わずか7秒でらくらく検査「3眼カメラ配筋検査システム」

三角測量の原理を応用した「3眼カメラ配筋検査システム」は、今まで人の手でしか行えなかった配筋検査をデジタル化するために開発されたものです。3つのカメラとシステム制御ソフトから構成され、独自の画像解析アルゴリズムにより短時間で結果を表示させることができます。機材は簡単に持ち歩ける仕様になっており、一連の検査作業を1人1台で行えます。また、通信機器やサーバなどを介さずに帳票作成が可能です。

3眼カメラ配筋検査システム
3眼カメラ配筋検査システム

開発の目的

配筋検査は、鉄筋コンクリート構造物の品質を保証する上で欠かせない品質管理業務のひとつです。これまでは、検査用具の準備、現場での設置、スケールを用いた計測、黒板記入、検尺ロッドやマグネットを設置した写真撮影、事務所での帳票作成を施工者3名、発注者監督員1名で行っていました。検査業務は構造物の規模にかかわらず、多くの手間と時間を要しており、検査結果の精度を保ちながら作業を効率化することが課題となっていました。

配筋検査方法比較(左:従来の配筋検査、右:システムを利用した配筋検査)
配筋検査方法比較(左:従来の配筋検査、右:システムを利用した配筋検査)

概要

その課題に対する画期的なソリューションとなったのが、3眼カメラです。3眼カメラは重さ3kg、幅30cmの機材で、L字に配置された3つのカメラによって撮影します。

まず、L字の角に位置するカメラを基準の画像とし、縦方向、横方向に位置するカメラから撮影した画像と比較することでずれ量を計算します。その結果を元に三角測量の原理を応用して、対象物の縦・横・奥行の3次元情報を算出。次に制御ソフトが画像上の縦・横方向の鉄筋の太さや配筋の平均間隔、本数、重ね継手の長さ、かぶり(コンクリート厚)を計測し、約7秒で検査帳票を自動作成します。一度の撮影で検査できる範囲は1m四方ですが、複数の撮影結果を合成することで、広範囲の検査結果としてまとめることも可能です。

3眼カメラで撮影した画像を比較し、鉄筋の太さなどを算出
3眼カメラで撮影した画像を比較し、鉄筋の太さなどを算出
動画:リアルタイム自動配筋検査システム(3:26)

特徴

簡単な操作により1人1台で配筋検査が完結

従来の鉄筋検査に必要だった黒板や検尺ロッドをシステムの中に組み込むことで、3眼カメラ1台で完結するよう、徹底的な省人化を図っています。従来の黒板を電子黒板とすることで、あらかじめ入力したデータを表示します。検尺ロッドの代わりに電子ロッドを画面上に表示し、自由自在に指で動かせるようになっています。従来、事務所で行っていた帳票作成も現場で撮影ボタンを押すという簡単な作業だけで行えます。遠隔臨場(動画撮影用のウェアラブルカメラ等とWeb 会議システム等を利用した段階確認)にも対応可能です。

配筋検査中の画面表示(イメージ)
配筋検査中の画面表示(イメージ)
配筋検査中の画面表示(イメージ)
配筋検査中の画面表示(イメージ)

高精度な検査結果を提供

検査結果の精度は、雨天時や暗い場所であっても、鉄筋径で±1.0mm、配筋の平均間隔で±5mmと工事管理基準内に収まっており、二段配筋などの複雑な配筋検査にも対応できます。また、検査帳票は3枚の画像データを元に自動作成されているため、故意に手を加えることは極めて難しく、検査結果データや撮影画像が後から編集されたかどうかを判定できるように改ざん検知機能を有するため、非常に信頼性の高い検査結果を提供できます。

雨天時(左)暗所部(中央)寒冷地(右)においても正確な結果を算出できる
雨天時(左)暗所部(中央)寒冷地(右)においても正確な結果を算出できる

対象物までの距離がおよそ1m程度であれば、画像解析に影響はなく、斜め方向からの撮影にも対応できます。対象物から遠く離れて撮影し、画像から鉄筋を検出する精度が低くなった場合などは、画面上にアラート表示することで、再度撮影を促す仕組みになっています。

さらに、検査結果とCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の配筋図データを重ね合わせて色分け表示し、配筋の妥当性を見える化することも可能です。

算定結果とCIMモデルとの比較も可能
算定結果とCIMモデルとの比較も可能

現場への高い適用性

3眼カメラは付属のタブレットで計算するため、専用の通信機器や計算サーバなどが不要であり、現場導入がしやすいツールです。3眼カメラによって、安全な足場などからの検査を可能にしたことで、高所作業時間の大幅な削減につながり作業員の安全性が向上しました。また、非接触での検査が可能であることから新型コロナ対策にも貢献できます。構造物規模を問わず適用可能、操作が簡単で汎用性が高いことから、東根川工事において、日本で初めて発注者監督員の段階確認に採用されました。

東根川橋工事における3眼カメラを用いたシステム検査と従来検査の作業時間・人工の比較
東根川橋工事における3眼カメラを用いたシステム検査と従来検査の作業時間・人工の比較

関連情報

ニュースリリース

事業トピックス

このページに関するお問い合わせはこちら