掘進中にシールド機外周部の砂層をリアルタイム検出

~カッターヘッド側面の「比抵抗センサー」で周辺地盤を連続測定~

  • 土木

2015.10.14

清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、応用地質(株)<社長 成田賢>と共同で、シールド工事向けの地盤探査技術として、シールド機のカッターヘッド側面に装備した「比抵抗センサー」を用いてシールド機外周部の砂層を高精度に検出する「砂層探査システム」を開発しました。本システムの特長は、シールド掘進中に、掘削断面全周の地盤状況をリアルタイムに把握できることです。これにより、精度の高い土質情報に基づく掘進管理が可能となり、施工の安全性と効率が向上します。

シールド工法によるトンネル工事では、数百メートルおきに行なう地上からのボーリング調査等、断片的な地盤情報を基に、掘削領域の土質分布を想定し、計画・施工に当たるのが一般的です。このため、シールド掘進時に想定と異なる土質に遭遇することがあり、掘削中の地山を直接確認できない密閉型シールド工事では、掘削残土やシールド機の計測機器の数値等から間接的に土質を判断し、切羽への加圧に用いる泥土・泥水の性状や、セグメントに裏込めする充填材の注入量等を調整しています。

一方、今回開発した砂層探査システムは、カッターヘッド側面の比抵抗センサーから掘削中の地山に直接電気を流して、その比抵抗値(電気の流れにくさ)を測定し、測定結果から対象地山を砂層と粘土層に判別するものです。具体的には、相対的に砂層が高比抵抗、粘土層が低比抵抗となる特性を利用し、事前に設定した両者の境界値より測定値が高ければ砂層、それ以下であれば粘土層と判定します。境界値は、同じ土質でも生成年代や地域によって比抵抗値に差が生じるため、現地ボーリング等で取得した地盤情報も加味して設定します。

また、本システムでは、比抵抗センサーがカッターヘッドの回転に応じて円周しながら、地山の比抵抗値を連続的に測定するため、掘削断面全周の土質をリアルタイムに把握することができます。砂層・粘土層の判別結果は、掘削断面の円周を36分割してモニター上に表示されます。この情報を掘進管理に反映させることで、施工の安全性・効率の向上を図ることが可能となります。

本システムを実工事のシールド機に試験適用し、比抵抗センサーによる砂層探査結果と、計測後のボーリング調査で判明した実際の地盤状況を比較したところ、砂層判定の的中率は約80%に上り実用化レベルにあることを確認できました。当社は今後、大断面シールドトンネルにおける高精度な掘進管理手法として、実工事への適用を進めていく考えです。

以上

≪参 考≫

比抵抗センサーの設置状況

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