2024.03.12
清水建設(株)<社長 井上和幸>は、(株)sMedioと共同でこのほど、山岳トンネル現場の安全性向上を目的に、画像解析AIを用いて切羽の鏡吹付け面に発生したクラックをリアルタイムに検知し、切羽崩落の危険性が高い場合に近傍作業者へ注意喚起のアラートを発報する安全支援システム「みまもりマスタ」を開発しました。
山岳トンネル工事では、労働災害の多くがトンネル掘削の最先端(切羽)で生じており、重篤災害につながるケースも散見されます。切羽での労働災害を未然に防ぐためには、切羽の岩盤が剥落・脱落する予兆を事前に検知し、近傍の作業員が切羽から退避する時間を確保することが肝要です。鏡吹付けコンクリートに生じるクラックは切羽崩落の前兆現象の一つであり、従来は、切羽近傍に配置した作業員の目で吹付け面を監視し、クラックの発生状況を確認していました。ただ、微細なクラックを目視で発見するのは容易ではなく、監視作業に従事する作業員のストレスも少なくありません。みまもりマスタは、切羽面の監視にAIを活用することで、クラックの早期発見を図る安全支援システムとして開発したものです。
本システムは、ネットワークカメラ、カメラ映像転送装置、警報装置、PC、タブレット端末で構成するもので、切羽近傍(切羽から12m程度)のトンネル壁面や重機に設置したネットワークカメラのモニタリング画像から、AIが鏡吹付け面に生じたクラックを高い精度で検出します。検出結果は、切羽監視員が所持するタブレット端末画面に瞬時に表示され、切羽崩落につながる危険性が高いクラックが検出された場合は、警報装置が自動的に発動し、音や光による警報で作業員に切羽からの退避を促します。
本システムを切羽監視作業に導入することで、クラックを検知するまでの時間を短縮でき、監視員の移動距離や作業時に感じるストレスの低減効果も見込めます。試行現場での実証試験では、切羽から10.5mの位置にカメラを設置した場合、クラックの検知時間が約16秒短縮し、作業員に十分な退避時間を提供できることが確認できました。
今後、本システムを当社施工の山岳トンネル現場に広く展開し、切羽作業の安全性向上、切羽崩落災害の根絶につなげていく考えです。
以上
≪参 考≫
「みまもりマスタ」システム構成
(株)sMedio 会社概要
所 在 地 | 東京都中央区新川2-3-1 |
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代 表 者 | 代表取締役社長 岩本 定則 |
設 立 | 2007年 |
資 本 金 | 10百万円(2023年12月31日時点) |
事業内容 |
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