まちづくり計画支援サービス「マチミル」を提供

~地域の魅力や課題を見える化~

  • 社会貢献

2023.09.11

清水建設(株)<社長 井上和幸>は、付加価値の高いウォーカブルな人中心のまちづくりの支援を目的に、まちづくり計画支援サービス「マチミル」を提供します。このサービスは、各種オープンデータと地理情報システム(GIS)により人やものの動きを見える化し、地域の防災・省エネルギーや効果的なエリアマネジメントに資する分析を行い、まちづくり計画の支援につながる情報を提供するものです。

すでに、当社はマチミルの一環として、江東区や地域住民、学識経験者らの参加のもと、昨年末に開催された社会実験「明日の危機 -首都直下地震編-」において、首都直下地震時における江東区民の避難ルートの安全性を検証・見える化しています。このビジュアルは参加者から高く評価され、豊洲スマートシティ推進協議会が主催したこの社会実験の目玉になりました。

まちづくりでは、複雑化する社会や地域の課題と向き合い、地域の魅力や活力を高める計画やマネジメントが求められます。そのためには、産・官・学・民の多様な関係者が参加する議論の場で、地域の課題やビジョンを共有し、まちづくり計画の効果予測を経て、質の高いエリアマネジメントにつなげることが重要です。そこで「マチミル」では、データに基づく公正な分析、複数の仮説のスピーディな検証、誰にでも分かりやすいビジュアルを提供することで、地域の課題やまちづくり計画の効果を明らかにして関係者間の議論と合意形成を促します。

こうした分析や検証には、自社開発の公共施設・インフラ統合評価システム「パブリック・アセット・シミュレーター(PAS)」をGISへ統合したシミュレーションシステムを用います。PASはデジタル地図上の道路ネットワークモデルにより、特定の地点から目的地へのアクセス距離・所要時間の評価や、道路上の交通量の評価を行う機能を備えています。この機能を活かし、都市空間における人の動きや交通の面から地域の魅力や課題を捉えます。

魅力や課題は、「インクルーシブ」「レジリエント」「サステナブル」の3分野に分けて評価します。それぞれの代表的な分析事例を紹介すると、順に、歩きやすさや生活利便性の評価、災害時の避難ルートの安全性や避難施設の収容人数の検証、地域のみどりの連続性や生物多様性の評価、となります。多様な分析を組み合わせることで、地域特有の魅力や課題に合わせたまちづくり計画のサポートが可能です。

当社は今後、デジタルを活用して地域の課題解決を目指す各地の自治体やまちづくり組織に対して、本サービスの提供を通じ、まちづくりの取り組みや計画を支援していく考えです。

≪参 考≫

まちづくり計画支援サービス「マチミル」の全体像

まちづくり計画支援サービス「マチミル」の全体像

<分析メニューの例>

分析メニューの例

マチミルの活用事例

産官学民連携での防災まちづくりの活動支援

産官学民連携での防災まちづくりの活動支援
 ※上記イメージはシミュレーションの一例

 社会実験「明日の危機 -首都直下地震編-」、「明日の危機 -関東大震災100年-」の交通防災まちづくりにおける防災展示において、江東区内の防災に関する分析サービスを提供。

【左図】
 地震時の被災リスクが高い江東区北部エリアから江東区臨海部への住民の最短避難経路をシミュレーションした結果を示す。避難者数が多いと推定される経路(赤系)を可視化するとともに、都道などの安全性の高い避難経路(水色系)を重ねて、避難経路の選択について問題を可視化している。こうした分析は、江東区の防災に関する課題共有・議論の支援につながる。

【右図】
 地下鉄8号線延伸整備により、水害時における鉄道による広域避難が可能な方面数が増加するエリアを分析・可視化。昼間の滞在人口の集積度を高さで、徒歩15分以内にアクセスできる駅から直通で荒川洪水想定浸水域外へ到達できる方面数を色で示した。地下鉄8号線延伸整備の影響効果の分析等、江東区の防災に関する課題共有・議論の支援につながる。

マチミルのサービス例

防災まちづくりにおける拠点駅の位置づけ検討支援

防災まちづくりにおける拠点駅の位置づけ検討支援

 近年の災害の激甚化に伴い、地域防災性の向上が求められている。とりわけ、災害時に滞留者が集中する拠点駅周辺における防災まちづくり計画の重要性が増加。そこで、中央区・江東区の拠点駅(2路線以上が乗り入れる駅)において、夜間の定住人口に加えて、帰宅困難者になり得る昼間の滞在人口を可視化した。

【左図】
 拠点駅へのアクセス距離別の居住人口(国勢調査)を可視化。

【右図】
 GPSの位置情報を基にした昼間の滞在人口を可視化。拠点駅間の現況を比較分析することで拠点駅の特性を明らかにし、広域的な視点による防災上の位置づけの検討材料となる分析サービスの提供が可能。

まちづくりにおける公開緑地計画の検討支援

まちづくりにおける公開緑地計画の検討支援

 都市の脱炭素や2030年ネイチャーポジティブの実現に向けて、まちづくりにおいても質の高い公開緑地の確保が求められている。
 上図では現況と公開緑地の計画案についてパブリック・アセット・シミュレータ(PAS)により歩行者のアクセスのしやすさを比較分析、また下図では当社既往分析システムであるUE-Net®により公開緑地による計画地周辺の都市生態系ネットワーク向上効果の分析を行っている。最適な公開緑地計画に導くために、さまざまな角度から判断材料となる分析サービスを提供する。

豊洲スマートシティ推進協議会

 豊洲地域にゆかりがある企民間13社で構成され、豊洲エリアにおいて先進的技術と都市OSを活用したスマートシティサービス実証実験の実施、実装を通じ、ミクストユース型未来都市の実現を目指している。

「明日の危機–首都直下地震編–(2022)」「明日の危機-関東大震災100年-(2023)」

 豊洲スマートシティ推進協議会が2019年より東京大学との社会連携講座で検討してきた臨海部の交通防災まちづくりの成果をもとに、国土交通省関東地方整備局や東京都、江東区、学識経験者や地域住民などと連携し、2021年度より社会実験を実施。
 2022年11、12月には「明日の危機 –首都直下地震編–」と題し、将来発生が懸念される首都直下地震に対して、拠点と地域連携による防災まちづくりの提唱を目的とした展示、広域避難などを通じた拠点機能の検証や産官学民がともに議論するセッションを実施。

 「明日の危機 -関東大震災100年-」は、関東大震災100年を節目として、災害に対する備えを考える機会を設けることを目的にこの9月に行う社会実験。発災が事前に予見可能な水害をテーマに、交通防災展示・水害時事前避難訓練・産官学民セッションを実施する。

以上

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