2023.11.15
清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、山岳トンネル工事の安全管理の高度化を目的に、観測データを高速処理できるミリ波振動可視化レーダーを活用し、目視では確認できない切羽の微細な変状を面的かつリアルタイムに捕捉する「トンネル切羽安全監視システム」を開発しました。本システムでは、切羽掘削面の振動挙動をミリ秒間隔で連続的に計測し、変位や速度の面的な分布をPC等のモニター上でリアルタイムに可視化します。本システムを活用することで、従来技術では捕捉するのが困難だった切羽の崩落現象の予兆を適時・的確に捉えられる可能性が高まり、切羽周辺での作業の安全性が飛躍的に高まる効果が期待できます。
山岳トンネル工事では、労働災害の多くがトンネル掘削の最先端(切羽)で生じており、重篤災害につながるケースも散見されます。切羽での労働災害を防ぐためには、落石・崩落の防止対策を適切に講じるとともに、崩落の予兆を事前に検知する仕組みを構築することが肝要です。トンネル切羽安全監視システムは、切羽監視者に精度の高い崩落予知情報を即時に提供するシステムとして開発したものです。
本システムの特長は、ミリ秒間隔かつ0.1mmオーダーの精度で切羽の微細な変位を計測できる可搬式のミリ波レーダーを使用することです。この高速・高精度の計測データから、崩落の予兆を捉える指標として切羽全域の変位、速度をリアルタイムに算出し、各指標の面的分布図を数10cmメッシュの分解能でモニター上に表示します。本システムは、レーダーが建設機械に反射することで生じる計測データの異常値をノイズとして除去する補正機能も備えているため、機材の設置場所の制約が少ないという特長も有します。機材のセットに要する時間は5分程度で、計測開始と同時に掘削面の変位情報をモニター上で確認できます。
当社施工の山岳トンネル工事現場に本システムを試験適用し、貫通前後のトンネル掘削面の振動挙動を経時計測した結果、貫通点の周辺で変位や速度が段階的に増大していく様子が確認でき、崩落の予兆を検知するシステムとしての有用性が実証されました。
今後、本システムに注意報・警報発報機能を組み込み、切羽作業の安全性向上、切羽崩落災害の根絶につなげていく考えです。なお、本システムの開発に当たっては、ミリ波振動可視化レーダーを開発したアルウェットテクノロジー(株)の協力を得ています。
以上
≪参 考≫
トンネル切羽安全監視システムの現場実証(山岳トンネル連絡坑の貫通時計測)
- 目視では認識しがたい微小な変化(変位)が貫通部に生じ始めると、それに合わせて比較的大きな速度変化も観測されるようになる。
- 貫通時に切羽で岩塊の崩落が始まる20秒前から大きな速度変化が生じる様子が見て取れる。
ミリ波振動可視化レーダー
アルウェットテクノロジー(株) 会社概要
所 在 地 | 東京都三鷹市下連雀3-2-24 |
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代 表 者 | 代表取締役 能美 仁 |
設 立 | 2007年6月29日 |
資 本 金 | 1,000万円 |
事業内容 |
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