病院づくり

大学病院を核とするメディカルキャンパスタウンづくりのサポート
岩手医科大学附属病院

2020.3.27
矢巾キャンパス全景(中央が第3次事業の病院群、左側が第1~第2次事業の大学キャンパス)

病院づくり 大学病院を核とするメディカルキャンパスタウンづくりのサポート 岩手医科大学附属病院2020.3.27

矢巾キャンパス全景(中央が第3次事業の病院群、左側が第1~第2次事業の大学キャンパス)

岩手医科大学は、地域医療に密着した、岩手県唯一の医学部を擁する大学です。
創立の地である岩手県盛岡市の内丸地区で、1897年より120年以上にわたって、医学教育と大学附属病院での高度医療の提供を行ってきましたが、施設の老朽化と狭隘な敷地のため、約10km離れた矢巾町へ主要機能の移転を実施しました。

1000床の大学病院の移転整備計画

移転先の矢巾町には、主に入院・治療を行う「高度治療機能病院」である新附属病院と、教育や研究、臨床に取り組んでいる医療系総合大学を配置し、メディカルキャンパスタウンを創出。
一方、盛岡市の中心部・内丸地区に建つ既存病院は、利便性が高いため、外来診療中心の「高度外来機能病院」である内丸メディカルセンターとして再整備し、機能分化と相互連携を図りました。

矢巾キャンパスへの移転整備計画は、大学創立120周年記念事業として2002年の矢巾町の用地取得から始まり、足かけ17年にわたる長期プロジェクトとなりました。
第1次事業(2007年)である薬学部の開設と共通教育センターの移転、第2次事業(2011年)である医学部・歯学部と基礎・共同研究部門の移転に続く、最終の第3次事業にあたる今回は、最先端医療に対応した1,000床の高度急性期病院を整備しました。

37万m2を超える広大なキャンパスの敷地に、南北を貫くキャンパスモールの軸を設け、その軸に沿って大学や附属病院を配置。メディカルキャンパスタウンとして、大学や病院だけでなく、店舗や薬局、ホテル、保育園なども併せて整備し、矢巾町の中心を貫く、賑わいのあるまちづくりを行いました。

メディカルタウン
附属病院
附属病院。外観はキャンパス側建物の要素を継承し、統一感ある街並みの表情を創出
附属病院に隣接するトクタヴェール
附属病院に隣接するトクタヴェール。フードコートやカフェ、銀行、コンビニなどの利便施設が入り、24時間稼働する病院のスタッフを支える。近隣住民にも開放
矢巾なかよし保育園
矢巾なかよし保育園。病児保育も行い、職員が安心して働ける環境を支える(2019年度キッズデザイン賞受賞)
対がん協会(健診センター)のイメージパース
対がん協会(健診センター)のイメージパース。地域の健診機能を担い、附属病院との連携を図る(2021年4月開設予定)

内丸キャンパスの施設整備を通じ、長年携わってきたシミズは、今回の移転整備計画においても、矢巾キャンパスの用地取得時から総合的にサポートを行いました。
具体的には、矢巾の土地取得支援や開発申請支援、大学各施設ならびにエネルギーセンターやドクターヘリポートの施工、内丸に残る既存病院と矢巾の新病院の機能分けに対する事業計画の支援(マーケットリサーチなど)、新病院の設計(共同設計)と施工、保育園や対がん協会が運営する検診クリニックの設計・施工、薬局・ホテルなどの事業スキーム提案など、長きにわたるパートナーとしてさまざまな形でメディカルタウンづくりをお手伝いしています。

「世界に冠たる病院」を目指し高度治療機能病院を整備

新築した附属病院は、「世界に冠たる病院」を目指して整備された約86,000m2、地上11階建て、免震構造、1,000床の高度治療機能病院です。既存病院より集中治療室などの重症系病床を増やしました。岩手県唯一の特定機能病院として高度医療の提供体制を整備。また、高度救命救急センター及び総合周産期母子医療センターとして救急医療の充実を図っています。

新築した附属病院

(1)効率的かつ機能的な配置計画

救急専用エレベーターを中心に、救命救急センターから、手術部や集中治療エリア、救急病棟などを積層配置して効率的な患者搬送を実現しました。また、関連ある部門同士を隣接配置することで、スムーズな機能連携を可能としました。
手術部は、ハイブリッド手術室2室を含む20室を配置し、さらに手術件数の増加を見越して、4室分の拡張スペースを備えています。

病院建物について 図
血管造影装置を導入したハイブリッド手術室
血管造影装置を導入したハイブリッド手術室

(2)【ヘリポートから30秒で救命救急センターへ】

新病院の救命救急センターには、隣接した地上にドクターヘリポートを配置。搬送された患者さんを約30秒で救命救急センターに搬送できます。屋上ヘリポートとは異なり、エレベーターを経由しないため、搬送時間短縮が図れます。また、地震時でもエレベーター停止のリスクがないため、ヘリポートからの受け入れを継続して行えます。さらに、救命救急センターの入口には高速シャッターを設け、救急車から患者さんを降ろす際に風雪の影響を受けることを防ぎました。

ヘリポート
救命救急センターから30秒ほどの場所にドクターヘリのヘリポートを配置し、迅速な治療が可能な体制に。(提供:岩手医科大学)

(3)「医療人は患者さんのそばに」を実現する建物計画

「医療人は患者さんのそばに」という病院の理念に基づき、一般的には病棟と別の棟やフロアに設ける医局を、1フロアに4つある病棟の中央に設け、患者さんの急変時にもすぐに駆け付けられるようにしました。

医局配置

(4)地域の文化や生活環境を反映した「患者さんにやさしい」インテリアデザイン

インテリアは、岩手の気候・風土に根差した「岩手らしさ」のあるデザインとしました。岩手の歴史的・文化的シンボルから抽出した岩手の3原色、「茜」「琥珀」「紫根」の3色を用いて、各種サインやゾーニングを表現するアクセントカラーなどに展開しました。
患者さんがストレスなく目的地にたどり着くことができるように、3原色の色彩と照明による光がエントランスやホスピタルストリートの床や壁、天井に「染み出す」「染み入る」ように配することで、空間に彩りを与えるとともに、視認性を高めています。

エントランスホール
外光が入る、明るい吹き抜けのエントランスホール
光の廊下
色彩と光によって利用者を導く「光の廊下」
手前 東病棟「紫根」、中央 外来「琥珀」、奥 西病棟「茜」
床や壁にサインが分かりやすく表示されている(手前 東病棟「紫根」、中央 外来「琥珀」、奥 西病棟「茜」)
デイルーム
最上階で眺望の良い暖炉(右)のある緩和ケアのデイルーム
緩和ケア病棟
やすらぎの時間を創出する緩和ケア病棟では、窓に障子を設け、優しい光が降り注ぐ空間を演出
小児病棟
小児病棟は、長期入院の子ども達が心から安心できる場所になるよう、明るく楽しい空間をつくり出した
新生児集中治療室
新生児のために、低い照度でも1日のリズムを感じられる光環境を整備したNICU(新生児集中治療室)

長きにわたるパートナーとしてできること

シミズはこれまで、岩手医科大学のパートナーとしてさまざまなお手伝いをしてきました。新病院では、例えば施設メンテナンスを関係会社であるSBLC(シミズビルライフケア)が手掛けるなど、オープンした後もサポートを続けていきます。 これから先の未来も、大学の想いに寄り添ってオールシミズで尽力していきます。

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