シールド機外周部の砂層を検出「砂層探査システム」
「砂層探査システム」は、シールド工事向けの地盤探査技術として、応用地質(株)と共同開発したものです。シールド機のカッターヘッド側面に装備した「比抵抗センサー」を用い、シールド機外周部の砂層を高精度に検出します。本システムの特長は、シールド掘進中に、掘削断面外周部の地盤状況をリアルタイムに把握できることです。これにより、精度の高い土質情報に基づく掘進管理が可能となり、施工の安全性と効率が向上します。
概要
本システムは、カッターヘッド側面の比抵抗センサーから掘削中の地山に直接電気を流して、その比抵抗値(電気の流れにくさ)を測定し、測定結果から対象地山を砂層と粘土層に判別します。具体的には、相対的に砂層が高比抵抗、粘土層が低比抵抗となる特性を利用し、事前に設定した両者の境界値より測定値が高ければ砂層、それ以下であれば粘土層と判定します。境界値は、同じ土質でも生成年代や地域によって比抵抗値に差が生じるため、現地ボーリング等で取得した地盤情報も加味して設定します。
メリット
本システムでは、比抵抗センサーがカッターヘッドの回転に応じて円周しながら、地山の比抵抗値を連続的に測定するため、掘削断面外周部の土質をリアルタイムに把握することができます。砂層・粘土層の判別結果は、掘削断面の円周を36分割してモニター上に表示されます。この情報を掘進管理に反映させることで、施工の安全性・効率の向上を図ることが可能となります。
本システムを実工事のシールド機に試験適用し、比抵抗センサーによる砂層探査結果と、計測後のボーリング調査で判明した実際の地盤状況を比較したところ、砂層的中率は約80%に上り実用化レベルにあることを確認できました。
