2025.10.16
清水建設(株)<社長 新村達也>は、山岳トンネル工事における切羽前方の湧水リスクを予測する「地山予報システム」の拡充機能として、トンネル掘削による地山の変形を予測する機能を開発・実装しました。地山の変形予測には、クラウド上のデータプラットフォームに自動集積される施工データを活用し、掘削の進捗に応じた地山の変位を三次元掘削解析で算出します。変位の予測結果や実測データ等をレポート形式で自動出力する機能も実装しているため、現場で日常的に行われている地山の計測管理に必要なデータ整理や資料作成に要する手間と時間を削減でき、施工管理の合理化が図れます。
山岳トンネルの施工管理では、切羽に現れる岩盤の観察や地山の変位の計測を日常的に行いながら地山の状態を把握し、安全にかかわるリスクの軽減を図っています。特に、慎重な施工が求められる断層破砕帯や連絡坑接続部など特殊な掘削箇所では、トンネルの掘削を進めた際の地山の変位を予測する数値解析を行い、施工計画や設計変更の検討に活用しています。
これらの業務はトンネル掘削の安全性を担保するために不可欠であるものの、これまで、データの整理や検討資料の作成に相応の労力と時間を要していました。そこで当社は、地山の変位計測データの収集から、数値解析に基づく地山の変形予測、レポート作成に至る一連の作業間のデータ連携・データ変換を自動化するシステムを構築し、地山予報システムの新機能として実装しました。
三次元掘削解析による地山の変形予測では、データプラットフォームに集約されたトンネルの設計情報や工事進捗データ、10~20mごとに設ける地山の変位計測位置等の情報が数値解析の入力データに変換され、解析モデルを格納したクラウドサーバーに転送されます。レポートの作成では、変位量の予測値と実測値の比較グラフや、掘削の進捗に伴う地山の変位分布図などを自動出力できます。これにより、施工前の段階で対策検討区間の抽出や補強対策・設計変更の検討を早期に実施できるようになります。
今後、地山の変形予測機能を追加した地山予報システムを、山岳トンネル工事のオートメーション化を志向する次世代型トンネル構築システム「シミズ・スマート・トンネル」に組み込み、「北海道縦貫自動車道 七飯町 大沼トンネル峠下工区新設工事」、「中央自動車道 新小仏トンネル」の建設現場に導入する予定です。
以上
≪参 考≫
地山予報システム・変形予測機能の概念図

「北海道縦貫自動車道 七飯町 大沼トンネル峠下工区新設工事」の概要
工事場所 | 北海道亀田郡七飯町字仁山 |
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発 注 者 | 北海道開発局 函館開発建設部 |
施 工 者 | 清水・宮坂・森川特定建設工事共同企業体 |
工 期 | 2025年10月~2028年10月 |
掘削距離 | 1,424.4m |
「中央自動車道 新小仏トンネル」の概要
工事場所 | 東京都八王子市裏高尾町~神奈川県相模原市緑区千木良 |
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発 注 者 | 中日本高速道路株式会社 |
施 工 者 | 清水建設(株)・東亜建設工業(株)特定建設工事共同企業体 |
工 期 | 2020年9月~2026年7月 |
掘削距離 | 2,298m |
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