車両搭載型AI監視カメラシステム「カワセミ」を商品化

~物体検知・骨格推定AIで重機オペレータの死角を漏れなくカバー~

  • 土木

2023.11.01

清水建設(株)<社長 井上和幸>は、東京大学発のAIベンチャー、(株)Lightblue<代表取締役 園田亜斗夢>、日本道路グループのエヌディーリース・システム(株)<社長 村井永典>と共同開発した建設重機用の車両搭載型安全監視カメラシステムを商品化(商品名「カワセミ」)しました。今後、建設現場における重機接触災害の根絶を目指し、当社と日本道路(株)の建設現場への導入を進めるとともに、11月1日から、エヌディーリース・システム(株)を通じて外部販売を開始します。

カワセミは、画像解析AIを活用して建設重機オペレータの死角となる後方危険区域内にいる人や車両を瞬時に検知し、警告音、ライト点灯、モニター表示等でアラートを発報するカメラ監視システムです。システムは、重機オペレータの死角を監視する単眼カメラユニット、カメラユニットの撮影画像から人や車両の侵入を検知する画像解析AIサーバー、パトライト、監視モニターで構成されます。本システムの特徴は、画像解析AIに組み込んだ骨格推定アルゴリズムによりさまざまな作業姿勢に対応した人の検知機能を有すること、人が重機を認識しているかどうかをリアルタイムに判定できることです。また、カメラユニットは重機の種類を問わずマグネットで簡単に固定できます。

建設現場で発生する災害のうち、重機接触災害が占める割合は約2割に上ります。特に、狭い作業空間内で複数の重機を稼働させる山岳トンネル現場では、重機と作業員との接触をいかに回避するかが安全管理上の大きな課題となっています。重機接触災害の防止対策技術としては、人の検知と重機からの距離推定を行うカメラ監視システムが既に製品化されています。ただ、人がしゃがんでいたり、手荷物等で体の一部が隠れていたりする場合には検知精度が低下してしまうなど、機能面での制約がありました。

カワセミの核となる画像解析AIは、さまざまな姿勢の骨格を機械学習しており、しゃがんだ状態や手荷物等に隠れて体の一部が画像に映っていない場合でも、人の存在を検知できます。また、骨格から推定した目・鼻・耳の位置関係を基に、当該人物が重機を視認しているかどうかを判断することもできます。これにより、アラートの発報レベルを「注意」から「警告」へと段階的に上げるといった運用が可能となり、アラートの影響で必要以上に作業が遅れる事態を回避できるようになります。さらに、人物に加えて車両を検知する機能も備えており、重機と車両の衝突回避にも効果を発揮します。

本システムの開発にあたっては、検出アルゴリズムの開発を当社とLightblue社、販売計画の策定と販路開拓をエヌディーリース・システム社が担当し、3社で現場実証に取り組んできました。今後、当社と日本道路の建設現場への導入を進めるとともに、他の建設会社や道路工事会社への一般販売・リース販売にも注力し、広く建設産業の安全性向上に貢献していく考えです。

なお、11月9日・10日に東京ビッグサイトで開催される「ハイウェイテクノフェア2023」の当社ブースにおいて、「カワセミ」の実機展示を行います。

以上

≪参 考≫

(株) Lightblueの概要

本 社 東京都文京区湯島4-1-13 ルネ湯島ビル2F
TEL 03-6801-8990
代表者 代表取締役 園田 亜斗夢
資本金 15,800万円
設 立 2018年1月
業 容 ソフトウェア開発

エヌディーリース・システム(株)の概要

本 社 東京都港区芝浦1-2-3 シーバンスS館 7F
TEL 03-4212-6790
代表者 代表取締役社長 村井 永典
資本金 6,000万円
設 立 1985年7月
業 容 建設土木機械のリースおよび建設資材の販売

システム構成

システム構成

画像解析AIによる骨格推定、顔の向きの推定

画像解析AIによる骨格推定、顔の向きの推定
  • 人の骨格を、右側(赤線)と左側(青線)を区別して認識するため、さまざまな姿勢を推定できる。
  • ×印は足元の推定位置。常に安全側の評価(実際よりも重機に近い評価)となるように算定。
骨格推定技術
  • 骨格推定技術により、目・鼻・耳の位置関係から顔の向きを判定し、重機を視認しているかを確認できる。
  • 重機の視認状況に応じて、注意アラート(右、黄枠)または警告アラート(左、赤枠)をオペレータに通知する。

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