角丸カルバートが川西工事で威力を発揮

清水建設（株）＜社長　井上和幸＞を幹事会社とする共同企業体はこのほど、新東名高速道路川西工事において、従来のロの字型のボックスカルバートに替え、経済性、施工性が優れた自社開発のPCaコンクリート「角丸カルバート」を適用して、高速道路を横断する凾渠を構築しました。この結果、従来のPCaボックスカルバートに比べ、部材製作費を15%削減したうえで施工期間を2ヵ月短縮しました。

ボックスカルバートは、内空が矩形（四角）のトンネルを構築するための構造体です。従来のように断面がロの字型の場合、土圧がボックスカルバートの上下・左右から作用すると、側壁と底盤が内側に歪み、結果として隅角部の形状がL字からV字になるような力を受けることになります。そこで、角丸カルバートでは、隅角部に局部的に作用する負荷を分散できるように、隅角部の形状を円弧状にしています。この形状変更だけで、局所的に作用する負荷が30%も低減され、従来のボックスカルバートに比べて鉄筋量とコンクリート量を大幅に削減できることを実証実験で検証済みです。

川西工事では、角丸カルバートにより全長98mの凾渠を構築しました。角丸カルバート1体の高さは7.95m、幅9.7m、奥行1m、側壁と底盤の厚さは70㎝。従来のボックスカルバートでPCa部材を設計した場合に比べ、鉄筋量を40%、コンクリート量を10%削減し、PCaの製作費を15%超削減しました。部材の現場搬入にあたっては、搬送トレーラーの最大積算荷重を考慮し、1体を4ピースに分けて製作することで、1ピースあたりの重量を25t以下に抑制しました。

地盤条件との兼ね合いから、角丸カルバートの施工は2期に分け、1期工事には2022年3月に着手し、22年5月までに延長69m、PCa部材69体（1体4ピース）を施工。2期工事には24年3月に着手、残る29m、PCa部材29体の施工を24年4月末に終了しました。

技能労働者の就業人口が激減する中、工期や労務需給を勘案すると、工事現場におけるコンクリート工事のPCa化の推進が不可避になってきます。当社は引き続き、角丸カルバートを初め、PCa部材の製作費削減、生産性向上に寄与する技術開発を推進していく所存です。