病院づくり

看護業務改善から患者移送まで病院開設を運営面からサポート 富山西総合病院、富山西リハビリテーション病院

「おわら風の盆」で知られる越中八尾の地で、30年にわたり地域医療を支えてきた八尾総合病院。

病院づくり看護業務改善から患者移送まで
病院開設を運営面からサポート
富山西総合病院、富山西リハビリテーション病院

富山西総合病院(右)、富山西リハビリテーション病院(左)

「おわら風の盆」で知られる越中八尾の地で、30年にわたり地域医療を支えてきた八尾総合病院。近隣の山田温泉病院の経営を引き継ぎ、2018年2月、二つの病院を隣接させる形で新築移転しました。
移転後は、154床の富山西総合病院(旧:八尾総合病院)と120床の富山西リハビリテーション病院(旧:山田温泉病院)として、急性期からリハビリ、慢性期までの医療を一体的に提供しています。
この新築移転に当たり、シミズは施工を手掛けるとともに、病院の業務改善ができるようお手伝いしました。

看護業務を定量調査し、人員配置の適正化を支援

移転前の八尾総合病院では、地域包括ケア病棟での看護職員の配置の見直しが課題でした。当時、10対1だった患者と看護師の配置の割合を、地域包括ケア病棟の基準である13対1にするためには、看護師とライフケアワーカー(看護補助者)との業務分担を見直し、配置を適正化する必要があったのです。
そこでシミズは、看護師とライフケアワーカーの業務内容とそれに費やした時間を調査し、分かりやすく“見える化”しました。その結果、看護師が担当していた業務の一部をライフケアワーカーに振り分けることができると判明。関係者の合意を得ながら業務分担を見直し、人員配置の適正化を行いました。これにより、看護師が直接看護を行う時間が増えました。

地域包括ケア病棟…急性期医療を終えて症状が落ち着いた患者に在宅や施設で生活できるようにするための医療・リハビリなどを提供したり、在宅療養中の患者に入院が必要になった時に入院医療を提供する病棟。

看護業務を調査し[遅出]の勤務シフトを見直し

遅出の時間帯に、看護師でなくてもできる業務(1名分)が存在する
看護師とライフケアワーカーの業務内容を調査し、看護師の配置人員を1名減らし、ライフケアワ-カーを1名増やした

地域包括ケア病棟における看護部門の人員配置の適正化

見直し前
見直し後

運営方式が異なる二つの病院のモノの流れを統一

また、二つの病院の院内物流(医療材料・検査検体・医薬品・食事・リネンの供給方式)について詳細な現状調査を行い、「いつ」「誰が」「何を」「どのように」搬送しているかを明らかにし、新築移転後の合理的な運用方法を検討しました。

例えば、寝具やタオルなどのリネン類は、委託企業が直接各階に供給する方式と、中央倉庫に一括供給した後に院内スタッフが搬送する方式とで病院ごとに異なっていました。そこで、二つの病院の現況調査を行った上で、新病院での供給場所、搬送スタッフ、エレベーターの時間割などを検討し、委託企業と交渉。新病院では、委託企業が直接各階に供給する方式に統一しました。
その結果、中央倉庫のリネンスペースを別の用途に活用でき、職員が2病院間で人事異動した際にも、戸惑うことなく対応できる業務運用が可能となりました。

院内物流運営方式の共通化の取り組み(リネン類の例)

移転前
移転後

患者移送のマニュアル策定やリハーサルの実施

旧病院から新病院への移転に当たっては、患者移送を安全かつ円滑に行えるよう、役割分担や車両手配の事前確認に加え、検討漏れになりやすい事項を洗い出し、その対応策についてアドバイスを行いました。
また、車椅子やストレッチャーなどの移送手段を考慮した安全な移送ルートの設定、当日のタイムスケジュール作成など、確実な患者移送計画や移送マニュアル策定をお手伝いしました。2度にわたるリハーサルを行ったことで、手順や安全の確認など計画のブラッシュアップができ、当日は円滑に患者移送を終えることができました。

移送シミュレーション(リハーサル)の様子
移送シミュレーション(リハーサル)の様子

患者移送の検討フロー

看護師とライフケアワーカーが連携して作業を実施している
看護師とライフケアワーカーが連携して作業を実施している
富山西総合病院の夕景
富山西総合病院の夕景

施設整備は業務改善のチャンス

数十年に一度の病院の施設整備は、建物など(ハード)だけではなく、病院の運営(ソフト)も大きく見直すチャンスです。例えば業務の効率化や患者サービスの向上を目指し、病院食の調理方式や、入退院受付の業務フローを変えるためには、新たな施設整備が必要な場合も少なくないからです。
シミズは、合理的な運営と施設が整合する病院づくりを目指して、建て替えなどの際にさまざまな業務改善のお手伝いをしています。

シミズの運営支援コンサルの主な業務イメージ
シミズの運営支援コンサルの主な業務イメージ

お客様から

富山西総合病院副院長 看護部長 藤岡 敦子 様(右)
看護介護統括部長 高堂喜美子 様(左)

病院建替え時に、業務改善のコンサルまで提案してくれたのは清水建設さんだけでした。実際、私たちが抱えていた課題を調査し、具体的で現実的な解決策まで一緒に考えてくれました。
地域包括ケア病棟の看護師とライフケアワーカーの人員配置適正化の取り組みでは、現状より看護師数が減少するのを危惧する声もありましたが、両者の役割を明確にすることでライフケアワーカーがより責任を持って業務に臨めるようになり、より患者さんに寄り添った看護と支援ができるようになりました。
清水建設さんの創業者は富山出身ということを伺い、富山で地域密着の医療を提供している当病院とのご縁を感じています。

富山西総合病院 副院長 看護部長 藤岡 敦子 様(右) 看護介護統括部長 高堂喜美子 様(左)

記載している情報は、2019年1月24日現在のものです。
ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がございますので、あらかじめご了承ください。

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