深海未来都市構想 OCEAN SPIRAL

深海未来都市構想 OCEAN SPIRAL

“深海を垂直に繋ぐ”という発想

地球表面の約70%は海であり、その約80%は深海です。
深海は、地球生命圏を正しく循環させる大きなポテンシャルを持っています。
しかし、私たちはそのポテンシャルをまだ活かしきっていません。
大気・海面・深海・海底を、垂直に統合することにより、
深海の無限の可能性を活かせると考えました。
地球最後のフロンティアである深海との新しい繋がりを、今こそ持つべきです。
深海の本格的な利用により、かつての陸上型の効率至上主義開発とは一線を画し、
地球における「人類社会の持続性」の飛躍的向上をめざします。

私たちが深海をめざす5つの理由

深海には、「食糧」「エネルギー」「水」「CO2」「資源」の
私たちが直面する5つの課題を解決するポテンシャルがあります。

食糧
深海域の漁業の質と量の可能性は、限りなく無限です。
エネルギー
深海が持つ未利用エネルギーは、限りなく無限です。
深海だから造れる淡水の量は、限りなく無限です。
CO2
深海のCO2処理能力は、限りなく無限です。
資源
海底や海中の資源量は、限りなく無限です。

深海未来都市をベースキャンプとして、
「深海力による地球再生」をはじめます。

深海未来都市構想 OCEAN SPIRAL

深海力による地球再生をめざす

深海未来都市構想 OCEAN SPIRAL
深海未来都市構想 OCEAN SPIRAL

【深海特性】

−200m
これより深海

  • 真光層:
    ここまでは太陽光がよく届く
  • 植物性プランクトンの光合成限界
  • 薄光層:
    太陽光がかすかに届く

−1,000m
上部漸深層(ぜんしんそう)の始まり

  • 真光層:
    ここまでは太陽光がよく届く
  • 無光層:太陽光が届かない
  • 海面との温度差20℃程度(低緯度地域)
  • 音波が最も遠くまで届く
  • 海水性状(温度・密度・塩分)が
    大きく変化する層の最下部

−1,500m
下部漸深層(ぜんしんそう)の始まり

  • 海水温は2〜3℃程度

−3,000〜−4,000m
深海層の始まり

  • 今回計画の海底想定

【今回計画】

■ BLUE GARDEN

  • 快適・健康・安全な
    深海都市のベースキャンプ
    (直径500mの球体)

深海ゴンドラ発着フロア

スーパーバラストボール

  • 砂と空気による浮力制御

深海音波モニタリング拠点

  • 音波が一番届く深さを利用し、
    海洋環境をモニタリング

■ INFRA SPIRAL

  • 運搬機能
     往路:人・電気・水・酸素等
     復路:人・海底資源・生物資源等
  • 取水機能
    −1,000m:発電用
    −1,500m:養殖冷水用
    −2,500m:海水淡水化用

深海生物モニタリング拠点

  • 海水温2〜3℃の生物常時観測

テンションレグ

  • 漂流防止・位置保持のための係留構造

潜水艇の深海港

  • 電気・水・酸素等補給
  • データや海底資源の中継

■ EARTH FACTORY

  • CO2の貯蔵と再利用
  • 海底資源の開発と育成
  • 地殻変動・
    地震モニタリング拠点

MASTER VISION 海面と海底との垂直統合

BLUE GARDEN

OCEAN SPIRALの
ベースキャンプ

宇宙船のように深海に浮かぶ直径500mの球体、BLUE GARDEN。
陸上よりも快適で安全な都市です。

  • 温度変化の少ない快適都市
  • 台風も地震もない安全都市
  • 地上より酸素の濃い健康都市
GARDEN グランドエントランス
GARDEN グランドエントランス
BLUE GARDEN アトリウム
BLUE GARDEN アトリウム

