汽水域の緑化浮島
都市の水辺の景観の向上や生態系保全を目的に、淡水と海水の混じり合う汽水域の水面を緑化する植生浮島を製作、緑化性能と耐久性を実証する実験を行いました。実証実験では東京都中央区の協力を得て、同区佃の石川島公園船溜まりに、2010年と2011年に異なる浮力材料を使用した植生浮島を3基ずつ設置し、継続調査を実施。その結果、汽水域での植生浮島としては、初めて19種類の在来種による長期的な緑化を実現するとともに、カルガモの産卵や昆虫の生息などを確認しました。
概要
植生浮島の製作過程
2010年に耐久性木材とウレタン樹脂を浮力材料とする基盤(1.8m×3.8m:2基、1.6m×1.8m:1基)を、2011年にポリエチレン/ポリスチレン複合樹脂を浮力材料とする基盤(2m四方:2基、1.2m×1.7m:1基)を築き、その上に軽量土壌(パーライト系土壌)、熱融着培土(壁面緑化システム「パラビエンタ」に使用する固化培土)の順に重ねた層厚12cm~36cmの浮島を製作。耐塩性の高いハマボウやヨシなどの在来種の植栽植物19種(木本9種、草本等10種)を選定・植栽し、植栽基盤の飛散防止・固定化のために、土壌表面をメッシュ金網で覆いました。
実験結果
いずれの浮力材料とも劣化・破損がなく長期的な水辺緑化に使用できること、カルガモ等の鳥類や、昆虫類の生息により生物多様性が向上すること、軽量土壌と熱融着土壌は保水性がよく潅水手間が少ないこと、透水性が高く塩分が蓄積しにくいこと、などが確認されました。
今後は、汽水域の水辺の景観の向上や生物多様性の保全ができる施設として、湾岸域などの開発や再生事業へ提案・展開していきます。
