建物を一括管理するデジタル化プラットフォーム「DX-Core」
当社は、建物内の設備やIoTデバイス、各種アプリケーションを容易に連携・制御できる建物運用デジタル化プラットフォーム機能を備えた建物OS(オペレーティングシステム)「DX-Core」を開発しました。
DX-CoreはコンピュータのOSのように更新可能な建物デジタル化プラットフォームです。今まで、建物運用に関わる設備機器やアプリケーションはメーカーの違いや仕様、プログラムが異なることが相互連携を困難にしていました。そこで、当社は建物をパソコン本体のようにすることで、さまざまな設備機器などのデバイスを“プラグアンドプレイ”の感覚で増設・連動できるようにしました。DX-Coreを介することによって、設備更新や新たな設備の導入時に連携の仕組みごとつくり変える必要がないため、容易にバージョンアップを図ることができ、常に最新のビル機能を維持することができます。
背景
近年、多くのサービスがロボット化され、建物運用に関わる設備機器との協調が避けられないものとなってきました。高度な建物オペレーションによるサービスを提供するためには、空調・ELVなどの設備機器からビル内を自動走行するロボットに至るまで、多種多様な機器類の制御アプリケーションを連携させる必要があります。例えば、ロボットとELV、自動扉などを連携させなければロボットのスムーズな自動走行ができません。建物内の混雑状況の可視化とそれに伴う換気量制御は、AIカメラと空調制御、スマホやサイネージの連動が必須です。
しかし、アプリケーション間の連携は設備機器・デバイスごとに個別のプログラミングをしなければならないケースが多く、新規設備を導入するたびに開発期間を要し、コストも大きくなるため、先進的な建物サービスの実装を妨げる要因となっていました。
DX-Coreの概要
そこで開発したのがDX-Coreです。この基幹システムであるデジタル化プラットフォームと各種設備システムのソフトウェアを結ぶ API(Application Programming Interface)※を構築することで、DX-Coreから設備システム群を制御できるようにしました。また、ソフトウェアをDX-Coreに接続すると、PCモニタやスマホなどのビジュアルツール上にアプリケーションのアイコンが表示されます。建物管理者は、その一覧からマウス操作でアイコン同士を連結するだけでアプリケーション間のデータ連携をすることができ、利用者にとっても使いやすいツールとなっています。
API:Application Programming Interfaceの略で、設備機器などを制御するソフトウェアの機能や管理するデータなどを外部の他のプログラムから利用するための手順やデータ形式などを定めたルールを指す
DX-Coreはクラウドとエッジによるハイブリッドで構成されています。停電時や火災時などのインターネット回線が切断されるような緊急時やリアルタイム処理が必要な場面ではエッジ側で処理を行うため、リスク管理にとっても大きなメリットがあります。加えて、このクラウド機能により、DX-Coreを導入した複数棟の管理もまとめて簡単に行うことができます。
DX-Coreの3つの機能
1.ローカルインターフェース機能
メーカーの垣根を超え、個別のプログラムを問わず建物の設備機器同士を連結できるため、新規サービスの導入やサービス機能のアップデートを迅速かつ柔軟に実施することができます。新築時に設備間連携を組んでいても、設備更新のタイミングで最適なメーカーの選択が可能となり、導入のために新たなシステムを開発する工期・コストを抑えた機能追加が可能です。
さらには、設備機器やセンサー、カメラ、ロボットなどが収集する多種多様な動的データを蓄積・解析し、エネルギー利用の効率化や設備運転の最適化が図れ、データをフィードバックすることで、各種サービスの改善に役立てることができます。
2.連携制御機能
建物の稼働データや利用者の通行ログ、位置情報などを建物設備間で連携することで、人の居場所や人数によって空調の自動運転や照明の照度調節など、業務運用効率の改善を図ることが可能です。
3.外部API機能
建物情報を建物専用のポータルサイトへ反映し、利用者へ混雑状況(食堂や店舗、会議室など)や各種インフォメーションなど、建物の最新情報を簡単に提供することができます。トイレの利用数や個室利用状況を共有することで清掃の効率化、共用部のサービスレベルの向上を図れます。
また、専用のアプリをダウンロードしたスマートフォンから空調や照明などを1台ごとに制御することも可能です。このような操作を利用者へ開放することで、個別ニーズに沿ったきめ細やかで快適な空間を提供することができます。