2024.12.24
清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、日本ヒルティ(株)<社長 堺直樹>の協力を得て、短工期・低コストで鉄筋コンクリート造及び鉄骨鉄筋コンクリート造の躯体(コンクリート躯体)に鉄骨小梁を接続する「あと施工アンカー」の設計・施工法を確立、この設計・施工法の信頼性を証する初の強度指定を国土交通大臣から取得しました。この強度指定により、当社が設計、あるいは設計支援を行い、施工する現場では「あと施工アンカー」の採用が進み、工期・コストの差別化が期待されます。
今回、強度指定を取得した「あと施工アンカー」は、コンクリート躯体を穿孔し接着剤を注入した孔に挿入・定着させる鉄筋が対象です。2022年3月の国土交通省告示第1024号の一部改正後、強度指定を取得した「あと施工アンカー」については、用途が拡大し、従来の既存コンクリート躯体とその耐震補強部材との接合に加え、鉄骨小梁など常時荷重を受ける部材との接合にも適用が可能になりました。
当社は、告示の一部改正を踏まえ、いち早く強度指定の取得に取り組み、母材コンクリート躯体の強度、有効埋込み長、鉄筋径、施工の向きといったパラメータを変えながら500体超の試験体を作成し、アンカーの性能を確認。また、施工法についても実験により適切な穿孔方法や接着剤の充填方法などを確立。その結果、母材コンクリート強度18~36N/mm2、アンカー用鉄筋D10~25(数字は鉄筋径)、有効埋込み長が鉄筋径の7~20倍の「あと施工アンカー」の設計・施工法について、信頼性を証する強度指定を国土交通大臣から取得することができました。
常時荷重を受ける鉄骨小梁は、コンクリート床の開口端部に発生する撓みを防止する補強材、躯体から跳ね出した点検歩廊や鉄骨階段を支える支持材などとして用いられています。従来、鉄骨小梁を増設する場合、小梁を固定するアンカーボルトが収まるほどの大きさで母材コンクリート躯体を深く斫り取りアンカーボルトをセットし、そこにコンクリートを再打設していました。このように施工手間がかかるうえ、斫り工事による既存鉄筋の損傷、騒音・粉塵、コンクリート打設によるアンカーの位置ずれ、周囲の汚損などが懸念されることから、容易に施工できる「あと施工アンカー」による接合が求められていました。
コンクリートを大きく斫り取り、アンカーボルトをセットしていた従来の施工法の工期と工事費、廃棄物の発生量を100とすると、強度指定を受けた「あと施工アンカー」を用いることで、それぞれ約30、15、1になります。このように、「あと施工アンカー」は大きなメリットをもたらすことから、当社は新築・増改築を問わず広く展開していく考えです。
≪参 考≫
2022年3月の国土交通省告示第1024号の一部改正(告示から)
・改正前:あと施工アンカー(既存の鉄筋コンクリート造等の部材とこれを補強するための部材との接合に用いるものをいう。第二第十三号において同じ。)の接合部の引張り及びせん断の許容応力度は、その品質に応じてそれぞれ国土交通大臣が指定した数値とする。
・改正後:鉄筋コンクリート造等の部材と構造耐力上主要な部分である部材との接合に用いるあと施工アンカーの接合部の引張り及びせん断の許容応力度は、その品質に応じてそれぞれ国土交通大臣が指定した数値とする。
あと施工アンカーのイメージ
あと施工アンカーで固定した鉄骨小梁のイメージ
以上
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