ゼロシュリンク・コンクリート(ひび割れ低減)
いすゞ自動車(株)新研修センター「ものづくりサービストレーニングセンター」(神奈川県藤沢市)の擁壁に適用した超低収縮コンクリート「ゼロシュリンク」について、優れたひび割れ防止効果を確認しました。打設後、すでに半年以上が経過していますが、擁壁表面にはひび割れの前触れとなるヘアクラック等の性状変化は認められていません。
ゼロシュリンク
コンクリートの乾燥収縮を極力防止した上で、わずかに生じる収縮を膨張材による初期膨張効果により事前に相殺し、収縮を実質ゼロにしたコンクリート。乾燥収縮を防止するため、セメントは比較的収縮量が少なく、初期の温度収縮も低減できる中庸熱ポルトランドセメントを、骨材は吸水率が低く、殆ど収縮しない石灰岩を採用、収縮低減剤については保水効果の高いものを採用している。膨張材については膨張量の制御だけでなく、コンクリート内部に働く膨張力で収縮力を相殺するという見えない世界での評価も必要になり、実験と当社独自の膨張効果予測手法による検討を重ね、配合量を確定する。
概要
ゼロシュリンクを初適用した鉄筋コンクリート製の擁壁は、幅15m、高さ4m、厚さ0.31mで、「ものづくりサービストレーニングセンター」のエントランスに続く外階段に沿って設けられています。「長期にわたり美観や機能を維持し、かつメンテナンスの負荷が軽減可能となる高品質な擁壁」という要望を具現化するために、ゼロシュリンクの採用を提案したところ、ひび割れ防止効果により誘発目地のない優れた美観と高い耐久性を実現できることが評価され、採用に至りました。打設時期は14年10月、打設量は約20m3です。
なお、2012年の開発後、技術研究所の新材料実験棟と多目的実験棟の低層階床・外壁に打設した約230m3のゼロシュリンクは、すでに2年以上が経過していますが収縮ゼロの状態を維持しています。

実績・実例
- 技術研究所 新材料実験棟・多目的実験棟 約230m3