水素吸蔵合金を活用した水素貯蔵システムを都心の地域熱供給プラントに導入

~オフサイト水素を大量貯蔵し、水素燃料電池・水素混焼ボイラーに供給~

  • 環境

2025.03.28

清水建設(株)<社長 井上和幸>が国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)と共同開発した水素貯蔵システム「Hydro Q-BiC Storage」がこのほど、(株)TBSホールディングスのグループ会社・赤坂熱供給(株)が東京・赤坂5丁目エリアで運営する地域熱供給プラントに導入されることが決定しました。

Hydro Q-BiC Storageは、独自の水素吸蔵合金を活用した水素貯蔵システムで、施設外から持ち込んだ大量の水素を安全かつコンパクトに貯蔵できます。当該プラントでは、非化石エネルギーへの転換を特定事業者に求める省エネ法に対応するためグリーン水素活用設備の新規導入が計画されており、山梨県の水素製造サイトから受け入れたグリーン水素をHydro Q-BiC Storageに貯蔵、需要に合わせて水素燃料電池と水素混焼ボイラーに供給することで、電力使用・熱供給に伴うCO2排出量の削減を図ります。設置工事の完了は2025年10月、システムの稼働は2026年1月を予定しています。

カーボンニュートラル社会の実現に向け、再生可能エネルギーのさらなる利活用が求められる中、当社は、建物附帯型の水素エネルギー利用システム「Hydro Q-BiC」の導入提案に注力しています。Hydro Q-BiCは、当社と産総研が共同開発した水素蓄エネルギー設備で、太陽光発電装置、水素製造装置、水素貯蔵装置、水素燃料電池で構成されます。システム運用においては、太陽光発電の余剰電力を利用して製造したグリーン水素を、常温・低~中圧で水素を吸蔵・放出できる水素吸蔵合金タンクに貯蔵。必要に応じて水素燃料電池に供給し、再生可能エネルギー利用の最大化を図ります。タンクに内蔵した水素吸蔵合金は、着火せず非危険物として使用できるため、一般の屋内施設にも容易に展開できます。

Hydro Q-BiC Storageは、Hydro Q-BiCの諸機能のうち、水素の吸蔵・放出制御を担う貯蔵システムで、施設外から受け入れた水素を短時間で充填できる急速充填型タンクを複数組み合わせて構築します。赤坂熱供給(株)に納入するシステムは、水素貯蔵量75Nm3の大容量タンク18本で構成し、システム全体の水素貯蔵量は1,350Nm3、水素吸蔵性能は1時間あたり最大1,000Nm3に達します。運用時に、オフサイト水素の充填作業を2時間以内に完了させ、水素利用時の装置内の圧力を1MPaG未満に抑えることで、高圧ガス保安法が規定する高圧ガス貯蔵所の対象外施設として運用できます。

今後、熱利用の脱炭素化に向け、CO2を排出しないグリーン水素を活用した熱製造に対する需要が高まっていくことが予想されます。特に、エネルギー需要が高い一方、再エネ設備の設置面積に制約のある都心部では、オフサイトから持ち込んだ水素を大量かつコンパクトに貯蔵できるシステムを構築していく必要があります。当社は、こうしたニーズに最適な水素貯蔵システムとして、地域熱供給施設や生産施設へのHydro Q-BiC Storageの導入提案に注力し、カーボンニュートラル社会の実現に寄与していく考えです。

以上

≪参 考≫

Hydro Q-BiC Storage

Hydro Q-BiC Storage

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