対談「脱炭素社会の実現に向けた シミズの取り組み」

レジリエントな社会の実現のために

井上:最近では、特に自然災害の激甚化が問題となっています。地球温暖化が原因だと思いますが、100年に1度と言われる雨が毎年のように降り、それにより、浸水、洪水、高潮や土砂災害などが発生しています。建設会社としては、しっかりと復旧復興にも対応しなければなりませんし、対応する技術開発を行わなければならないと思っています。
2019年10月に関東地方に上陸した台風19号による大雨で、試験湛水を行っていた八ッ場ダムが一夜にしてほぼ満水となりました。下流域での洪水を防いだとも言われており、必要なものはやはり必要だと世間の人から見直されたと思っています。当社も、自然が有する多様な機能や仕組みを活用した「グリーンインフラ」の考え方を取り入れながら、国民の安全を守る社会インフラの整備を行っていきたいと思います。

:地球温暖化で気候変動が起こったときに、短時間の雨量が増えるというのは、ほとんど疑いようがない事実です。また、台風についても、大型のものが増えるという予測が出ています。しかも、ルートが現在より少し東寄りになると言われていますので、それに備えなければなりません。ダム建設は、地域や人、生態系にも負荷をかけますが、地元の要望があるものについては、できるだけ環境負荷と社会的影響を少なくして整備する必要があるのだと思います。人口が減少すると、費用の問題で整備が難しくなりますので、できるものはつくっておくことが重要だと思います。また、建設業では、屋外での作業が多く、大雨の時はもちろん、気温が上がると熱中症の懸念などもあり、作業員の皆さんの作業効率が下がりますよね。その意味では、建設業は地球温暖化の影響を受けやすい産業ではないかと思います。

井上:おっしゃるとおりです。最近の夏の暑さは異常で、現場で働く作業員や当社の従業員は本当に大変です。
当社は、人と自律型ロボットがコラボしながら工事を進める次世代型生産システム「Shimz Smart Site」を構築して現場に適用を始めました。そこでは、全天候軽量屋根「全天候カバー」が建物をすっぽりと覆っています。直射日光が当たらない環境で、中で働く作業員になるべく負荷がかからないような環境を提供しています。