対談「脱炭素社会の実現に向けた シミズの取り組み」

「やらされている」から「やらなければならない」へ

:昨年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり世界全体で7%程度CO2の排出量が減るのではないかと言われています。このような状況で7%減ですから、来年以降さらに減らすためにはどのようにすればいいのかということになりますよね。

井上:大変なことだと思います。

:これからは、建物などのユーザーが意識しなくても自然とCO2の削減ができるようなものに置き換えていくのが一つの手段ではないでしょうか。また、再生可能エネルギーの割合が多いと、今までと同じように電気を使っても、CO2の排出量を削減することができます。そのような社会の実現に御社が貢献されることを期待しています。

井上:政府が2050年にカーボンニュートラルと宣言したことは、とても大きなことだと思います。CO2削減の問題は、今回の宣言で進むのではないかと期待していますし、一民間企業として、背中を押されたように感じています。今が流れに乗る一番のチャンスだと思いますし、世の中全体がそのようになっていかないと、持続的な社会の実現は厳しくなります。

:政府の宣言を聞いて、井上社長が背中を押されたのと同じように、社長が本気を見せると、御社の従業員の皆さんも「やらされている」から「やらなければならない」に変わっていくのではないですか。

井上:まさにその通りだと思います。従業員一人一人が、本気でそのような意識を持つことが、持続的な社会の実現に不可欠であると考えています。ところで、CO2の削減等に関する技術で先生が注目されているものはありますか。

:温暖化対策で再生可能エネルギーが増えれば、日本は、エネルギー自給に向かうと思っていましたが、かなり大変そうです。例えばオーストラリアのような広い土地があるところでエネルギーを生み出し、日本に運んでくるとすると、水素はCO2削減の技術として案外有効なのではないかと思います。

井上:確かにそうですね。当社も、水素は今後の重要なポイントになる技術と考えています。そして、その水素の技術を生かすためにもう一つキーになるのが蓄電池だと思います。国土が限られた日本においては、再生可能エネルギーでは、電力が安定しないと言われています。蓄電池の技術が飛躍的な進歩を遂げ、電気をストックできるようになると、全く景色が変わってくると思います。現在、国やさまざまな企業が一生懸命技術開発に取り組んでいますが、当社においても産業技術総合研究所と一緒になって再生可能エネルギー余剰電力を水素に変えて、必要に応じて取り出して発電できる建物付帯型水素エネルギー利用システム「Hydro Q-BiC」などの技術開発を進めてきまして、先ほど申しあげた北陸支店の新社屋に、初めて実装しました。