病院づくり

コンサルから設計・施工まで一貫体制で計画をバリューアップ
福岡歯科大学医科歯科総合病院

コンサルから設計・施工まで一貫体制で計画をバリューアップ 福岡歯科大学医科歯科総合病院

病院づくり コンサルから設計・施工まで一貫体制で計画をバリューアップ 福岡歯科大学医科歯科総合病院

シミズの病院づくりの特徴は、病院の将来像をお客様と一緒に考えながら、基本構想コンサルティングから建物の設計・施工まで 一貫して手がけることができる体制にあります。
福岡歯科大学医科歯科総合病院の建て替えは、そうした一貫体制で臨んだもの。初期段階で検討した方針を次のフェーズに確実に引き継いで、アイデアを追加しながら計画のバリューアップを重ねた結果、効率的で働きやすい施設の実現はもちろん、経営強化にもつながりました。

基本構想コンサルで生産性向上策を提案

「医科歯科連携」を掲げる福岡歯科大学医科歯科総合病院は、12の専門歯科を含む4つの歯科診療科と23の医科診療科から成る総合病院です。
外来が中心で専門科の多い歯科診療の生産性向上と、医科患者の増加という経営課題に対して、シミズは詳細な利用状況の分析に基づき、合理的な運用プログラムを提案しました。

コンサルから積み重ねて計画のバリューアップを図る
シミズの病院づくりプロセス:コンサルから積み重ねて計画のバリューアップを図る

(1)チェアユニット増設と同等の効果

1つは、患者用の診療台と診療機器から成る「歯科用チェアユニット」(以下、ユニット)の稼働率アップです。
既存病院では歯科大診療室にユニット75台が設置され、診療科ごとに一定のエリア内のものを使用していました。ところが調べてみると、フル稼働の診療科がある一方、ほかの科では特定の曜日・時間帯に空いているユニットがあることが判明。
そこで、新病院では、診療科の境をなくし、空いているユニットを大診療室の中から選べるフリーアドレス制を採用。その他の施策も実施し、15台のユニット増設効果が見込めることになりました。

1つは、患者用の診療台と診療器機・器具から成る「歯科用チェアユニット」(以下、ユニット)の稼働率アップです。
既存病院では歯科大診療室にユニット75台が設置され、診療科ごとに一定のエリア内のものを使用していました。ところが調べてみると、フル稼働の診療科がある一方、ほかの科では特定の曜日・時間帯に空いているユニットがあることが判明。
そこで、新病院では、診療科の境をなくし、空いているユニットを大診療室の中から選べるフリーアドレス制を採用。その他の施策も実施し、15台のユニット増設効果が見込めることになりました。

歯科用チェアユニットの利用状況調査に基づく増設効果の試算
既存病院の歯科用チェアユニット75台それぞれの毎日、1時間ごとの利用状況。例えばA科では、火曜日は終日フル稼働だが、B科は空いている。こうしたユニットを共用で使うことを想定して試算すると1日平均15台分の増設効果が見込める
歯科用チェアユニット
歯科用チェアユニット:患者さんのプライバシー確保と学生指導のための目届きを両立させるために、ローパテーションで区切っている

(2)歯科衛生士業務の生産性を向上

もう1つは、歯科衛生士が本来業務に専念できる環境を整え、生産性の向上を図ることです。
既存病院では、歯科器具の洗浄・滅菌業務を歯科衛生士が担当していたため、診療補助などの本来業務が圧迫されていました。
そこで、分散していた作業場所の集約や、洗浄・滅菌業務の中央化・外部委託を実施することで、増員することなく患者の増加に対応できる計画としました。

もう1つは、歯科衛生士が本来業務に専念できる環境を整え、生産性の向上を図ることです。
既存病院では、歯科器具の洗浄・滅菌業務を歯科衛生士が担当していたため、診療補助などの本来業務が圧迫されていました。
そこで、分散していた作業場所の集約や、洗浄・滅菌業務の中央化・外部委託を実施することで、増員することなく患者の増加に対応できる計画としました。

歯科衛生士のマンパワー(イメージ)
歯科衛生士の業務の合理化による医療の質と生産性向上のイメージ

働きやすく快適な空間づくり

さらに、働きやすくなる仕掛けのひとつとして歯科大診療室に設けたのが、すべてのスタッフ・学生が使う専用通路「コネクティングストリート」。ここに、診療材料の棚や作業拠点、ミーティングや休憩スペースを配し、コミュニケーションの活性化による教育の質の向上を狙っています。
また、エントランスホールの最上部には、美しいステンドグラスを設置し、患者さんを迎え入れる癒しの空間としています。

