国指定重要文化財 仁風閣の素屋根架設に着手

~傷んだ箇所の修復と大規模地震に備えた補強~

  • 建築

2025.08.29

清水建設(株)<社長 新村達也>が2025年1月に保存修理工事に着手した国指定重要文化財 仁風閣(鳥取県鳥取市)において、工事の本格化に備え、建屋を覆う素屋根の架設工事が始まりました。計画では、25年10月末までに完全に素屋根に覆われ、次に仁風閣が装い新たにお目見えするのは27年6月の予定です。素屋根の大きさは、間口27m、奥行34m、高さ22mとなります。

仁風閣は、1907年に旧鳥取藩主・池田侯爵別邸として鳥取城跡に建てられ、当時の皇太子嘉仁親王(のちの大正天皇)の行啓時宿泊施設に供されたルネサンス様式を基調とした建物です。外装の水平ラインを強調した装飾などに見られる幾何学的な美しさが特徴で、迎賓館赤坂離宮(国宝)などの設計者として名を馳せた片山東熊が設計を手掛けました。なお、「仁風閣」という名称は、行啓に同行した東郷平八郎が命名したとされています。

1973年に仁風閣が国の重要文化財に指定されたことをきっかけに、翌74年~76年にかけて昭和の大規模保存修理が行われました。しかしながら、築年数に伴う劣化が著しくなったことから、鳥取市が2020年に建物の状況を調査。木部の腐朽による屋根や外壁からの深刻な雨漏りや、レンガ煙突の補強鉄骨の発錆・腐食が確認されました。その結果、修理が不可欠な状況との判断から、2021年に保存修理が決定し、2024年12月の入札を経て、当社が本工事を受注しました。なお、昭和の大規模保存修理も当社が手掛けています。

今回の保存修理工事では、床下部分の構造補強や、屋根の葺き替え、傷んだ木部の補修・取り替え、壁・天井紙の張り替え、煙突の更新等を実施します。文化財の保存修理工事のポイントは、建物を構成する部材の再利用が前提であるため、工事中、部材を傷つけないように慎重に解体し、腐朽が進み再利用できない部分に限定して新材に置き換えていくこと、さらには、部材に残る釘や加工の痕跡を調査し、その部材が新築時からあるものか、後世に取り替えられたものなのかを診断、記録することです。このため、全工程を通じ非常に緻密な作業が求められます。

現在、素屋根の架設工事と並行して1階の床板を取り外しており、その後、床下に構造補強材を取り付ける計画です。当社は引き続き、部材に傷をつけないように細心の注意を払い、一つ一つの工程を着実に消化し、無事故・無災害で2027年9月の竣工を目指します。

≪参 考≫

工事概要

工事名称 重要文化財仁風閣保存修理工事
所在地 鳥取県鳥取市東町2-121
発注者 鳥取市
設計・監理 公益財団法人文化財建造物保存技術協会
施工 清水建設
工期 2025年1月~2027年9月
構造・規模 木造2階建て、建築面積:541m2、延床面積:1,073m2

素屋根架設の様子

素屋根架設の様子

床板解体の様子

床板解体の様子
床板解体の様子

取り外したシャンデリア

取り外したシャンデリア

以上

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