歴史的建造物

140余年の時を超えて受け継がれる
「旧渋沢邸」
2019.08.27

歴史的建造物

歴史的建造物140余年の時を超えて受け継がれる
「旧渋沢邸」

2019.08.27

明治から大正にかけて活躍した大実業家、渋沢栄一翁。
当社とのつながりは大変深く、1887(明治20)年には相談役となり、以来、清水家四代60年間にわたって恩顧を受けました。
自らの活動に合わせ、生涯で本邸を6回移した渋沢翁が最初に建てた邸宅を、当社は手掛けました。
渋沢翁をはじめ、渋沢家に親しまれたこの建物は、時代ごとに姿や役割を変えつつ、今日まで大切に受け継がれています。

二代清水喜助による「渋沢邸 表座敷」

渋沢邸が、深川区福住町(現在の江東区永代)に竣工したのは1878(明治11)年。その設計、施工を担当したのが二代清水喜助でした。擬洋風建築の最高峰とも言える「第一国立銀行」での二代喜助の活躍を高く評価した渋沢翁が、自らの住まいの建設に当たり、白羽の矢を立てたものです。翁の信頼に応えるべく、二代喜助は技術、材料ともに粋を結集してこのしごとに取り組み、大工棟梁としての才能をいかんなく発揮しました。

渋沢栄一(1840〜1931年)
渋沢栄一(1840〜1931年)
(写真所蔵:国立国会図書館)
二代清水喜助(1815〜1881年)
二代清水喜助(1815〜1881年)
深川福住町・渋沢邸(渋沢史料館所蔵)
深川福住町・渋沢邸(渋沢史料館所蔵)

写真左側の木造2階建ての建物が、二代喜助が手掛けた「表座敷」です。
右側の建物は、1891(明治24)年ごろに増築された「離れ」で、清水満之助店(現・清水建設)の四代技師長 岡本銺太郎(おかもと そうたろう)が設計したものです。

四代技師長・岡本銺太郎(1867~1918年)
四代技師長・岡本銺太郎
(1867~1918年)
1900(明治33)年発行『清水方建築家屋撮影』より。離れの概要と平面図
1900(明治33)年発行『清水方建築家屋撮影』より。
離れの概要と平面図

1908(明治41)年に渋沢家が三田綱町(現在の港区三田)に住まいを移した時には、二代喜助が手掛けた表座敷はそのまま移築され、新たに「和館」が増築されました。

1928(昭和3)年撮影 三田綱町・渋沢邸
1928(昭和3)年撮影 三田綱町・渋沢邸

時代に合わせた和洋折衷住宅へ

二代喜助が手掛けた表座敷は、1908(明治41)年に三田網町(現在の港区三田)へと移築されました。その後、1929(昭和4)年に洋館を増築。清水組(現・清水建設)で技師を務め、後に独立して銀行建築の大家となる西村好時(にしむら よしとき)が設計を手掛けました。表座敷は創建当時のまま、時代に合った和洋折衷のスタイルへと姿を変えました。

西村好時(1886~1961年)
西村好時
(1886~1961年)
洋館増改築後の三田綱町・渋沢邸。建物左側部分を解体して、応接室、書斎、食堂から成る洋館を増築した
洋館増改築後の三田綱町・渋沢邸。建物左側部分を解体して、応接室、書斎、食堂から成る洋館を増築した
三田綱町・渋沢邸洋館
三田綱町・渋沢邸洋館
第一応接室
第一応接室
第二応接室
第二応接室
書斎
書斎
食堂
食堂

解体の危機を免れ青森へ

戦後、国の所有となった渋沢邸は、大蔵大臣公邸、三田共用会議所として、約40年にわたり中央省庁の会議場として利用されました。
しかし、平成に入ると、老朽化により解体の危機を迎えます。この時、渋沢家の下で書生を務めた杉本行雄氏(当時、十和田観光開発社長)の熱意により、建物は払い下げられ、1991(平成3)年に青森県の古牧温泉敷地内へと移築されました。

青森県移築後の旧渋沢邸洋館
青森県移築後の旧渋沢邸洋館
青森県移築後の旧渋沢邸表座敷(写真右側)
青森県移築後の旧渋沢邸表座敷(写真右側)
表座敷 1階・居間
表座敷 1階・居間
表座敷 1階・居間 名工・堀田瑞松による欄間
表座敷 1階・居間 名工・堀田瑞松による欄間
表座敷 2階・客間
表座敷 2階・客間
表座敷 2階・階段吹き抜け
表座敷 2階・階段吹き抜け
洋館・第一応接室
洋館・第一応接室
洋館・書斎
洋館・書斎

震災、戦災を乗り越え、解体の危機も奇蹟的に免れて、明治、大正、昭和、平成と4つの時代を越えて令和へと受け継がれた旧渋沢邸。
それは、渋沢栄一翁が暮らした邸宅の中で唯一現存するものであり、二代清水喜助や西村好時が設計を手掛け、当時の姿のまま残る歴史的、文化的にも大変貴重な建物です。
清水建設と渋沢栄一翁とを結ぶ意義深い建物である旧渋沢邸を、後世へと継承するべく、当社の手でゆかりの深い江東区の当社敷地への移築計画を進めています。

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