2025.08.08
清水建設(株)<社長 新村達也>は、山岳トンネル現場のオートメーション化を志向する次世代型トンネル構築システム「シミズ・スマート・トンネル」の要素技術の開発を終え、今後、国内のトンネル現場への適用を進めていきます。現場適用の初弾として、「北海道縦貫自動車道 七飯町 大沼トンネル峠下工区工事」「令和5年度道改国 第3-2号 道路改良工事(日田山国1号トンネル本坑1工区)」他において、それぞれの現場の施工条件に適した要素技術を選定し、トンネル現場のオートメーション化を推進します。
他産業と比べて従業者の高齢化が進む建設業界では、将来の担い手不足や熟練作業員の減少による生産能力の低下が懸念されており、施工の省人化・省力化による生産性の向上が喫緊の課題となっています。特に山岳トンネル工事では、切羽付近での岩盤の剥落・脱落や狭隘なトンネル坑内での機械と人の接触などの災害リスクを回避するためにも、オートメーション化による省人化対策が求められています。こうした課題に対し、国土交通省は「施工のオートメーション化」「施工管理のオートメーション化」「データ連携のオートメーション化」を3本の柱とする生産性向上施策「i-Construction2.0」を推進しています。
シミズ・スマート・トンネルは、i-Construction2.0に即したトンネル現場のオートメーション化技術を集約したトンネル構築システムで、以下の技術要素を統合的に活用することで現場の生産性と安全性の向上を図ります。
トンネル施工のオートメーション化
- 「穿孔・発破」「コンクリート吹付け・鋼製支保工建込み」「ロックボルト打設」「覆工コンクリート打設」といった山岳トンネルの施工サイクルごとに、自動施工に対応したロボットを開発しています。
- 「穿孔・発破」では、穿孔差し角自動制御システム「BLAST MASTERⅡ」を活用して、穿孔作業を最短時間で完了させる、地山の性状に応じた最適な発破パターンとシーケンス設計を自動導出し、生産性と掘削品質の向上を図ります。
施工管理のオートメーション化
- 安全、品質、工程等の各管理要素について、業務プロセスを最適化するデジタル管理ツールを導入しています。
- 例えば、ウェブカメラのライブ映像からトンネル坑内の作業状況をAIで自動判定し、チャットツールで施工関係者へリアルタイムに展開する「AIサイクル自動判定システム」、目視では確認できない微細な振動挙動を捉える振動可視化レーダー技術を用いて、切羽全面をモニタリングする「切羽崩落振動監視レーダーシステム」等を活用でき、個人の経験や知識に依存せず客観的な判断が可能になります。
データ連携のオートメーション化
- 関係者が、調査・測量、設計、施工、維持管理といった各プロセスでシームレスにデータを共有し、デジタルデータを最大限利活用できるDXシステムを導入しています。
- 取得したデータは、数値シミュレーション技術による施工リスクの自動評価や、可視化等に活用しています。
- デジタルデータには、現場の施工データのみならず、CO2排出量などの環境データも含まれ、設計・施工段階でのCO2削減策の検討・評価にも対応できます。設計変更によるCO2排出量の変化を即時に算出できるため、受発注者間の協議をスピーディーに行うことが可能になります。
以上
≪参 考≫
シミズ・スマート・トンネル

適用現場の概要
北海道縦貫自動車道 七飯町 大沼トンネル峠下工区工事
工 事 場 所 | 北海道亀田郡七飯町 |
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発 注 者 | 国土交通省北海道開発局 |
施 工 者 | 清水・宮坂・森川特定建設工事共同企業体 |
工 期 | 2023年2月~2025年9月 |
掘 削 距 離 | 工事延長 3,560m |
令和5年度道改国 第3-2号 道路改良工事(日田山国1号トンネル本坑1工区)
工 事 場 所 | 大分県中津市山国町守実 |
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発 注 者 | 大分県 |
施 工 者 | 清水・河津・小田開発工業特定建設工事共同企業体 |
工 期 | 2024年3月~2027年10月 |
掘 削 距 離 | 工事延長 1,332m、トンネル掘削工 1,325m |
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