評価を獲得することを目標に設定しています。
なお、今後当社はScope3についても実行可能な排出削減施策や目標を掲げていく方針であり、新たなCO2削減の中長期目標を策定した際にはフレームワーク改訂を検討します。
ローンの特性
SPTに対する達成状況により、ローンの利率は変化します。ローンの特性や、KPI及びSPTの定義、SPTの判定日については、各ローン実施時の書類(金銭消費貸借契約書及びその他関連契約)にて具体的に特定しますが、SPTが未達成/達成の場合、判定日の後の利払時より次回判定日(最終の判定の場合は満期日)まで、ローン実施時にSPTについて定める年率にて利率が上昇/低下します。
レポーティング
各ローンの満期までの期間、当社は、下記レポーティング事項について、当社ウェブサイトにて毎年開示します。
レポーティング事項 | レポーティング時期 |
---|---|
KPIのレポーティング対象期間における実績値 | SLL実行の翌年度を初回とし、最終判定日まで年次にて実施 |
SPTのレポーティング対象期間における達成状況 | |
SPT達成に影響を与える可能性のある情報の提供 (サステナビリティ戦略の設定や更新、取り組み計画の策定や実施状況等) |
|
KPIのSPTに対する達成状況にかかる独立した第三者による検証レポートの開示 (CDP気候変動のスコア(KPI②)については、CDPのウェブサイト等にてスコア結果が開示される場合は、当社ウェブサイト上における検証レポートの開示は不要とします) |
検証
独立した第三者から以下の3段階の検証を受けることとします。
- 1)本フレームワークに関して、独立した第三者から、LMA、APLMA、LSTAが定める「サステナビリティ・リンク・ローン原則」及び環境省が定める「サステナビリティ・リンク・ローンガイドライン」に適合していることを確認したセカンドオピニオンを取得します。取得したセカンドオピニオンについては、本フレームワークに基づくSLLの実施前に、当社ウェブサイトにて開示します。
- 2)本フレームワークの更新を行った際は、新たにセカンドオピニオンを取得する予定です。なお、本フレームワークに基づいて実施済みのローンについては、原則当該ローンの満期まで本フレームワークの内容が適用されます。
- 3)KPIの実績値に関して、独立した第三者による検証結果の報告書の取得と当社ウェブサイトでの開示を行います。なお、CDP気候変動スコア(KPI②)については、CDPのウェブサイト等にてスコア結果が開示される場合は、独立した第三者の検証は不要とします。
本フレームワークの有効期限及び見直しについて
本フレームワークの有効期限は特段設けませんが、外部評価機関等の関係者と協議の上、本フレームワークを適宜更新する可能性があります。なお、上述のとおり、本フレームワークの更新を行った際は、新たにセカンドオピニオンを取得する予定です。
(例)フレームワークの見直しが必要となる事例
- 当社のサステナビリティ戦略の変更に伴いKPIやSPTを変更する必要が生じた場合
- 過年度の削減実績の修正等によりSPTを変更する必要が生じた場合