未来へつなぐプロジェクト

日々の生活を止めることなく 未来のターミナルを築く

九州新幹線の全線開通など、さらなる活性化を見せる九州の中心・博多駅。
1日の乗降客数約35万人、列車本数は約1,200本という巨大ターミナル。

しかし、改築を繰り返し、3代目となっていた博多駅も1963年の竣工からはや半世紀が経とうとし、老朽化が進んでいた。

また、駅という生活拠点に求められる機能も、昔のように「安全に電車の乗降ができる」ことにとどまらず、さらなる付加価値が求められるようになっている。
駅に集う人たちが憩い、楽しみ、賑わえるような複合ビル。
そんな新しい空間を、多くの人の営みを止めることなく、巨大都市の中心につくりだす。

1本の電車も止めることなく工事を進めるという、限界への挑戦。
「ターミナルビル改築工事」。清水建設の建築・土木が一体となったプロジェクトが、新しい都市機能を生み出した。


厳しい条件に心が奮い立つ。

九州のみならず、アジアの玄関口の一つとして年々発展を続ける博多。 そのランドマークである博多駅と清水建設は、強い信頼関係で結ばれている。1906(明治39)年竣工の「2代目」博多駅、1964(昭和39)年竣工の「3代目」博多駅の建設も担当。博多駅と当社は、実に100年以上という長きにわたり絆を深めてきたのだ。そして、「3代目」博多駅の建設から50年近くの月日が流れ、「4代目」博多駅プロジェクトが動き出した。

このプロジェクトには、いくつもの壁が待ち受けていた。延床面積を大幅に増やすためには通常、既存の駅ビル、駅事務室、さらには駅前広場の土地を総合的に使うことで超高層ビルを建てればよい。しかし、博多駅の立地は、福岡空港から近いこともあって、航空法で建物の高さが50mに制限されている。それでは、新駅ビルが目標とする既存建物の約6倍となる延床面積20万m2は実現できない。そこで、通常は建物を建てることのない“線路の上下部”にビルを建設することになった。

列車を運行させながらの工事。最優先するのは、運行ダイヤを守ること、利用者の安全を確保すること。そのためには、ビル部分を担当する建築工事と、線路や地下部分を担当する土木工事が一体となって、着実に作業を進めていく必要がある。この難題は、当社のプロジェクトメンバーを奮い立たせた。


時間と空間の限界に挑戦。

今回の工事では、多くの最新技術が採用されることになった。当社がドイツの企業と共同開発した「フローティングスラブ防振軌道」もその一つだ。新駅ビルでは、2階部分を列車が走ることになる。そのため、列車の通過により発生する振動と騒音の問題が懸念されていた。この新技術は、コイルばねが免震装置の役割を果たし、レールからスラブ(床材)に伝わる振動と騒音を軽減できる効果を持つ。これにより、線路の上下階に入居する店舗にも、静かな環境が確保されることになった。

また、新駅ビル内は、線路や地下街を併設するため、敷地内に柱を下ろす位置が制限されていた。このままでは、建物上層階の面積と安全性は確保できない。そこで建物上部を支える構造に、鉄骨などの建築部材を三角形に組み合わせた「メガトラス架構」を採用した。メガトラスは、建物上部からの力を分散し、部材のたわみや変形を防げるのが特長。それを最大限に生かし、この課題も乗り越えた。

一方、ビル部分の工事に先立って進められたのが、土木工事だ。地上の盛土の上を走る線路を仮設の杭で支え、その直下に地下3階分の空間を設けて、地上10階建ての新駅ビルを支える杭を打ち込むという難工事。さらに、フローティングスラブ防振軌道の敷設や、建築工事である線路上下部の躯体工事も進めていく必要があった。

これらの作業は当然、列車の運行が終了した深夜から。但し、当社の作業前にはJR側による線路の安全確認と点検作業がある。また、始発列車運行のための準備時間も考えなければならない。その時間を差し引きすると、最も短いときで1日に作業できるのは約120分。しかも、荒天などにより安全が確保できない場合は作業中断…。作業に関わる誰もが、日々分刻みのスケジュールに奮闘し、地道に作業を積み重ねていった。


人が憩い、賑わい、楽しめる空間を。

工事着工から約5年、すべての工事を終えた2011年春、新駅ビル「JR博多シティ」が、博多の新たなランドマークとして誕生した。建物内には、約230の専門店ゾーン「アミュプラザ博多」のほか、日本最大級のレストランゾーン「シティダイニングくうてん」、さらには屋上庭園、イベントホール、会議室といった文化施設までも備えている。

単に駅舎や線路を新たにするだけではない。そこに、暮らしを豊かにするという価値を盛り込んだ今回のプロジェクト。その工事に対し、当社のプロジェクトメンバーたちは、共通の想いを胸に、日々の工事に臨んだ。

「福岡の“顔”をつくるという誇りと責任感を持って、訪れる多くの人に「便利だ」「快適だ」「使いやすい」と言ってもらえるような施設をつくる」。

関係者全員が一丸となって完成に導いたJR博多シティには、今、これまでにない人・もの・情報の交流、そして、新たなにぎわいが生まれている。

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