新しいライフスタイル

深海に面したカジュアルゾーンでは、 深海を感じ、楽しみ、学び、語り合う。

  • 深海観光ツアー
  • 深海体験型教育
  • 高酸素濃度の深海健康法
  • 快適で安全な住居と職場
BLUE GARDEN 深海プロムナード

BLUE GARDEN
深海プロムナード

新しいビジネスモデル

中央タワーのビジネスゾーンでは、 深海発、新産業のビジネスモデルがインキュベートされる。

  • 深海資源産業
  • 深海エネルギー産業
  • 深海観光産業
  • 深海先端研究拠点
BLUE GARDEN セントラルプラザ

BLUE GARDEN
セントラルプラザ

INFRA SPIRAL

深海だからこそ求められる機能を集約

  • 電気:海水温度差を利用して発電
  • 食糧:深層水を利用して養殖
  • 淡水:水圧を利用して淡水化
  • 交通:深海探査艇の港(補給基地)
  • 情報:深海モニタリング拠点
INFRA SPIRAL

INFRA SPIRAL

EARTH FACTORY

現在の深海先端研究を将来の深海先端産業へ

  • CO2:産業排出二酸化炭素の貯蔵と再利用
  • 資源:海底資源の開発と育成
EARTH FACTORY

EARTH FACTORY

SOLUTION 深海力で、地球を再生

5つの分野で、地球規模の「循環」を再生

深海が本来持っているポテンシャルを活かし、5つの分野で地球規模の「循環再生」と「人類社会の持続性」を向上します。

SOLUTION 深海力で、地球を再生
  • 食糧
  • 世界的人口爆発で
    食糧不足
  • 世界中で農地拡大による
    環境破壊
  • 深海漁業の質と量の
    可能性は無限

深海の温度と栄養を活かす
(例:高級ブランド魚の養殖)

沖合養殖漁業の拡充

  • エネルギー
  • 経済発展のグローバル化で
    電力逼迫
  • 常時安定発電の
    ベースロード電源が必要
  • 深海が持つ
    未利用エネルギーは無限

深海の温度差で
海洋温度差発電

エネルギーの自給自足

  • 異常気象と消費拡大で
    世界的な水不足
  • 海水を容易に
    淡水化できれば解決可能
  • 深海から造れる
    淡水の量は無限

深海の温度と栄養を活かす
(例:高級ブランド魚の養殖)

沖合養殖漁業の拡充

  • CO2
  • 地球温暖化防止のため
    CO2削減は急務
  • CO2削減の
    世界的合意形成は困難
  • 深海のCO2
    処理能力は無限

地球本来のCO2循環を活用
(例:CO2からエネルギー製造)

CO2を「削減」から
「利用」へ

  • 資源
  • 経済発展のグローバル化で
    資源逼迫
  • 陸上の資源開発は
    枯渇化し環境問題誘発
  • 海底や海中の
    資源量は無限

海水・海底の未利用資源活用
(例:人工熱水鉱床)

資源を「採る」から
「育てる」へ

SOLUTION 深海力で、地球を再生

TECHNOLOGY
将来に向けた技術課題

構造計画 : コンクリートで、直径500mの潜水都市を造る

  • 1.強度球体で水圧を受け止める
  • 2.コンクリート強度の強い、樹脂コンクリート
  • 3.配筋錆びない、樹脂配筋
  • 4.環境対応ペットボトルリサイクル材を樹脂コンクリートに活用
直径500mの球体コンクリートフレーム
直径500mの球体コンクリートフレーム
内部タワーを「球殻補強材」として活用
内部タワーを「球殻補強材」として活用

外壁計画 : 深海で360°パノラマの、透明球体に挑戦する

  • 1.強度一辺50mの三角形を
    アクリル板で実現
  • 2.強度半透明 FRPリブで強度補強
  • 3.清掃マイクロバブル等による
    生物付着防止
  • 4.ジョイント部止水、変位吸収他
一辺50mのアクリル板三角形で球を造る
一辺50mのアクリル板三角形で球を造る
360°の深海パノラマ
360°の深海パノラマ

設備計画 : 深海ならではの快適性実現に挑戦する

  • 1.自然対流海水と空気の温度差利用で
    快適・涼風の自然対流
  • 2.除湿深海海水の冷熱利用で
    さわやか除湿空調
  • 3.空調除湿後の冷水再利用で
    人に優しい輻射空調
  • 4.断熱アクリル板(厚さ3m)の
    断熱効果で快適環境
設備計画

