トンネル切羽の変状をリアルタイムに可視化
「トンネル切羽安全監視システム」

「トンネル切羽安全監視システム」は、切羽掘削面の振動挙動をミリ秒間隔で連続的に計測し、観測データを高速処理できるミリ波振動可視化レーダーを活用することで、変位や速度の面的な分布をPC等のモニター上でリアルタイムに可視化する技術です。

トンネル切羽安全監視システムの現場実証(山岳トンネル連絡坑の貫通時計測)
トンネル切羽安全監視システムの現場実証(山岳トンネル連絡坑の貫通時計測)

背景

山岳トンネル工事では、労働災害の多くがトンネル掘削の最先端(切羽)で生じており、重篤災害につながるケースも散見されます。切羽での労働災害を防ぐためには、落石・崩落の防止対策を適切に講じるとともに、崩落の予兆を事前に検知する仕組みを構築することが必要となります。

概要

本システムは、ミリ秒間隔かつ0.1mmオーダーの精度で切羽の微細な変位を計測できる可搬式のミリ波レーダーを使用しています。この高速・高精度の計測データから、崩落の予兆を捉える指標として切羽全域の変位、速度をリアルタイムに算出し、各指標の面的分布図を数10cmメッシュの分解能でモニター上に表示します。

さらに、レーダーが建設機械に反射することで生じる計測データの異常値をノイズとして除去する補正機能も備えているため、機材の設置場所の制約が少ないうえ、機材のセットに要する時間は5分程度で、計測開始と同時に掘削面の変位情報をモニター上で確認できます。

貫通時の切羽の状況
貫通時の切羽の状況
貫通時の測定結果(速度分布)
貫通時の測定結果(速度分布)
貫通部の測定結果(変位)
貫通部の測定結果(変位)
貫通時の計測結果(速度RMS値)
貫通時の計測結果(速度RMS値)
  • 目視では認識しがたい微小な変化(変位)が貫通部に生じ始めると、それに合わせて比較的大きな速度変化も観測されるようになる。
  • 貫通時に切羽で岩塊の崩落が始まる20秒前から大きな速度変化が生じる様子が見て取れる。
貫通時の切羽の状況
貫通時の測定結果(速度分布)

ミリ波振動可視化レーダー(開発:アルウェットテクノロジー株式会社)

メリット

このシステムの導入により、従来技術では捕捉するのが困難だった切羽の崩落現象の予兆を適時・的確に捉えられる可能性が高まり、切羽周辺での作業の安全性が飛躍的に高まる効果が期待できます。

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