2024.09.26
清水建設(株)<社長 井上和幸>は岐阜工業(株)と共同で、喫緊の課題である高速道路更新工事の生産性向上を目的に、老朽化した高架橋床版のはく離撤去及び新設床版の架設を1台の装置で効率よく行う床版更新工法「グラビングエレクター工法」を開発しました。この工法の核となる床版更新装置は自走式で、所定の施工場所に移動しては、既存床版のはく離撤去と新設床版の架設を繰り返します。今後、装置の機能を実証し、高架橋床版の更新現場に展開します。
日本の高速道路網の整備は高度経済成長期に始まり、各地が高速道路網で結ばれてきた一方、長い年月の間に道路の老朽化が進み、現在では更新工事の発注が各地で本格化しています。交通量が多い都市部の区間では、一般通行車両への負荷低減のために、道路片側を通行止めにする「半断面施工」で更新工事が計画されます。グラビングエレクター工法は、半断面施工を行う高架橋の床版更新工事の受注をターゲットに開発したものです。
床版更新装置は、H型鋼製のフレーム部と既存床版のはく離撤去、新設床版の架設を行う床版把持機構から構成されます。フレーム部は、長さ19mの走行フレーム2本、同フレーム端部を連結する4mの横架材2本、伸縮・走行機能を備えた高さ4mの脚柱6本で構築します。床版把持機構は、走行フレーム上を走行する駆動部(把持台車)と駆動部から床版面に伸びる把持装置、把持装置はベースとなる床版の架設装置と着脱式のはく離装置から、それぞれ構成されます。床版の把持方法はボルト接合で、新設床版には製造時にボルト孔を設け、旧床版には作業員がボルト孔を搾孔し、床版のはく離・架設時に作業員が把持装置に床版をボルト接合します。
施工条件によって新設床版の大きさは異なりますが、概ね1枚当たり幅5〜6m、奥行き2〜2.5m、重量8〜10tとなります。床版更新装置は新設床版5枚分の架設場所を覆うように設置され、予め切断している既設床版の部材をはく離撤去した後、新設床版を1枚ずつ、計5枚架設し次の作業場所に移動します。装置は、道路走行方向に対して前後・左右に移動可能であり、現場内の任意の場所に移動できます。把持装置は3次元で姿勢制御されているため、把持している床版が荷ブレすることはなく、かつ床版架設時の微妙な位置合わせも人手を介さないので、作業の安全性も向上します。
グラビングエレクター工法による床版の更新枚数は5枚/日を予定しています。当社は今後、この工法をベースに高速道路高架橋の床版更新工事の入札対応を行い、受注確保に努めます。なお、共同開発にあたっては、岐阜工業(株)が開発した床版把持架設機構をベースに、装置の規格・仕様を設定していきました。
≪参 考≫
岐阜工業株式会社
所在地 | 岐阜県瑞穂市田之上811番地 |
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代表取締役 | 宗像国義 |
創業 | 1973年5月 |
資本金 | 6千万円 |
登録 | 鋼構造物工事業 機械器具設置工事業 岐阜県知事 許可(般-1)第3793号 クレーン製造許可工場 岐基第140号 他24件 |
グラビングエレクター工法の床版更新装置
はく離装置を装着した把持装置(既設床版をボルト接合した様子)
把持装置の3次元姿勢制御
以上
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