対談「脱炭素社会の実現に向けた シミズの取り組み」

CO2排出の少ない建造物・サービスを世の中に提供

:脱炭素に向けて、どのような取り組みを行っているのですか。

井上:当社は、2019年5月に策定した長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」において、「地球環境に配慮したサステナブルな社会の実現」を当社グループが社会に提供する価値として掲げていますが、さらに今年度には、持続可能な社会の実現に向けた新しいグループ環境ビジョン「SHIMZ Beyond Zero 2050」を策定しました。2050年までに自社活動による負の影響をゼロにするだけでなく、お客様や社会にプラスの環境価値を積極的に提供していくこと、すなわち「Beyond Zero」を目指す決意をしました。特に省エネビルやZEBの普及に取り組んでおり、今年完成したばかりの北陸支店の新社屋においても、最新の環境技術を導入しました。
また、再生可能エネルギーの普及にも注力しており、太陽光発電事業のほか、陸上風力発電所の建設など再生可能エネルギー施設の建設にも取り組んでいます。昨今注目されている洋上風力発電の分野では、世界最大級のSEP船(Self-Elevating Platform:自己昇降式作業台船)の建造を進めています。また、水素利用の研究も進めています。
このようにCO2削減、脱炭素社会の実現に向けて全社を挙げて取り組んでいますが、この問題について先生はどうお考えですか。

:御社が脱炭素社会の実現に向けて色々なことに積極的に取り組まれているということは、とても素晴らしいことだと思います。地球温暖化の被害は全員が等しく受けるわけではありません。人にCO2削減をやってもらい、自分はしないというのが、短期的に見ると一番良いわけです。しかし現在は、機関投資家からの要求もありますので、企業はCO2削減を避けては通れません。御社の場合は、自社のCO2の排出量を削減するだけでなく、ビルや社会インフラを建設する事業を営まれているわけですから、そこでCO2の排出量が少ない構造物やサービスを世の中に提供するという貢献の方が大きいのではないでしょうか。御社がこれから生み出す建物などは、おそらく2050年にも使われていますよね。排出ゼロと言っているのにこのようなもので良いのかというのがチェックポイントになりますし、こうあるべきと提案すべきだと思います。そこが建設業の面白いところであり、また責任ではないかと思います。