歯科大診療室(3階)のプラン
歯科大診療室(3階)のプラン:歯科用チェアユニットが並ぶ大診療室は患者エリアとスタッフエリアを明確に分け、大空間でもわかりやすく働きやすい計画としている
すべてのスタッフが利用するコネクティングストリートに、作業拠点や学生指導スペースを配置
すべてのスタッフが利用するコネクティングストリートに、作業拠点や学生指導スペースを配置
3層吹き抜けのエントランスホール
3層吹き抜けのエントランスホール。2・3階の歯科患者が1・2階の医科を認識しやすい空間として、患者増加を狙う仕掛けにもなっている
患者の心を癒す、エントランス最上部のステンドグラス
患者の心を癒す、エントランス最上部のステンドグラス

病院として最先端の省エネ施策

また、新病院は、国土交通省の「平成30年度 サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に選ばれました。自然エネルギーの活用や先端技術を用いた効果的な省エネ制御などを導入することで、従来のシステムと比べて、建物全体で20%の省エネとなる計画です。

(1)3層吹抜空間で自然エネルギーを効果的に利用

3層吹抜の空間は、1年のうち外気が心地良い季節には吹抜から外気を取り込み、屋上に排出する自然通風を利用。屋上に設置したセンサーで外気を常時モニタリングし、適期と判断されると自然通風窓が開放され、空調及び機械換気システムが停止する仕組みになっています。この吹抜空間は、2階・3階の大診療室と接しているので、エントランスホールや待合に歯科独特の臭気を流出させないよう、それぞれのエリアでの外気とのエアバランスが大切です。

3層吹抜の空間は、1年のうち外気が心地良い季節には吹抜から外気を取り込み、屋上に排出する自然通風を利用。屋上に設置したセンサーで外気を常時モニタリングし、適期と判断されると自然通風窓が開放され、空調及び機械換気システムが停止する仕組みになっています。この吹抜空間は、2階・3階の大診療室と接しているので、エントランスホールや待合に歯科独特の臭気を流出させないよう、それぞれのエリアでの外気とのエアバランスが大切です。

エントランスホール断面図
エントランスホール断面図。大空間への自然エネルギー利用を促す仕掛けとなっている

(2)3Dシミュレーション技術で検証

大診療室からの臭気がエントランスホールに流出するのを防ぎつつ、自然通風を実現するための吹抜空間の開口面積(窓の大きさ)の検証には、シミズ独自のコンピュータ3Dシミュレーション技術「Shimz DDE」を用いました。1階の開口部から流入する外気が、5階のステンドグラス上部にある開口部から屋上に抜けて、吹抜空間が24℃となる自然通風を計画しました。

大診療室からの臭気がエントランスホールに流出するのを防ぎつつ、自然通風を実現するための吹抜空間の開口面積(窓の大きさ)の検証には、シミズ独自のコンピュータ3Dシミュレーション技術「Shimz DDE」を用いました。1階の開口部から流入する外気が、5階のステンドグラス上部にある開口部から屋上に抜けて、吹抜空間が24℃となる自然通風を計画しました。

Shimz DDEによる開口面積の検証結果
Shimz DDEによる開口面積の検証結果

(3)多機能画像センサーで効果的な省エネを実現

歯科の大診療室には、多機能画像センサーを導入。ユニットの上部に一定間隔で設置したセンサーが、画像解析により、人の在/不在と、滞在/歩行を検知。ブース内に人が滞在する時は快適な空調・換気・照明レベルとし、不在や歩行のみの時は省エネルギー運転に切り替わるよう細かく制御することができます。

歯科の大診療室には、多機能画像センサーを導入。ユニットの上部に一定間隔で設置したセンサーが、画像解析により、人の在/不在と、滞在/歩行を検知。ブース内に人が滞在する時は快適な空調・換気・照明レベルとし、不在や歩行のみの時は省エネルギー運転に切り替わるよう細かく制御することができます。

多様な活動状況の把握が可能な多機能画像センサー
多様な活動状況の把握が可能な多機能画像センサー
照明・空調制御イメージ
照明・空調制御イメージ

一貫体制だから実現できる、働き方改革や経営強化

病院の建て替えは、それまでの業務を建物とともに刷新し、働き方改革や経営強化を実現する大チャンスです。だからこそ、基本構想から設計・施工まで一貫した取り組みが重要です。
シミズはあらゆる病院を対象に、一貫体制でのトータルサポートを積極的に提供していきます。

お客様から

学校法人福岡学園 理事長 水田祥代様

新病院の建て替えには経営強化も求めていたので、清水建設にコンサルティングから施工まですべてをお願いしました。ひとつの会社にした理由は、考えたことを次の段階に全部伝えることができ、積み重ねて深めていけるからです。 同社が行った「歯科用チェアユニット利用状況の見える化」は、稼働率向上のために歯科大診療室をフリーアドレス化する判断材料となり、その考え方がプランにしっかり反映されました。さらに運営プログラムが加わって、合理的で使いやすく快適な空間が完成しました。
コロナ禍にありながら、予定通りの開院を果たせたのも、開業支援を含む運営コンサルティングまで、一貫してサポートしてもらったおかげです。

学校法人福岡学園 理事長 水田祥代様

記載している情報は、2021年3月25日現在のものです。
ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がございますので、あらかじめご了承ください。

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