2023.12.07
清水建設(株)<社長 井上和幸>の施工により、2016年4月に熊本地震で全倒壊した阿蘇神社楼門が7年8ヵ月ぶりに往時の姿を完全に取り戻し、本日、竣工を迎えました。本日11時から、阿蘇神社の主催により竣工祭が執り行われ、250名を超える参列者のもと、修復された楼門を初めてくぐりぬける「くぐり初め」などの儀式を行い、竣工を祝いました。
江戸時代末期に造営され、国の重要文化財に指定されていた阿蘇神社の社殿群6棟は、2016年4月に発生した熊本地震により甚大な被害を受けました。具体的には、日本三大楼門の一つとされる楼門は全倒壊、三の神殿は損壊、一の神殿、二の神殿、神幸門と還御門は部分損壊しました。地震発生からしばらくの間、全倒壊した楼門の鳥瞰映像がテレビ各局のニュース番組で繰り返し取り上げられたほど、社会的な関心が阿蘇神社に向けられていました。
当社は、(公財)文化財建造物保存技術協会(以下、文建協)の設計・監理の下、16年10月から社殿群の一連の保存修理工事に従事。楼門を除く国指定重要文化財5棟の修復は19年3月までに終了したものの、楼門の修復には7年8ヵ月の歳月を要しました。修復に先立ち、18年3月末までに全倒壊した楼門から約11,000点に及ぶ部材を回収。極力再利用することを前提に、再利用できる部材、部分的に補修を要する部材、代替が必要な部材に分類のうえ、部材の補修と代替部材の製作を進めました。その結果、回収した部材の再利用率は72%に達しました。
復元工事に当たっては、初めに施工ヤードを覆う高さ22.8m、幅28.0m、奥行24.5mの素屋根を架設。その中で楼門の修復を進め、22年9月に再上棟、23年3月には屋根の銅板葺きを終え、4月から素屋根の解体に着手。7月の解体終了後は、仮囲いの中で楼門廻りの土間コンクリートの施工、掲示板の修復などに当たり、本日の竣工を迎えました。施工上、困難を極めたのは、従来の部材で骨組を組み上げつつ、震度7の地震に耐えられるように元はなかった耐震鉄骨を骨組の中に納めることでした。文建協と対応策について協議を重ねた結果、部材の加工を最小限に留め、楼門の文化財としての価値を棄損することなく、無事に修復を果たすことができました。
当社は引続き、伝統木造技術を生かして文化的価値の高い神社・仏閣の保存・修理工事に取り組んでいく考えです。
以上
≪参 考≫
工事概要
工事名称 | 重要文化財阿蘇神社楼門保存修理工事(災害復旧) |
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場 所 | 熊本県阿蘇市一の宮町宮地3083‐1 |
発 注 者 | 宗教法人 阿蘇神社 |
設計・監理 | 公益財団法人 文化財建造物保存技術協会 |
施 工 者 | 清水建設株式会社 |
竣工した阿蘇神社楼門
熊本地震発生直後の阿蘇神社の様子
施工期間中、楼門を覆っていた素屋根
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