社長・社外取締役座談会

社長:参考とすべき良い取り組みですね。当社でも昨年から、職位による壁をなくし、より風通しの良い企業風土を醸成するために「さん付け運動」を始めました。社長懇話会などで、私を「井上さん」と呼んでくれる若い従業員もいますが、年齢や役職が上の人ほど、習慣を変えるのはなかなか難しいようです。

川田:私も同様の経験をしたことがあるので、よく分かります。結局、上の人が「さん付け運動」の趣旨を理解し、自ら実践してくれないと全社への浸透は難しいと思います。

田村:まさしく意識改革ですね。今のように予測困難で変化が激しい時代に、誰もが自由に発言でき、それにきちんと耳を傾ける環境・組織づくりは、結果として組織の強みにつながっていくと思います。従業員のロイヤルティが向上し、やりがいを感じて、さらに貢献したいという気持ちにもなっていくのではないでしょうか。会社が成長していくためにいちばん大切なのは、働く人が自己成長を感じられるという意味での満足度だと思います。

定塚:これからは、自らスピード感を持って柔軟な対応ができる人財を育てていかねばなりません。そのためには人財イノベーションが不可欠です。多様な考えや経験を持つ人たちが集まり、心理的安全性が保たれた環境下で各自が自由に意見を述べ合い、新しい発想で業務にあたることが大切です。これがまさにDE&(I ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)だと思います。

岩本:当社に限らず、日本企業全般にいえることですが、ダイバーシティや公平性という観点からすると、まだまだ改善の余地があると考えています。当社は従前より人を大切にする会社ですので、引き続き、当社にふさわしい取り組みを続けて行けば良いと思います。

田村:宮本会長の発案により昨年度に実施された「シン・ダイバーシティ活動」は、若い世代のみならず、40代以降の女性社員のキャリア形成についても課題感を持ってしっかりフォローしており、女性活躍推進をステップアップさせるためにはとても良い取り組みです。

定塚:そうですね。「シン・ダイバーシティ活動」は、会長と女性社外役員が全国の支店をまわり、社内のジェンダー・ギャップ解消を先導するという取り組みです。昨年度は13カ所を訪問し、実際の参加者からは、「会社の改革に対する本気度を感じ、自分の将来像をポジティブに描けるようになった」、「どんな意見にも耳を傾けてもらえる雰囲気で、発言しやすく、ほかの女性たちと想いを共有できたことで自信につながった」などのフィードバックを受けています。この活動は、反復・継続することが大事ですので、今年度も積極的な取り組みを期待しています。

社長:そういう意味では、男性の育児休暇取得も、引き続き積極的に推進していく必要があります。皆様に後押ししていただいているDE&Iを今後さらに推し進めるため、今年4月に組織変更を行い、DE&Iを推進する部署を社長直轄にしました。DE&Iと働き方改革は車の両輪であり、人財戦略とも連動してくるので、当社の取り組みを一層加速させるべく、注力していきます。

定塚 由美子