切羽前方探査システム「S-BEAT®

「S-BEAT( Shimizu Hydraulic-Breaker Exploration Ahead of Tunnel Face)」は山岳トンネル施工のさらなる生産性向上を目的に、トンネル掘削振動の反射波を利用して、掘削作業を中断することなく、切羽前方50~100m先までの地山状況を三次元的に探査するシステムです。

自社開発の切羽前方探査手法を改良・高機能化したものです。

  • 上下・左右方向の変化点位置を含めて探査することができ、トンネル周りの三次元的な地山性状の予測ができます。
  • 掘削作業に使用する資機材を探査に利用するため導入が容易で、日常的に使用できます。
    本システムによる探査を切羽の進行に合わせて繰り返すことで、予測精度の向上を図ることができます。

概要

S-BEATの探査原理は、地山を伝播する振動が岩盤性状の変化点で反射する現象を利用し、トンネル内で観測した振動データから地山内の反射面の位置を推定する反射法弾性波探査を応用したものです。本システムでは、油圧ブレーカーの掘削振動を起振源、トンネル側壁に一定間隔で打ち込まれた複数の既設ロックボルト頭部を受振点とすることで、データ計測の簡素化を図りました。システムの設置作業は、受振センサーをロックボルト頭部に装着し、受振データを記録・保管するデータロガー、データ解析ソフトを組み込んだパソコンにケーブル接続するだけで完了します。システム設置から計測、撤収までに要する時間は30分未満で、掘削作業に並行して準備を行い、工事を中断せずにデータ取得を行うことが可能です。

計測終了後、各受振点で検知した打撃振動データから、発振点から直接伝播した直接波と、地山の反射点から戻ってきた反射波を抽出。各受振点への到達時間差から導かれる打撃振動の伝播速度を基に、発振点から受振点に至る反射波の伝播距離を算出します。ここで、反射波の反射点は、発振点と受振点を焦点とする楕円体(等走時楕円)の面上にあると考えられるため、受振点ごとに等走時楕円を描き、これらを重ね合わせることで、共通反射点を割り出します。この共通反射点の推定結果と、切羽に近い受振点に配置した3成分(トンネル軸・直交・上下方向)受振センサーの波形データから推定した反射波の到来方向を総合的に評価し、反射点の三次元分布を予測します。

S-BEATによる前方探査のイメージ

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