OUR Achievements
子どもたちに誇れるしごと
Achievements 01

未来都市を創造する

―豊洲スマートシティ―

Project Outline

建築の枠を超えて
「次世代のまち」を共創する

日本においては、急速に進行する少子高齢化、災害の激甚化、感染症対策等の切迫した課題に直面し、各地で都市の生き残りを賭けたさまざまな取り組みが検討されている。今、まちは「暮らす・働く・学ぶ・遊ぶ」場所という役割だけでなく、多様な価値を生み出すものへと進化しつつある。そのカギを握るのがDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。
清水建設は、先進的なデジタル技術でさまざまなサービス・ソリューションを提供することで「まち」の課題を解決するとともに、データとまちが連動し人の動きによってさまざまなサービスを提供する「ミクストユース型未来都市」の創造を目指す。その先行事例の一つが、東京都江東区の豊洲エリアで進められているスマートシティ構想への参画だ。「次世代のまちづくり」に向けて、建築・土木の枠を超えた清水建設の挑戦が始まっている。

# 01

次世代のまちづくりをけん引する
「スマートシティ推進室」

清水建設は、2020年4月に豊洲のスマートシティを推進する部署として、社長直轄組織「豊洲スマートシティ推進室」を発足。翌年「次世代のまちづくり」の全国展開を担う部署を加えて「スマートシティ推進室」に呼称を変更し、次世代のまちづくりを推進している。
清水建設の豊洲でのまちづくりの歴史は1986年に遡る。豊洲駅前地区の地権者に声を掛け「豊洲5丁目開発協議会」を発足。自治体や企業、学識者、地域の人々とともに「まち」のあるべき姿を協議して「豊洲5丁目地区計画」「豊洲5丁目景観ガイドライン」を策定し、まちの魅力の向上と地域活性化を推進。豊洲エリアは、2019年5月に「国土交通省スマートシティ先行モデルプロジェクト」、2020年7月には「スマート東京(東京版Society5.0)の実現に向けた先行実施エリアプロジェクト」にも選定されており、清水建設は、「豊洲スマートシティ連絡会」「豊洲スマートシティ推進協議会」の幹事企業の1社として、まちの課題解決に向けたさまざまな取り組みを進めている。
清水建設が目指すのは、「すべての人々と目指す すべての人々が活きる“まちづくり”」。そして、すべての人々とともに成長する「まち」だ。清水建設がスマートシティを実装する拠点として、2022年4月にミチノテラス豊洲がまちびらきを迎え、産学官民連携のまちづくりを加速させている。ここでは「スマートサービスを支える先進デジタル技術」と「豊洲MiCHiの駅を拠点としたエリアマネジメントの取り組み」について紹介する。

# 02

スマートサービスを支える
先進デジタル技術

ミチノテラス豊洲では、先進的なデジタル技術が惜しみなく投入されている。ここではその中から「DX-Core」とデータプラットフォーム(都市OS)「デジタルツイン」について紹介をしよう。
一つ目の「DX-Core」は、当社が独自で開発した建物OSだ。OS(Operating System)とは、スマートフォンやPCに搭載されている、アプリケーションソフトを動かすために必要な基本となるソフトだ。スマートシティで高度な建物オペレーションを展開するためには、空調・エレベーターなどの設備機器からビル内を自動走行するロボットに至るまで、多種多様な機器類の制御アプリケーションを連携させる必要がある。しかし、異なる設備同士を連携して制御するには、設備機器・デバイスごとに接続インターフェースを開発しなければならない。同じ用途の設備機器であっても、メーカーが違えば別々のインターフェースが必要だ。「DX-Core」はこうした煩雑さをなくし、建物OSに登録した設備危機をスマートフォンやPC上での簡単な操作だけで接続できる。データ入出力などの仕様もローコードで設定できるため、新規サービスの導入や機能のアップデートを迅速かつ柔軟に実施できることが最大の特長だ。豊洲エリアでは自社施設である大規模賃貸オフィスビル「メブクス豊洲」をはじめ、複数の建物で「DX-Core」の実装が進められている。

二つ目のデジタル技術は、豊洲スマートシティを先導するデータプラットフォーム都市(OS)「デジタルツイン」だ。これは、建築インフラと土木的な基礎インフラをBIMなどのデジタルデータとして融合させ、リアルでフィジカルな世界をデジタル上のサイバー空間に構築することができる。また、都市の三次元デジタルデータに、交通や人流、物流、エネルギー、環境などのモニタリングデータをリアルタイムに反映させることで、サイバー空間上にフィジカル空間とリンクした動的な仮想モデルを構築。この仮想モデルを利用したシミュレーションを行うことで、施設の利便性の高度化、新規サービス事業開発の加速化を図り、よりQOLの高いまちづくりを実現していく。

# 03

豊洲MiCHiの駅を拠点とした
エリアマネジメントの取り組み

豊洲スマートシティでは、今後豊洲エリアで交通インフラの再構築が進んでいくことに注目し、次世代の交通結節点の整備に取り組み、2022年、豊洲六丁目地区において、日本初となる都市型道の駅「豊洲MiCHiの駅」が完成した。豊洲MiCHiの駅には、歩行者や自転車を含む地域交通ネットワークを形成し、鉄道やバス、船、タクシーなどの公共交通やパーソナルモビリティー、シェアサイクルなど、陸・海・空のすべてをカバーする交通結節機能が設けられている。都心と湾岸エリアを結ぶ新交通の東京BRT(バス高速輸送システム)や、羽田空港、成田空港と接続する高速バスが乗り入れる。オープンスペースには、次世代モビリティーによる移動や物流など、ITを活用した新サービスの検証や開発、実装の場も用意された。
また、デュアルモード・ソサエティ(※1)に対応するため、平時と災害時を柔軟に切り替えられるまちづくりを推進している。
平時には、月1度の豊洲場外マルシェを開催することで、地域住民や来訪者にとってのにぎわいの場を創出。今後は上部デッキでの移動型店舗の導入やXR(※2)を活用した遠隔地との交流、買い物体験など、新たな都市型の道の駅としての空間創出を目指す。
災害時には、帰宅困難者用の待機スペースとして活用でき、防災備蓄倉庫や電力供給システム設備も整えている。
清水建設は、豊洲MiCHiの駅をさまざまな人・技術が交差する「CROSS POINT」として運用し、快適で活力に満ちた「次世代のまちづくり」に活かしていく。
※1 二重の様式を持つ社会
※2 現実世界と仮想世界を融合し、現実にはないものを知覚できる技術の総称