上司座談会「“女子力”で現場に新風を」

安心して子育てできる仕組みと配慮を

西岡:今、当社の現場にいる技術系の女性の多くは、20代から30代前半です。これから出産などのライフイベントを迎える年齢ですが、育児休暇や時短勤務が、自身のキャリアパスに与える影響を不安視している人も多いんです。
部下が出産することになった場合、どういった対応をすることが、その人のためになると思いますか?

塚田:妊娠したと聞いたら、母体の安全を第一に考えて、現場に出なくても済む仕事を担当してもらいます。
本人は、現場に迷惑を掛けると思うかもしれないけれど、これを機会に、それまで担当したことがない分野の仕事に携われば、仕事の領域が広がります。それは本人のためにもなるし、最終的には会社のためにもなると考えています。
私の現場では、設備担当の女性が出産し、育児休暇を経て、今、時短で現場勤務を続けています。以前は現場にも出ていましたが、今は事務所で工務的な仕事を担当しています。現場に出なくてもできる仕事は、たくさんありますから。着替えたり、仮眠を取ったりできる場所を用意しました。

東京支店 塚田泰三
東京支店 塚田泰三

澁谷:私も、部下が妊娠したと聞いたら、心身に負担の掛からない業務に担当替えをすると思います。その上で、産休までにどのように仕事の引き継ぎをして、復帰後はどうするか、という先のことまで話し合う必要があると思っています。

西岡:今、お二人とも「妊娠したと聞いたら」と言われましたが、そもそも若い女性は、工事長にプライベートな話をしづらいと思うんです。実際、現場に迷惑を掛けてしまうと思い、妊娠したことをなかなか上司に言い出せないという話も聞きます。

塚田:うーん…。男性側としては、相談されない限りプライベートまでは踏み込めない。
でも、それだと堂々巡りですよね。思い切って、女性が現場に配属されたら、最初の面談で上司から「産休や育休を取ることになった場合、うちの現場ではこのように対応する」と説明してあげると良いかもしれないですね。そして、「子どもができたらすぐに報告するんだぞ」と伝えておく。

西岡:それ、すごく良いアイデアだと思います。女性って、まだ結婚していなくても、将来のことを考えて漠然とした不安を持っていることが多いんです。でも、妊婦さんになってもちゃんと働けるし、教育してもらえると分かったら、安心して頑張れると思います。
ちなみに、その最初の面談時に、「生理休暇という制度もあるから、使っていいんだよ」というところまで言ってもらえるとありがたいですね。私は昔、現場で朝礼当番をしていた時に、生理痛で倒れたことがあるので…。

小林:どうしても男性に相談しづらいことは、同性に相談できるよう、身近に同じ立場の女性を配置できると良いですね。同じ現場は無理だとしても、距離的に近い作業所をグルーピングして、女性同士のネットワークをつくれるように配慮するとか。

土木東京支店 岡野高之
土木東京支店 岡野高之

岡野:私は、自分の部下が子どもを産み、毎日夕方には保育園に迎えに行かなくてはならないと言われたら、どういう仕事を任せるべきか、正直悩みます。
私には中学生と小学生の子どもがいますが、もし自分が女性だったらと考えると、これまでと同じ働き方ではなく、制度の助けや、自らの工夫、周囲の協力が欠かせないだろうと考えます。
例えば、今はいろいろな文明の利器があるので、時短で帰宅した後に、自宅のPCで明日の準備をしたり、TV会議で現場の打ち合わせに参加するというようなことも可能です。在宅勤務と組み合わせる、というような仕事の仕方を考えることも必要だと思います。

塚田:子どもが生まれたら、自宅近くの現場に配属を替える、という方法もあるかもしれません。

西岡:会社でも、ベビーシッター利用補助制度などが用意されているので、うまく活用できると良いですね。
現場の仕事も子育ても、女性が「私しかやる人がいない」と思い詰めてしまわないようなフォローが必要なのだと思います。

澁谷:現場内の配慮で解決できること、会社の制度として取り組まないとできないことの両面ありますね。その両方を進めていくことが大切なのではないでしょうか。

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