2024.09.10
清水建設(株)〈社長 井上和幸〉はこのほど、超高層ビルの工期を左右する揚重作業の一層の効率化に向け、国内最高の垂直搬送性能を備えた工事用エレベータ「SEC-5000RS」を三成研機(株)、(株)エスシー・マシーナリと共同開発しました。すでに1号機が日本橋1丁目中地区建設工事で稼働しており、2号機、3号機は国内最高層となるTorch Tower新築工事への適用が決まっています。
超高層ビル施工の効率化には、資機材や作業員の効率的な搬送・移動が欠かせません。こうした現場内ロジスティクスの要となるのが工事用エレベータです。一方、超高層ビルの現場では、朝礼後や休憩時間後にエレベータ前に作業員の長蛇の列ができるとともに、積載荷重制限に対して軽積載のままでの搬送も多々あります。そこで当社は、大容量のエレベータ搬器、積載荷重に即した可変速制御機能を備えた工事用エレベータの開発を進めてきました。
開発にあたっては、搬器の大容量化・可変速制御に対応して高機能化させた駆動装置の騒音低減が課題になりました。騒音源は搬器下部に設置されている駆動部から搬器に伝わる振動のため、双方を分離のうえ、駆動部から搬器を吊り下げ、かつ防振機能を備えた連結器具により搬器を防振化する新たな形式を考案。この結果、従来の形式に比べ、騒音が約90dB(高架下レベル)から約80dB(電車の中)となり、現行の汎用的な工事用エレベータ(最大積載荷重3.0t)よりも低騒音になりました。
SEC-5000RSの仕様は、昨今の階高が高い事務所ビルへの適用を想定し、内寸を5.8m×2.16m×3.0m(幅・奥行・高さ)、最大積載荷重を5.0tとし、国内最高の垂直搬送性能を実現しました。この結果、3.0tタイプに比べ、搬器床面積が1.6倍、4.4m2増の12.53m2となり、ボード積載量に換算すると3倍の6山、作業員換算で約1.7倍の76人の積載が可能になりました。昇降速度は駆動装置の高機能化により分速110m、10%の高速化を実現。可変速制御により、積載荷重0〜3t時は分速110m、3〜4.5t時は同100m、4.5〜5t時は同90mに変速し、軽積載時に駆動装置に生じる余力を昇降速度のアップに割り当てる仕組みにしています。
なお、共同開発にあたっては、当社が基本機能の企画・設定、実機の性能調査、三成研機(株)が実験装置の基本設計・製作、(株)エスシー・マシーナリが仕様の検討、実験を担当しました。
今後も大都市圏を中心に、超高層ビルの出件が見込まれます。当社は、SEC5000-RSを水平展開することで超高層ビル施工を効率化し、受注競争力、利益率の向上を図るとともに、引き続き現場内ロジスティクスの効率化に取り組む計画です。
≪参 考≫
三成研機(株)
所在地 | 埼玉県日高市森戸新田59-10 |
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社長 | 野田裕二 |
設立 | 1965年6月 |
資本金 | 5千万円 |
事業概要 | 建設機械の設計、製造、販売、レンタルなど |
(株)エスシー・マシーナリ
所在地 | 横浜市瀬谷区北町25-9 |
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社長 | 樋口義弘 |
設立 | 1988年4月 |
資本金 | 2億円(清水建設の100%出資) |
事業概要 | 建設機械のレンタル、仮設構造物の製作など |
SEC5000-RSの外観
従来機構との比較
搬送能力比較
以上
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