2025.07.17
清水建設(株)<社長 新村達也>が(宗)神部神社浅間神社大歳御祖神社(以下、(宗)静岡浅間神社)からご下命を受け、2023年10月から進めている国の重要文化財「神部神社浅間神社拝殿(静岡市葵区)」の保存修理工事において、狩野派の絵師が描いた拝殿の天井絵10点の補修工事が本格化してきました。
神部神社浅間神社拝殿(以下、拝殿)は、社殿群を構成する重要文化財26棟のうちの1棟です。(宗)静岡浅間神社は、神部神社浅間神社の社殿群を中心に重要文化財16棟について、昭和の大修理から40年前後が経過して柱や屋根、建具、彫刻などの外部塗装の劣化が著しくなったことから、2014年11月に約20年に亘る平成・令和の大改修に着手。拝殿保存修理工事の発注もその一環です。
富士山の威容をイメージしたとされる拝殿は1814(文化11)年に完成。切妻造の下層に入母屋造の楼を重ねた2階建ての建物で、「浅間造」といわれています。規模的には、漆塗りの木造神社建築としては日本一の高さ(21m)を誇るとともに、1階には132畳の大広間が広がり、その大きさから「大拝殿」とも称されています。大広間の天井には、狩野派で当代屈指の絵師として活躍した狩野榮信と狩野寛信が描いた天井絵10点が飾られています。「八方睨の龍」「四方睨の龍」が各1点、「迦陵頻伽」2点、「天人」6点で、榮信と寛信が5点ずつ描いています。
天井絵の大きさは8点が2.31m×2.31m、2点が2.7m×2.31mで、それぞれ4畳絵、6畳絵と呼ばれています。現在、大広間では、貴重な美術工芸品の保存修理を専門に手掛ける装潢師が高所作業台車上で順に天井絵の塗料の剥落止めの仮措置を施しています。予定では、10月から本格的な剥落止め措置を施します。天井絵の補修に携わる装潢師の延べ人数は約1,000名にも及びます。
なお、拝殿保存修理工事には、天井絵の補修をはじめ、風雨から保存修理中の拝殿を守る素屋根の建設や建具の取外しなどの仮設工事、建具や彫刻の繕い、漆塗り・彩色、銅板葺屋根の黒漆塗りなどの塗装工事、錺金具の取外し・補修などの金具工事、畳表替え、床下防蟻処理などの雑工事、東南海地震に備えた耐震補強工事が含まれます。当社は引き続き、細心の注意を払いつつ保存修理工事を進め、無事故無災害で竣工を目指します。
≪参 考≫
神部神社浅間神社拝殿保存修理工事の概要
発 注 者 | 宗教法人 神部神社浅間神社大歳御祖神社 |
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工事場所 | 静岡市葵区宮ヶ崎町102番地の1 |
工 期 | 2023年7月25日~2028年8月31日 |
設計監理 | 公益財団法人 文化財建造物保存技術協会 |
施 工 者 | 清水建設株式会社 |
工事概要 | 仮設工事、塗装工事、金具工事、雑工事、 天井絵補修工事、耐震補強工事 |
神部神社浅間神社拝殿


(素屋根が拝殿を覆う)
天井絵


以上
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