有明体操競技場

  • 建築
  • レジャー・スポーツ施設
  • 東京都
  • 2019年

設計担当者から

石原 政幸

世界最大級スパン約90mの木質大屋根、木の観客席、木の外装。この「木の器」を、防災的、構造的にいかに成立させるか、11カ月の設計期間で、さまざまな検討と実験を行いました。 特に苦心したのは木質大屋根の耐火性能の確保。木梁が火災時発火点に達しない設計上の工夫をし、また木製大梁のピース同士の接合は耐熱性能のある特殊な手法を開発しました。木質大屋根は、建物両側から10mほど張り出した片持ちトラスに(ちょう)(げん)(ばり)を架設する複合式張弦梁構造。これとリフトアップ工法の組み合わせは妙案でした。基礎・外周躯体を簡略化できるなど、構造的合理性が向上し、また施工の安全性、工期短縮にも貢献。木梁のほか、観客席の木製段床や木外装などで、木質化のノウハウを得ることができました。

施工担当者から

永田 正道

東京2020オリンピック競技大会では体操、パラリンピック競技大会ではボッチャの会場となる有明体操競技場が竣工しました。工事のハイライトとなる木質張弦梁のリフトアップは、5回に分けて実施。1ユニットは重量約200トン、幅約70m、奥行き約15m。組立構台上で張弦梁と大梁・小梁を組み、点検歩廊や照明、放送設備、仮設材などを取り付け終えた上で、3次元座標を測量しながら6本のワイヤーで吊り上げました。リフトアップ後すぐ次ユニットの組み立てに移れるよう、組立構台はレール上に組んだ移動式です。また内外装工事では移動式足場を活用。サイクル工程を確立させ作業の習熟を図り、大空間を少ない人工で効率良く施工しました。

発注者東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
基本設計、実施設計監修、監理株式会社日建設計
実施設計清水建設株式会社
斎藤公男(技術指導)
工期2017年11月〜2019年10月
構造・規模S造、木造 3F
延床面積27,442 m2
所在地東京都江東区

> Photo Gallery 【第17回】有明体操競技場
> Shimz Design Works:「有明体操競技場」

北西側からの全景
内観。大会時12,000人相当を収容
観客席は東京木工場が手掛けた
ホワイエ。天井は、外周手すりと同素材を用いて統一感を出し、また大会後の改修工事で設備類の撤去のしやすさに配慮した
検索結果へ戻る

このページに関するお問い合わせはこちら