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暮らしを築く・社会を守る

伝統技術と最先端技術の融合 『GINZA KABUKIZA』

伝統技術と最先端技術の融合『GINZA KABUKIZA』

暮らしを築く・社会を守る伝統技術と最先端技術の融合『GINZA KABUKIZA』

照明デザイン:石井幹子+石井リーサ明理+石井幹子デザイン事務所
(撮影:2013年 新開場時)

次の100年へ 歌舞伎座が生まれ変わった

古き良き文化と最新トレンドを発信する街、東京・銀座。この地で120年以上にわたって日本の伝統芸能を伝え続けてきた「歌舞伎座」が、2013年2月、新しい姿へと生まれ変わりました。GINZA KABUKIZAは、伝統建築の様式を受け継ぐ歌舞伎座と高層のオフィスビルが一体となった、地下4階・地上29階建ての複合施設。日本古来の伝統技術と最先端技術を融合させた当建物は、シミズにとっても特別なプロジェクトとなりました。

歌舞伎座の建築を手掛けて60年以上

2010年4月末、建て替えのために閉場した歌舞伎座は、明治時代の開場時から数えて「第四期目」となる建物でした。のちに登録有形文化財にも指定されることになる、この第四期建築を手掛けたことから、歌舞伎座と当社の関係は始まりました。当時の施工にあたっては、日本中から伝統建築技術の粋を結集。芝居小屋の雰囲気や、歌舞伎の絢爛たる世界観にふさわしい芸術的な意匠を施しました。以来、携わった増築や改修は数知れず。第五期である「GINZA KABUKIZA 」プロジェクトにおいても、オール・シミズで取り組むこととなりました。

1950(昭和25)年に竣工した第四期歌舞伎座 設計は吉田五十八、施工は清水建設
1950(昭和25)年に竣工した第四期歌舞伎座 設計は吉田五十八、施工は清水建設

「BIM」と「原寸」で先代歌舞伎座の外観を再現

劇場が入る低層部の建設に与えられた大きなミッションは、第四期歌舞伎座のイメージを次の世代にそのまま継承すること。鉄筋コンクリート造だった第四期の意匠を、見た目の印象を変えることなく、最新の鉄骨造で再現する。そんな難題を解決したのが、コンピューター上で3次元の建物モデルを作成する「BIM」(ビルディング・インフォメーション・モデリング)と、大工の棟梁の知恵「原寸」でした。

実際に作成した歌舞伎座の軒部分の「BIM」
実際に作成した歌舞伎座の軒部分の「BIM」
「現寸」作成時の様子 発注者や設計者との連携のもと進められた
「現寸」作成時の様子。発注者や設計者との連携のもと進められた

伝統建築の棟梁の知恵を現代に活かして

例えば歌舞伎座の建築では、屋根の軒反り、軒下の組物については、屋根を支える構造物の役割も担っています。そのため、構造としての機能的な検証には「BIM」 が、飾りとしての見え方の調整には実物大の設計図「原寸」が大いに力を発揮しました。「原寸」を使えば、普通の図面ではわからない曲面の歪みまで一目瞭然。シミズが創業時から培ってきた日本の伝統技術のノウハウが大きな強みとなったのです。

屋根の軒反りと軒下の組物については「BIM」と「原寸」を駆使して丁寧につくり込んだ
屋根の軒反りと軒下の組物については「BIM」と「原寸」を駆使して丁寧につくり込んだ

屋根の軒反りと軒下の組物については「BIM」と「原寸」を駆使して丁寧につくり込んだ

劇場内の景色も、音響も、そのままに

歌舞伎座らしさの継承では、劇場内部の主役である「檜舞台」の造りもハイライトのひとつ。床の色を美しく均一に揃えるため、神奈川県丹沢の一つの山から樹齢百年の檜約1,200本を調達しました。 また、音響においても第四期と変わらない「聴こえ方」に徹底してこだわり、着工してすぐに実際の劇場の10分の1縮尺模型を製作。音源8か所、測定点60か所を設定し、同じ音を生み出すための地道な検証を幾度となく繰り返しました。

檜舞台
1枚1枚熟練の技で張られていく檜の床材
1枚1枚熟練の技で張られていく檜の床材
音響実験に使用された10分の1模型
音響実験に使用された10分の1模型
壁財に施された格子模様まで忠実に再現している

短工期に挑む 高い精度で挑む

歌舞伎座らしさの継承と並んで、プロジェクト全体を貫く大きな課題は工期でした。
劇場と高層オフィスビルの「一体的建築」と言うとシンプルにも聞こえますが、そこに含まれる一つひとつの「ものづくり」はとても高度なもの。日本最大級の廻り舞台、1,300㎡もの広大な地下広場、5階の屋上庭園、そして最先端の機能を有するオフィスフロアなど。それらの空間が複雑に重なり合って織りなすGINZA KABUKIZAを、東日本大震災やタイ大洪水の影響で主要資材の供給がストップする中、29カ月の工期で造りあげることは最大の挑戦となりました。

日本一の大きさを誇る「廻り舞台」を支える
日本最大級の「廻り舞台」を支える
回転機構
約450㎡の屋上庭園
約450㎡の屋上庭園
約1フロア1,700㎡、広々としたオフィスフロア
約1フロア1,700㎡、広々としたオフィスフロア

地下と地上を同時に建設 躯体と仕上のユニット化で徹底した工程管理を

厳しいスケジュールを克服する鍵となったのは「逆打ち工法」の採用と、「躯体・仕上のユニット化」による徹底した施工管理でした。「逆打ち工法」で地下と地上の工事を同時に、しかも安全に進めながら、「躯体・仕上のユニット化」で作業効率と精度を高めていく。2つの手法の相乗効果によって、工事は飛躍的にスピードアップしました。現場の一人ひとりが「必ず成し遂げる」との思いを胸に、高層オフィスビルの建築では1フロアをわすか6日間で仕上げていく超ハイスピード作業も。常に時間と闘い、ミリ単位の調整も重ね、オール・シミズによる挑戦はついに、銀座のまちの新しいランドマークへと結実しました。

最先端のオフィスタワーを有しながらも、第四期の面影をそのままに残す第五期歌舞伎座
最先端のオフィスタワーを有しながらも、
第四期の面影をそのままに残す第五期歌舞伎座

古き良きもの、新しきもの
その交流が未来をつくる

「前の歌舞伎座と全く同じですね」
竣工の日、発注者である松竹株式会社の社長が仰ったことは、私たちにとって何にも勝る誉め言葉でした。
伝統を確かに次世代へ継承しながらも、文化やビジネスの拠点として新しく、多彩な機能を手に入れたGINZA KABUKIZA。
そこには国内外からさまざまな目的で人が集い、今までにない交流が始まっています。

オール・シミズ

Column

災害時には、3,000人対応の防災支援施設に

東京メトロ東銀座駅と直結する「木挽町広場」(面積1,300㎡)には、防災用品の備蓄倉庫を設置。災害時には、劇場客席と木挽町広場を中心に建物全体で帰宅困難者3,000人の受け入れを想定し、約3日分の食料も備えています。

木挽町広場

想像以上の価値を築く

建造物をゼロからつくりあげていく。不可能な建設を可能にする。
シミズがこれまで手掛けた数々のプロジェクトの中から、こだわりのものづくり、「課題×解決」の様子をご紹介します。