2023.12.04
清水建設(株)<社長 井上和幸>が、(株)エスシー・マシーナリ、IHI運搬機械(株)と共同で開発を進めてきた陸上風車建設用移動式タワークレーン「S-Movable Towercrane」がこのほど完成し、3社は現在、広島県呉市のジャパンマリンユナイテッド(株)呉事業所新宮地区において、自走式多軸台車(ドーリー)を活用したクレーン移設試験など、2024年6月に予定する実工事への適用に向けた準備を進めています。
3社が共同開発した「S-Movable Towercrane」は、十字型の架台の上で自立する陸上風車建設用の移動式タワークレーンで、風車の建設後、クライミングダウンを行い架台の脚部を取り外すだけで、移動用の自走式多軸台車に搭載することができます。作業性能は、最大揚程152m、定格荷重145tと自立式タワークレーンでは国内最大・最高性能を誇り、5~6MWクラスの大型陸上風車の建設に対応できます。
カーボンニュートラル実現に向けた社会機運が高まる中、再生可能エネルギー由来の電源として風力発電施設の建設需要が高まっています。累積容量が4.8GW(2022年末時点)に達する陸上風力発電施設については、新設需要のみならず、施設の耐用年数経過に伴うリプレース需要も多く、建設市場は5兆円規模と見込まれています。
他方、事業性の観点から陸上風力発電施設の大規模化が進む中、陸上風車の単基出力も増大傾向にあります。今後、高さ120m超・5~6MWクラスの大型風車の市場投入が予想されますが、現行の陸上風車建設用クレーン設備で対応できるのは、高さ100m・4MWクラスの中型風車が限界でした。そこで3社は、陸上風車の高層化・大型化に対応できるクレーン設備として「S-Movable Towercrane」の開発・製作に着手したものです。
国内最大・最高性能の作業性能のみならず、陸上風力発電施設の建設で不可欠となるクレーンの移設を柔軟に行えることも「S-Movable Towercrane」の大きな利点です。クレーン部材の解体を架台の脚部だけに留めて次の建設ヤードへ短期間で移設できるS-Movable Towercraneを活用すれば、サイクル工程を5日程度短縮でき、発電事業者は工期・費用の面で大きなメリットを享受できます。
当社は、洋上風力分野でも、世界最高性能の自航式SEP船「BLUE WIND」を自社保有し、洋上風力発電施設の風車建設に投入しています。陸上風力分野では、「S-Movable Towercrane」を武器に、風力発電施設建設のトップランナーを目指します。
以上
≪参 考≫
「S-Movable Towercrane」諸元
最大作業半径 | 46m |
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定格荷重 | 145t(作業半径12.5m) |
揚程 | 152m |
電気容量 | 600KVA |
(株)エスシー・マシーナリ
所 在 地 | 神奈川県横浜市瀬谷区北町25-9 |
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社 長 | 樋口 義弘 |
設 立 | 1988(昭和63)年4月 |
資 本 金 | 2億円(清水建設100%出資) |
事業内容 | 建設機械のレンタル事業 仮設構造物の製作 機械の改良・改善・開発 工事の支援(機械化施工・仮設電気工事) |
IHI運搬機械(株)
所 在 地 | 東京都中央区明石町8-1 |
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社 長 | 赤松 真生 |
設 立 | 1973(昭和48)年4月 |
資 本 金 | 26億4,749万円 |
事業内容 | パーキングシステム、運搬機械の企画・開発・設計・製造・販売・賃貸・据付・メンテナンス・改修・運営・管理事業 |
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