施工計画 : 球体の洋上完全自動化施工に挑戦する

  • 1.未来技術の先取り3Dプリンター方式
    (樹脂コン打設)(樹脂配筋)
  • 2.実績ある技術の統合大型型枠垂直自動転用
    ジャンプアップ工法/
    張出架設ディビダーク工法
  • 3.海洋特有の施工法常時、水面で施工
    (完成躯体水中沈下方式)
施工計画 : 球体の洋上完全自動化施工に挑戦する
施工手順

運用保全計画 : フェールセーフとメンテナンス

  • 1.上下動制御:砂充填型スーパーバラストボール
砂充填型スーパーバラストボール
  • 2.波浪制御:浮体式防波堤
浮体式防波堤
  • 3.日常振動制御:制振装置
制振装置

VARIATION
あらゆる立地・
スケールに対応

立地バリエーション : 世界の海を結ぶ、OCEAN SPIRALネットワーク

地域特性から見た立地想定

  • 1.沿岸地域の海:各国排他的経済水域内の
    離島活性化
  • 2.海洋島国の海:太平洋上の島嶼国の
    海面上昇対策
  • 3.砂漠地域の海:中東やアフリカの海で
    快適深海居住

海底地形から見た立地想定

海底地形から見た立地想定

世界に広がるOCEAN SPIRAL ネットワーク

世界に広がるOCEAN SPIRAL ネットワーク

海底の地形から見た立地想定

海底の地形から見た立地想定
立地想定
❶深海平原:水深3000m〜5000m 平坦 幅〜1000km❷コンチネンタルライズ:水深3000m〜4000m 平坦 幅〜500km出典:オールカラー 深海と深海生物 美しき神秘の世界(ナツメ社)より(独)海洋研究開発機構(JAMSTEC)監
イラスト:細密画工房 横山伸省

スケールバリエーション

都市スケールの直径500mモデルとは別に、より実現性の高いモデルとして、建築スケールの直径200mモデルも想定しています。

直径500mφ(都市モデル)

直径500mφ(都市モデル) 直径500mφ(都市モデル)
浮力バランスを保つため、砂充塡のスーパーバラストが必要。

直径200mφ(建築モデル)

直径200mφ(都市モデル) 直径200mφ(都市モデル)
浮力バランスは、球体内の砂充塡バラストで対応可能。

ADVISERS

深海未来都市構想 OCEAN SPIRALに
技術情報を提供していただいた方々

学識経験者

海洋生態系、海洋深層水 関連
東京大学・高知大学 高橋正征名誉教授
海洋温度差発電 関連
佐賀大学 池上康之教授
深海関連
(独)海洋研究開発機構(JAMSTEC)

専門分野別

水産資源、養殖 関連
(独)水産総合研究センター
樹脂コンクリート、樹脂建材 関連
昭和電工(株)
大型アクリル板 関連
日プラ(株)

(独)海洋研究開発機構(JAMSTEC)様より

日本列島は地球活動のもっとも活発な場所の一つに位置します。したがって、海洋、地球、生命、そして人間活動の統合的な理解を日本から発信することが、私どもの責務だとJAMSTECではかねてより考えておりました。
さらに今後は、海洋資源の利用、海洋生命工学の展開、海洋地球情報の高度化など、海洋イノベーションを力強く推進する必要があります。
そのような状況の中で、清水建設(株)様から、「人と深海の新しい繋がり」をめざす深海未来都市構想をお聞きした時には、私どもの研究成果を活用いただけることを確信しました。JAMSTECの果たすべき使命は「新たな科学技術で海洋立国日本の実現を支え、国民、人間社会、そして地球の持続的発展・維持に貢献する」ことであります。
パンフレット作成にあたりJAMSTECの実績に基づく情報を提供させていただいたと共に、今後ともOCEAN SPIRALの技術的有効性・実現性の向上のために、しっかりと協力させていただきたいと考えております。